前回に続き、薬に頼らない身体づくりのお話をします。今年花粉症に悩まされた人は、体調のくずれが症状を長引かせてしまったのかもしれません。アレルギーが出るのは免疫が働いている証拠でもありますが、体調を整えておくことで症状を乗り切る抵抗力もつきます。薬に頼るだけでは抵抗力がつきません。

私自身、以前は薬漬けの生活を送っていました。これではいけないと一念発起して身につけたのが、正しい歩き方(ウォーキング)でした。健康状態が劇的に変わり、薬が激減し、やがて“薬を使わない薬剤師”になりました。

歩くことはもっとも日常的な運動です。手軽でありながら、運動量を増やすのにも効率的です。ジムに通わなくても、時間がなくても、毎日の通勤中にできるという点でも、みなさんにおすすめしたい運動です。

脚を鍛ることがダイエットの第一歩

脚にどれぐらいの筋肉がついているかご存知ですか?全身の筋肉の3分の2です。太ももとふくらはぎに大きな筋肉がついています。歩くことは脚の筋肉を鍛えること。そして筋肉を増やすことは、健康やダイエットにも直結します。

ウォーキングは簡単ではありますが、やはりコツがあります。これを知って歩くのと歩かないのとでは大違いなので、ぜひ知っておいてほしいと思います。

コツ1.ふくらはぎの筋肉を意識して歩く

ふくらはぎは「第2の心臓」といわれるほど、血液の流れに影響の大きい筋肉です。歩くときはふくらはぎの筋肉が伸びたり、縮んだりしていることを意識しましょう。筋力トレーニングはどれもそうですが、鍛えたい部位を意識することで鍛えられます。

コツ2.肩甲骨を後ろに引いて歩く

ダジャレではなく、肩甲骨は「健康のコツ」です。肩甲骨まわりの筋肉を動かすことで身体全体にいい刺激が伝わり、インナーマッスルも鍛えられるのです。歩くときは肩甲骨を使い、腕を後ろに引きながら歩くことを意識してください。腕を前に大きく振るのではなく、後ろに引く意識で、胸を張って歩きます。この歩き方で猫背の人も、グッと姿勢がよくなりますよ。

コツ3.1日300歩でもよし。2〜3分だけで「質を上げる」

ウォーキングというと、何歩歩いたらいいか、何分歩いたらいいかという話になりがちですが、肝心なことは時間より正しい姿勢で歩くことです。量より質です。目安としてあげるなら、1日300歩、2〜3分、正しい姿勢を意識して歩きましょう。毎日1万歩なんて気張ると大変すぎて続きませんからね。

ウォーキングはいつ始めてもOK。最近疲れやすい、風邪をひきやすくなった、太りやすくなった……、そんな人は体力が落ちているかもしれません。筋肉は“老化”することはありません。使わないから“退化”するのです。

睡眠時間を確保し、栄養バランスの取れた食事に気をつけ、正しい姿勢で歩くこと。忙しいなか、これを毎日こなすのはタイヘンかもしれません。少しずつでも日々の生活習慣に取り入れていってもらえれば、来年の花粉症はきっと楽になっていますよ。

肩甲骨をしっかり後ろに引いて歩きましょう!



■賢人のまとめ
免疫力を高める健康法はたくさんありますが、身近でお金もかからない方法としておすすめしたいウォーキング。脚の筋肉を鍛えることが、身体全体をシェイプすることにつながります。肩甲骨を意識した正しい歩き方を身につけましょう。それが案外、薬いらずの身体をつくる近道なのです。

■プロフィール

薬の賢人 宇多川久美子

薬剤師、栄養学博士。(一社)国際感食協会理事長。明治薬科大学を卒業後、薬剤師として総合病院に勤務。46歳のときデューク更家の弟子に入り、ウォーキングをマスター。今は、オリジナルの「ハッピーウォーク」の主宰、栄養学と運動生理学の知識を取り入れた五感で食べる「感食」、オリジナルエクササイズ「ベジタサイズ」などを通じて薬に頼らない生き方を提案中。「食を断つことが最大の治療」と考え、ファスティング断食合宿も定期開催。著書に『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)など。LINEお友達限定で、絶対に知っておきたい薬のリスク情報配信中。