冬は乾燥肌で悩みがち。化粧水などで保湿をがんばってもなかなか改善しないことも…。そんな多くの人が抱えるお悩みについて皮膚科医の服部英子先生に答えてもらいました。


保湿ケアのつもりが逆効果なことも…(※写真はイメージです)

カサカサ肌が改善しない。冬のスキンケアの大切なこと



「この冬、肌がカサカサしていつもより乾燥がひどく、粉をふいたようになっています。化粧水や乳液をつけても治りません。どうしたらカサカサがよくなりますか?」(OYAさん・31歳)

こういったお悩みが多く寄せられています。服部先生は乾燥を感じたら「早め早めのケアを」と教えてくれました。

●洗顔のときの肌のこすりすぎは厳禁!スキンケアの見直しを

肌のうるおいは、角質層表面の皮脂と、角質細胞の間にある脂質、そして天然保湿因子という、3つのバランスで保たれています。そのバランスがさまざまな要因で崩れると、肌のトラブルを起こしやすくなるんです。

冬は外気が乾燥し、さらに室内では暖房を使うため、肌の乾燥が進み、バランスが崩れやすくなります。でも、冬以外に肌トラブルを招く要因があることも多いんです。夏に例年よりたくさん日やけしたとか、汗をかく機会が多かったとか、さらに春は花粉症の影響で肌荒れがあったとか。そういった今までの積み重ねが、この冬になって肌がカサつくという形で現れたということも考えられます。


普段のスキンケア習慣の影響も見逃せません。たとえば顔を洗うとき。肌がカサついている人の多くは肌をこすりすぎています。基礎化粧品の使用量が少なすぎて、肌をこすってしまっているケースもよくありますね。とくにクレンジングは量が少ないとメイク汚れがきちんと落ちず、肌トラブルの原因に。とはいえ、逆にクレンジングを長時間するのも肌に刺激がかかり、よくありません。

さらに、洗顔をするときの湯温にも注意が必要です。理想は37〜38度の、冬だとぬるく感じる程度のお湯。40度以上の高温で洗ったりすすいだりすると、肌の乾燥が進むので注意しましょう。

それ以外のスキンケアも見直してみましょう。まずは、説明書にある分量をきちんと使い、乾燥しがちな冬場は、夏よりも1アイテムたすといいですね。もし夏のスキンケアが化粧水と乳液だけだったら、冬は保湿性の高いクリームをプラス。カサつきが気になるときは、いつもより多めに使って。

肌のターンオーバーは4〜6週間といわれますが、年齢を重ねるとだんだん遅くなっていきます。ですからケアを始めても、大人の肌に効果が出始めるのは2、3か月後。悪化させないためにも、少しでも肌のカサつきを感じたら、今までのお手入れを見直して、早め早めのケアを心がけましょう。

●あなたは大丈夫?健康な肌は、水分を蓄えやすい

健康な肌は、適度な水分があり、しっとりしています。乾燥すると、まず皮脂が不足して水分が逃げやすく。そのままにしておくと、ますます症状が悪化してしまいます。

健康な皮膚



キメがそろってキレイ!角質細胞と角質細胞の間に、うるおい成分(角質細胞間脂質)がぎっしりつまっていて、隙間がないよい状態です。皮脂膜も保たれ、天然保湿因子も十分にあり、水分を蓄えやすい肌です。

乾燥した皮膚



保湿クリームなどで角質層を保護して肌表面の角質細胞がはがれて、隙間ができています。そのため肌の水分が保たれずに逃げやすい状態に。化粧水と乳液、さらに保湿クリームをたっぷり使い、角質の隙間を埋めましょう。

<イラスト/野田節美 取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人
【服部英子先生】

南青山皮膚科スキンナビクリニック院長東京女子医科大学卒業。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。東京女子医科大学病院、JR東京総合病院、虎ノ門病院などを経て平成17年より現職