トヨタ、ミラーを利用し死角を減らす。「Aピラーが透けて見える」技術の特許申請
クルマ好きにとって、曲がりくねった峠道をどこまでも愛車で走ることほど心が癒される時はないだろう。我々は多数の様々なクルマを試乗してきたが、一部の車種に視界的な問題を感じることが時々ある。

特にフロントガラスが極端に傾斜しているスポーティなクルマでは、Aピラーの太さがまちまちで視界をひどく遮ることがあるのだ。特に左曲りの急カーブでは(右側通行の米国の場合)、ピラーで前方が確認しづらくなることは珍しくない。これは苛立たしいだけでなく、クルマが向かう先が見えないのは危険でもある。トヨタはおそらく、このような危険を減らすために、透けて見えるAピラーの特許を申請したのだろう。

今月10日に公開され、「物体を透けて見えるようにする器具および手法」という題名が付けられたこの特許は、ミラーを使いピラー周辺の写像を屈曲させることで死角を減らすということらしい。説明や図面を見ても(多くの特許がそうであるように)その仕組みは分かりにくい。しかし、上の図が示すとおり結論は明白だ。

当然ながらその技術はAピラーだけでなく、どのピラーにも利用でき、乗員に良好な周辺視界をもたらすことになる。安全性に対する懸念が最も大きいのは前方のピラーだが、他のピラーも基本的に透明化すれば、車線変更時など肩越しに後方を確認する際に大いに役立つはずだ。

この問題に取り組もうとしたのは、もちろんトヨタが初めてではない。以前に他社が考案した手法では視界を向上させるためにビデオカメラや高価な機器が使われていたが、トヨタはその「メタマテリアルや動画技術の使用が設計や装備を複雑にした」と指摘している。確かに2001年に登場したボルボ「セーフティ・コンセプトカー(SSC)」には視界を向上させるためにAピラーに小さな窓が配されていたのを我々も覚えている。もしトヨタの設計が低予算かつクルマの構造的整合性に妥協することなくドライバーの視界を向上できるなら、早く実現されることを願いたい。そうすれば運転(または歩行や自転車)はより安全になるだろう。

ピラーの大きさや位置をそれほど気にすることがないのであれば、デザイナーにとっては自由度が少し高まるはずだ。ルーフラインを好きなだけなだらかに傾斜させて、強度のある太いピラーを用いても、急カーブの先を見通すことができるようになる。

By JOHN BELTZ SNYDER

翻訳:日本映像翻訳アカデミー