地球平面説支持者、自作ロケットで自分を高度570mへ打上げ。しかし平たい地球確認できず、次は宇宙目指す
2016年、地球平面説を突然主張しはじめ、物理学者ニール・ドグラース・タイソンに"ビーフ"を挑んだ若きラッパーがいました。我々からすれば唖然としてしまいそうな言い争いは、タイソンの甥までが飛び入り参戦するという、なかなか見どころある展開を見せつつも、いつの間にか話題にのぼらなくなりました。

そして2018年、こんどは地球平面説支持派の自称ロケット科学者(本業は運転手)が登場、地球が平たいのを確認しようと自作ロケットに乗り込み、打ち上げを実施しました。マイク・ヒューズ氏は長年、地球が平らであることを信じてきただけでなく、自分でロケットを作り、それに乗り込んで自分の目でフラットな地球を見るのだと主張していました。また、すでに2014年には最初の自家製ロケットに乗り込み、高度約420mまで打ち上げたことがあるとも主張しています。ただこの話にはそのロケットに乗り込んでいる様子も打ち上げの様子も証拠となる映像記録がなく、周囲からはあまり信用されていません。


今回の打ち上げに関しては、ヒューズ氏はもともと2017年11月の実行を予定していました。しかし、米国の土地管理局はいくつかの法的理由を持ち出して、ヒューズ氏が公共の土地を利用することに難色を示しました。さらにロケット自体の技術的トラブルもあって打ち上げは延期。今年になってカリフォルニア州アンボーイの土地所有者から土地使用の許可をとりつけたほか、打ち上げから着陸までをその土地の範囲内に収めるため、移動可能なトレーラーハウスを発射台として利用できるよう改造しました。



再び自作ロケットを打ち上げる準備を整えたヒューズ氏は3月24日、蒸気圧を利用する彼の自作ロケットに乗り込み、カウントダウンもなしに射出されて高度約571mまで上昇したのち、パラシュートを開いて降下、無事に土地の内側に帰還しました。着地の衝撃か機体は先端部分が割れるように破損していたものの、ただひとりの乗組員であるヒューズ氏は「背中が痛いけど無事だ」とかけつけた救護チームに語ったとのこと。

ヒューズ氏はさらなる打ち上げを臨んでいます。「地球はフリスビーのような形をしていると信じるかって?信じているよ。」「それは確認できたか?いやまだだ。だから私は宇宙に出てみたいんだ」とヒューズ氏は語っています。

ヒューズ氏は、今度は大きなバルーンを使ってある程度の高度まで機体を運び、そこから一気に高度100km以上の"宇宙空間"を目指すロケットを作ろうと計画しています。そしてそれは、すべて順調にことが進めば、早くて8月(?!)にも実現できるだろうとのこと。

自分でロケットを作り、宇宙へ出てしまおうと本気で考えているところは、まるで映画『アストロノーツ・ファーマー』のようではあるものの、現実的に見ればやっていることは無茶そのもの。本人の勝手といえばそれまでですが、大怪我をしたり取り返しのつかない事態にならないことをただただ祈るばかりです。

以下蛇足。科学的に説明をすると、もし本当に地球が平面ならば、重力は地面方向ではなく、円盤状の地球の中心(軸)方向、つまり斜め下方向に働くことになります。となるとわれわれ人間はヒット曲「Smooth Criminal」のマイケル・ジャクソンのように斜め立ちをしなければならないはず。またB.o.Bに「地球は丸いんだよ」と教えるニール・ドグラース・タイソンが落としたマイクも、垂直でなくほぼ横方向(にある地球の中心)に向かってすっ飛んでいくことでしょう。

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