つらい失恋で心にぽっかり穴が空いた…。なんてことはありませんよ?
僕たちは、自分が傷ついたときに『心にぽっかり穴が空いたようだ』という表現をよく使います。
自分にも胸のあたりが苦しくなったり、あるいは茫然自失として何かが失われたような感覚があったりするので、その表現には説得力があると思うんですよね。
「あぁ、昔あった出来事で私の心が傷ついてそれを埋めよう(あるいは癒そう)とするあまりに、私はこんな行動を取ってしまうんだな」といったような具合に。
でも僕はこの「心に穴が空く」という表現そのもののイメージが強すぎるあまりに、多くの人を苦しめているのではないかと思っています。
■心に穴が空いたイメージのデメリット
「心に穴が空いている」という認識を持っていると、それを埋めようとする意識が働きます。
よく「自分の心の穴を埋めるためにも自分を愛してあげましょう」というアドバイスを見ますが、あれは正確には間違ったアドバイスだと僕は思います。
なぜなら「埋めよう」と思えば思うほど、自分が「欠けている」という認識を強く持ってしまうからです。
逆に「満たされているイメージ」を持てている人は、「満たされている」ことに目がいくようになるので、自分のことを肯定しやすくなります。
ということは、自分を愛することで心の穴が埋めるのではなく、そもそも自分の心に穴なんて空いてないと認識することで自分を愛しやすくすればいいんです。
そこでより多くの人がその「満たされている」認識を持てるように、ちょっと世間のイメージをいじってみたいと思います。
■心に空いた穴、そのイメージをちょっと変えてみよう
今のところ人間の心といわれるのものの実体を論理的・科学的に突き止められた人はいません。
物理的に存在しないものに「穴を空ける」ことはできない、普通に考えるとそうなりますよね。
だとすれば「心に穴の空いたような感じ」は僕たち人間が勝手に想像したイメージであると言えます。
ということは、どんなイメージを持とうとそこに正解はないわけです。であれば、自らわざわざ「私の心を傷つけられてしまったの(泣)」という悲観的なイメージを持つ必要はないと思いませんか?
■穴が空いたのではなく、心がそこを「避けた」と考える
ところで、あなたはミスター・サー・クロコダイルというキャラクターを知っていますか?
漫画『ワンピース』に出てくる、スナスナの実を食べた全身砂人間なのですが、砂なので打撃系の攻撃が効きません。
主人公のルフィのまさに「風穴を空けるような」パンチが貫通してしまうんですね。砂なのでサラサラ〜と分解されてダメージを受けないわけです。
クロコダイルはその能力を活かして体をいろんな形に変形させて戦うのですが、僕たちの心もクロコダイルの体のようなもので、形を自由自在に変えられるものなんです。
つまり、あなたに過去の誰かや何かがあなたの心に穴を空けた、のではなく、あなたの心がその攻撃を避けた、んですね。ダメージを受けないように。
■傷ついたのは心ではなく、あなたです
「そんなバカな!あの時間違いなく私は苦しかったし、ダメージを受けたことには変わらないわ!」そう反論したくなるかもしれません。
確かにあなたはダメージを受けたかもしれません。でもね、心はダメージを受けてはいないんですよ。
心には実体がありませんから、今頃ひょうひょうとその辺を漂っていることでしょう。
ですから、あなたが「私の心はノーダメージで何にも傷ついてなんかいない」と思えばいいのです。
今見ているその幻の穴から視線を外して、今の心にきちんと目を向けたら、また元どおりの満たされている心をあなたに見せてくれるはずです。
■あなたの心に穴なんてそもそも空いていない
心に空いた穴の罠は「それを埋められる何かがないと幸せになれない」と誤解してしまうことです。
そもそも勝手に傷ついたのはあなたであって、心自体は傷ついていないわけですから、無理に癒そうと埋めようとか思わなくていいんです。
あなたの心はいつだってニュートラルです。何一つかけることなくずっとそこにただ「ある」のです。
それを欠けていると見るのもの自由。満ちていると見るのも自由です。
であれば、わざわざ欠けているように見る必要はないと思いませんか?(川口美樹/ライター)
(ハウコレ編集部)