「代立軍」イ・ジョンジェ“作品に臨む際は、いつも崖っぷちに立った気持ちです”

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先日、映画「代立軍」を初公開する場で、デビュー25年目の俳優イ・ジョンジェは、誰よりも緊張した姿を見せた。当時を思い浮かべて「とても緊張して手足が震えた」と打ち明けた彼は、デビュー作公開を控えた新人のように、高鳴る胸を隠すことはできなかった。

映画「代立軍」(監督:チョン・ユンチョル) は、1592年の壬辰倭乱(文禄の役の朝鮮側からの呼称)、明(当時の中国の呼号) に避難した朝鮮第14代王宣祖(ソンジョ) に代わって、一時的に分朝を率いることになった世子(王の跡継ぎ) 光海(クァンヘ) と、生存のために他人の軍生活を代行する「代立軍」が残酷な戦争に対抗し、運命を分かち合う話を描いた作品。

イ・ジョンジェは劇中、生活のために他人の軍生活を代わりに行う代立軍の首長トウ役で熱演を広げた。彼は朝鮮時代、最下層民に当たる代立軍の役を演じるため、口調から一つずつ直していきながら準備したという。

「トウは、僕が今まで演じたキャラクターの中で、最も身分が低いキャラクターです。壬辰倭乱当時、僕を含め、僕の同僚と必ず生きて帰らなければならないという使命感を持った人物です。仲間を統率しようと無理に追い込む状況もあるが、それにも関わらず内面に恐怖心を持った人間の姿を見せたかった。だから時代劇に対しとても悩みました。映画『観相師』の首陽大君(スヤンデグン) の時とは違った雰囲気を与えようとしたんです。」

イ・ジョンジェが言ったように、トウは表面上は荒くて強そうに見えるが、自分が置かれた状況について不安を感じる人物でもある。劇中トウは“崖っぷち立った人”だった。「怖くとも耐えなければならない」などのセリフを介して、自分が感じている恐怖心を表わした。

「実際に作品に臨む際、崖っぷちに立った気持ちでした。観客に気に入ってもらえるか心配になったりして、キャラクターを演じ切るためには、世間体や恥ずかしさも取り除いて思い切り全部注ぐのだが“もっと上手くやれるなら、何でもやってやる”と、このような心構えで臨みます。恐らく、崖っぷちに立った人ってこのような心構えじゃないでしょうか? だからか『怖くとも耐えなければならない』という台詞が、特にグッと来ました。演技者としての欲もあって、引き続き新しいものをお見せするには、怖くても耐えなければいけませんから」

劇中イ・ジョンジェはヨ・ジングと息を合わせた。ヨ・ジングが引き受けた世子の光海は、代立軍と一緒に逆境を乗り越えながら真のリーダーに成長する人物だ。イ・ジョンジェが引き受けた代立軍の首長トウは、世子が真のリーダーに成長するために大きな影響を与える補助者の役をする。2人は映画の中でも外でも、格別なケミ(ケミストリー、相手との相性) を誇った。

「ジングは全然幼い子ではありません。後輩というよりか親しい同僚という感じが大きかったし、僕よりもオジサンだと思う(笑) 撮影が休みの日にもソウルに上京せず、マネージャーとグルメ探索をしていました。また演技の息は非常に良かった。ジングは演技経験も豊かで理解度の高い子だから、お互いの意思疎通もスムーズだったし楽しく撮影した」