伊方原発の運転差し止め、9万年前の阿蘇山噴火から考えるべきこと

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 広島高裁が13日、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、運転を禁じる仮処分を決定したことで、電力業界に激震が走っている。2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、ようやく再稼働の動きが強まってきた原発ながら、今回の高裁決定に電力業界は「再稼働の機運に水を差しかねない」(地方電力幹部)と危機感を募らせる。料金引き上げなど産業界にも多大な影響を与えそうだ。

 四電は原田雅仁常務が会見し、「正直驚き、今でも信じられない」と述べ、異議申し立てする考えを表明した。また運転を停止した場合、燃料コストが1カ月当たり35億円程度増加すると試算。「大きな影響を与える」(原田常務)とした一方、現時点では「料金引き上げはしない」(同)と述べた。

 高裁が原発の運転停止を決定したのは初めて。それだけに、電力業界が受けた衝撃は計り知れない。今後、同様の決定が他の原発に広がる懸念もあり、「原発に対するアゲンストの風が強まる可能性もある」(電力関係者)。原発再稼働が遅れる場合、電力料金の引き上げがささやかれるほか、来夏の電力需給問題にも発展する。

 国の安全宣言を司法が覆すことで、原発の安全性を誰が判断するかという課題が改めて突きつけられている。