TBS日曜劇場『A LIFE〜愛しき人〜』公式サイトより

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 木村拓哉(44)主演ドラマの『A LIFE〜愛しき人〜』(TBS系)の第8話が、視聴率15.7%と同番組最高記録をたたき出した。1月期ドラマでは、かろうじて2ケタをキープしている状態の『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)と『嘘の戦争』(フジテレビ系)を大きく引き離し、独走状態となっている。

 SMAPの肩書が無くなった木村の初主演ドラマとあって、放送前から注目度も高く大ゴケを予想する声も多かった中でのこの結果に、歯ぎしりしている“アンチ木村派”も少なくないだろう。しかしそんな『A LIFE』の大躍進も、関係者の間では「木村の力だけではない」という声もあがっているようだ。

 今作では、ヒロインの竹内結子(36)を始め、浅野忠信(43)や松山ケンイチ(32)といった、脇を固める役者陣にも主役級を配している。中でも、竹内扮するヒロインの深冬の夫・壮大役を務める浅野は、やや情緒不安定なキャラクターを見事演じ切っており、浅野の演技力が改めて評価されている。と同時に、壮大に対するバッシングのコメントもちょっとした話題になっているとあって、木村が結果を出したわけではないという声があがっているのだ。

「放送前は、何をやってもキムタクになってしまう、その“キムタク演技”がネックになって視聴率も上がらないのではと予想されていましたが、フタを開けてみれば脇を固める役者陣の演技力がクローズアップされることが多く、それが結果的に視聴率にも繋がっているようです。木村があまり前に出過ぎない、演出の勝利ともいえるでしょう」(芸能記者)

■ライバルは不戦勝?放送枠でも最大限の配慮

 配役もさることながら、今ドラマが視聴率のためにもっともアシストしたことといえば、その放送枠であろう。

「『A LIFE』は、当初昨年10月期に放送が予定されていたと言われていました。しかし、同じ医療系ドラマで大人気の『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)の、シリーズ第4弾が10月期に放送されるようで、競合を避けて『A LIFE』が1月期に変更になった経緯がある。絶対に失敗は許されないTBS側の決意の表れでしょう」(前出・芸能記者)

 結果的に『ドクターX』は、2016年のドラマ最高視聴率となる、平均21.5%という数値をたたき出したのだから、勝負を避けて正解だったと言わざるを得ない。もし同じ10月期で勝負を挑んでいれば、同じような視聴率にはならなかっただろう。

「放送期だけでなく、日曜9時放送の“日曜劇場”という枠は裏番組が弱く、木村の視聴率アップに最大限配慮した格好です。木村に“低視聴率男”のレッテルが貼られては困りますから。ジャニーズとしては、今後も人気ドラマと被らないようにとの要望が出るのではとも言われています」(テレビ局関係者)

 確かに、木村だけの力でたたき出した視聴率ではなさそうだが、こうした関係者の働きかけもまた、木村ならではということだろう。“アンチ木村派”の歯ぎしりはしばらく続きそうだ。

文・佐々木浩司(ささき・こうじ)※1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『洗脳のすべて』(宝島社)など。