トップは三菱商事、2位伊藤忠商事と総合商社がワンツーという結果に。

写真拡大 (全5枚)


2023年卒を対象にした「就職ブランドランキング調査・早期」では、三菱商事が1位に。写真は東京・丸の内の三菱商事ビルディング (撮影:今井康一)

就職活動のスケジュールといえば、3年生の3月に会社説明会などが本格化する「広報活動解禁」、選考・内々定が行われる6月の「選考活動解禁」があるが、実際は大学3年生の早い時期から始まっている。その主な舞台は夏のインターンシップで、7〜9月の夏休みの期間を使って、就業体験を行う。

コロナ禍でオンラインで行われる機会が多くなっているインターンシップだが、企業と学生が接点を持つことができる貴重な場になっている。場合によっては、インターンシップでの評価が内定に結び付くこともある。

インターンシップ拡大で二極化進む

さらにそのインターンシップを実施するにあたっての説明会やオンラインイベントが4〜6月に開催されている。早くから就活を意識している学生はこうしたイベントや説明会に積極的に参加する一方、3年生の期末試験が終わってからようやく動き出す学生もいる。活動期間の差は1年近くになり、「就活の二極化」という現象が生じているのが実態だ。


就職四季報の姉妹サービス「シキホー!Mine」はこちら

では、早くから動き出している「就活先行組」の学生たちはどのような企業に関心を持っているのか? それがわかるのが、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が行っている「就職ブランドランキング調査・早期」の結果だ。

これは、同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録する、2023年春卒業予定の大学生や大学院生が調査対象者で、今回は登録会員のうち、8572人から回答を得ている。

これまで4月から9月までの調査は「速報版」の位置づけで、本来行っている仕事イメージを重視するポイント調整を実施していなかった。しかし、今回からポイント調整を実施することになった。

前年の速報版の順位も掲載しているが、集計方法が異なる点に注意してもらいたい。今後は、調査期間を3年生の4月から9月までの「早期」、10月から3月中旬までの「前半」、3月中旬以降から4年生の6月末までの「後半」の3つに分けて、学生の企業の見方の動きを見ていく。

結果を見ていこう。5大総合商社の中でもトップの規模を誇る三菱商事が1位となった。昨年実施した2022年速報版は2位だったが、首位に躍り出た。一方、2021年卒以降のすべての調査で1位にランクインした伊藤忠商事は2位にとどまっている。

要因としては、投票している学生の特徴が挙げれられる。早くから動いている学生は、超大手企業や人気企業を目指す傾向が強い。三菱商事の採用実績をみると、慶応大学や早稲田大学、東京大学、京都大学など難関大学の名前が並んでいるが、そうした難関大学では、早くから動く学生の比率が比較的多い。

なお、属性別では三菱商事は女子と文系でトップ、男子は2位で、理系学生のランキングでは6位となっている。

金融系の人気なお続く

2位の伊藤忠商事は、総合商社の中でも積極的な働き方改革が特徴で、就活生の人気が高い。幅広い層に人気を得ているのが特徴だ。 属性別では男子学生でトップに立つ。今後、活動を始める就活生が増えれば、再びトップの座を奪回する可能性もある。

3位は日本生命保険。金融は上位にランクインする傾向がなお強いが、同社はインターンシップなど就活時の社員対応に定評がある。そうした取り組みが結果となって表れているのかもしれない。

4位は大和証券グループ。こちらもダイバーシティの推進などに力を入れており人気が定着している。

5位にはゲームや玩具メーカー大手のバンダイ、6位は広告代理店国内2位の博報堂/博報堂DYメディアパートナーズが入った。以下、7位損害保険ジャパン、8位明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)、9位東京海上日動火災保険と続く。

10位はソフトウエア開発やSI(システムインテグレーション)事業を展開するIT企業、Skyがランクイン。テレビCMの露出度だけでなく、採用活動にも積極的に取り組んでおり、そうした点が学生の目にとまったと思われる。




就職活動「早期」 就職ブランドランキング調査について
調査主体:文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所
調査対象:2023年春入社希望の「ブンナビ!」会員(現大学3年生、現大学院1年生)
調査方法:文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ」上でのWebアンケート、文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙・アプリアンケート、文化放送キャリアパートナーズ就職雑誌&デジタルブック内QRコードアンケート
*投票者1名が最大5票を有し、志望企業を1位から5位まで選択する形式

調査期間:2021年4月1日〜2021年9月30日
回答数:8572(うち男子4009・女子4563/文系6988・理系1584)
総得票数:2万8029票
男女比を1:1にするため、男子得票数に1.138189075を掛けたポイント制

「就職」を重視する学生は「企業イメージ(企業価値)」よりも「仕事イメージ(仕事価値)」に重点を置くとの仮説の下で、ランキングを算出。
就職者誘引度は、学生が企業イメージと仕事イメージのどちらを企業選択時に重視したかという回答によって算出。企業イメージのみで投票した場合は就職者誘引度5、仕事イメージのみで投票した場合は95とし、得票平均値を就職者誘引度としている。
総得票数×就職者誘引度=就職ブランド力とし、就職ブランド力を基にランキングを計算。
社名はアンケート上の名称で、1採用窓口=1社名を基準にしている。社名変更等で調査時の社名と異なる場合がある。グループで採用が一本化されている場合は「○○グループ」等で表記。