LPGA新人戦 選手紹介・林菜乃子(はやし・なのこ)

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12月6〜7日の日程で開催される「LPGA新人戦 加賀電子カップ」。近年稀に見るスコアの伸ばし合いとなった2018年LPGAプロテストを突破した第90期生・21名が出場するが、それぞれの選手の個性を紹介する。

林菜乃子にとって初のレギュラーツアー本格参戦となった2017年は苦しいシーズンだった。18試合に出場し、予選通過は1度のみ。獲得賞金は唯一通過した「CAT Ladies」で決勝ラウンド最下位による24万円だった。だが苦しいことばかりではなかった。今季につながる大きな出会いがあったからだ。
ゴルフをはじめた幼少期は、宮里藍、横峯さくらが国内ツアーを賑わせていた時代。「意味は全然わかっていなかったですが、大勢の人に囲まれて、歓声を受けていることに“すごいな”と思った」とプロゴルファーという仕事に興味を持った。
競技に出場しはじめたのは小学6年時。「ステージが上がるにつれ、すごく上手な子が多くて、全然勝てる気がしなかった。ビリのほうで争っているのはすごく恥ずかしかった」と悔しさを感じるごとに練習量は増えていった。
中学時代は放課後に練習場に通う毎日で、高校は近隣にゴルフ部のある学校がなかったため、通信制に通いながら凾南ゴルフ倶楽部でアルバイト。「朝から午前中に仕事をして、午後から夜まで練習。4年くらいお世話になりました」。高校卒業後のプロテスト初年度は最終テストまで進むも、1打差で合格ならず。それでも年末のファイナルQTで51位となり、2017年シーズンのレギュラーツアー出場のチャンスを得た。
だが壁は想像以上に高かった。「コーチがいない時期でつねに迷っていた。足りないことがありすぎて、何を優先して練習すればいいのかわからない。予選落ちして、課題がわからないまま、次の試合も予選落ちと、その繰り返し。でも毎週試合はやってくる…そんな状態でした」。2度目のプロテストは2次予選で棄権。ツアー転戦で成長の実感がつかめないまま、夏場を迎えようとしていた。そして現状打破のため頼ったのは所属先のユピテルだった。
「芹澤信雄プロがユピテルさんとスポンサー契約を結んでいることは知っていましたが、ご挨拶させていただいたことはなかった。面識がない状態でしたので“一度だけでも、私のスイングを見ていただけないですか?”って伝えてもらいました」
その2週間後の「大東建託・いい部屋ネットレディス」で指導を受けることが実現。「“少しだけ見るよ”と芹澤プロに言っていただけて…その機会から本格的に教わるようになりました」。
チーム芹澤には藤田寛之、宮本勝昌、西山ゆかり、木戸愛などツアー実績豊富な先輩が多くいて、合宿などでは強い刺激を受けた。
2018年は主戦場のステップ・アップ・ツアーで前半戦からトップ10フィニッシュも多く、手ごたえを掴んだ林。芹澤からの言葉で印象的だったものを聞くと…「稼げるプロになれ!ですね」と答えた。
これまでは、苦しいなかでの踏ん張りが足りなかったと自覚。トータル13アンダー・5位タイと合格圏内で迎えたプロテスト最終日もこの心構えがあったからこそ耐えることができた。「14番までに5つスコアを落として、トータル8アンダー。でも絶対に諦めない!という思いですごく集中できたことで、残り4ホールで2つスコアを伸ばせた。芹澤プロの教えがなかったら、4回目を受けることになっていたかもしれません」。
LPGA会員入り後のステップ最終戦「京都レディースオープン」では接戦を制して、見事初優勝。ステップ年間賞金ランクも5位に入った。「去年は試合に出ちゃいけないくらいの状態で、プロテストに受かるレベルではなかった。ドライバーを持つ手が震えていた。でも芹澤プロに出会えたことですべてが変わりました」。
ファンに見て欲しいプレーはパッティングだ。「勝負どころの厳しいパーパットは必ず入れる気で打っていますし、最後まで諦めない姿勢は出せる。気持ちのこもったゴルフを見てほしいです」。将来への展望を聞くと、もちろんシード獲得、レギュラーツアー定着というワードは出てくるが、まず頭に浮かぶのは着実な成長だ。
「目標から逆算して練習に取り組むのも大切ですが、目の前の時間を無駄にせずにやってきた結果が将来につながると思うんです。だから一歩一歩着実に成長したい。だっていつも試合が終わったら“なんでこんな私はヘタクソなんだろう”って思いますから(笑)」
悲壮感はない、爽やかな笑顔。それは、いい師匠に出会い、成長を実感できているからにほかならない。
林菜乃子
〇所属:ユピテル
〇1997年5月17日生まれ
〇出身地:神奈川県
〇身長155センチ、体重51キロ
〇血液型:O型
〇ゴルフ歴:6歳〜
〇目標とするプロ:芹澤信雄

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