※2017年1月23日追記
『ナステント』について、製造販売元のセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社が自主回収を実施しています。
詳細は『ナステント』公式サイトをご覧ください。

“寝ている時の自分”は、意識がないのでどうなってるのかわからない。……と思いがちですが、記者は自分のいびきで起きたことがあります。ということは、少なくとも「いびきをかいている」状態は確認できたわけで。

いや、悠長なことを言ってる場合じゃないんです。最近は体重も激増したし、身に覚えがありまくり。朝起きてもなかなかベッドから出られないし、寝ても寝ても眠かったりするし、日中に眠気を感じることは少なくない。これってもう、深く眠れていない事実が明白じゃないのかと……。

航空宇宙分野で活用された技術を活かして完成したチューブ


そんな私へ朗報! セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社(東京都港区)が発売している『ナステント』が、今話題になっているらしいのです。

まずは、現物をご覧ください。こんな形をしています。


主成分は、人肌に近い硬度5〜20のシリコーンゴム。これを、鼻から挿入するそう。


すると、チューブの先端が口蓋垂(のどちんこ付近)にまで到達。いびきの原因となる「気道の閉塞」、寝苦しさや睡眠中の頻繁な覚醒を予防し、呼吸の確保を助ける効果が期待できるというのです。



いや、いびきを抑えるなんて最高じゃないですか! でも「鼻から挿入」って、単純にメチャメチャ苦しそうなんですが……。でっかいこよりじゃないんだから。
「いえ、筒状(空洞状)になっているので、挿入しても空気の通り道がきちんと確保されます。さらに、『ナステント』は鼻腔という元々ある空気の通り道に“挿入する”“置いてあげる”イメージです。挿入することでより空気の通り道をしっかり確保した状態なので、鼻からの空気がスッと入って来ます。『ナステント』は鼻腔の形状に合わせて湾曲しており、違和感なく使っていただくことができます」(担当者)
同社の子会社「スーパーレジン工業」は、カーボン等の素材メーカーだったそう。航空宇宙分野でも活用されたその素材加工技術が『ナステント』には活かされており、素材、形状、太さ等の試行錯誤に7年かけ、鼻に挿入してもできる限り違和感のないものが出来上がりました。現在、『ナステント』は「一般医療機器」(不具合が起きた場合でも、人体への影響が極めて低いと考えられるもの)に分類され、2014年7月の発売以降は医療機関や薬局で取り扱われているとのことです。

この商品を使用するに最適な人は「いびきに悩んでいる」「朝すっきり目覚めたい」「睡眠の質を高めたい」「口呼吸を避ける」といったタイプらしい。
……それって、私じゃないですか! というわけで、『ナステント』を実際に試してみたいと思います。

鼻から入れて、のどちんこから見えた!


私が取り寄せたのは「お試し6本セット」(税抜3,600円)なるもの。『ナステント』には6種類のサイズ(120〜145mm)と2種類の硬さ(ソフトとハード)があり、同セットにはソフトの6サイズが同封されています。


また人間には「利き鼻」というのがあり、左右どちらかの「利き鼻」側に対応した『ナステント』を使った方がいいみたい。鼻の通りの良さには左右差があることが多く、空気の通りが良い方を「利き鼻」と呼ぶ。記者は、どうやら左側みたいです。

実際に手に取ってみると、ちょっとヌルっとしてるのがわかります。


これは、潤滑剤としてハイドロジェル(80%以上が水分)を塗布されているから。そして、思ったよりフニャッとやわらかいです。安心しました。正直、もっと融通の効かなそうな固さを想像してたから……。

というわけで今回は120mmの『ナステント』を、意を決して挿入しようと思います! 正直言うと、おっかなびっくりです。たしかに始めはスルスルと進んでいき「入ってく、入ってく!」というテンションなのですが、やはり恐怖心があるので挿入途中で小休止したり。そしてちょっと休んだら、また入れ進めていく。途中で鼻水やくしゃみが出てきたりもしましたが、これは生体現象なので問題ないそうです。
そしてかなりの長さが鼻に挿入されたら、チューブが喉辺りに到達したのがわかりました。「あっ、当たった!」というはっきりした感覚ではなく「もしかしたら喉に届いたんじゃないの?」と気付く程度のレベル。こんな感じで最後まで挿入し切ったら、『ナステント』と空いている右鼻にノーズクリッパーを掛けて終了。鏡に向かい口を開けてみると、喉辺りに『ナステント』がチョイ見えしています。今さらながら、人体の不思議に驚愕!


忌憚なく言わせてもらうと、違和感が無いわけじゃないです。でも、眠れないほどじゃない。この違和感は3日ほど連続で使用すればなくなっていくそうだし、食事はNGなものの挿入したままドリンクを飲むのは問題ないというのが嬉しいです。

では、眠ります! 睡眠中の私がどうなっているかは、いびき録音用スマートフォンアプリ「いびきラボ」で計測しようと思います。

……う〜ん、朝だ。おはようございます。気付いたら寝てました。どうやら、挿入したままでも睡眠には問題なかったよう。じゃあ、睡眠時(約5時間)に私はいびきをかいていたのかアプリで確認してみます。……あらぁ、「穏やか」だって! 静かじゃないですか。


「録音し損ねたのかも?」と念のためもう1台稼働させていたICレコーダーを再生すると、やっぱり私はいびきをあんまりかいてませんでした。ちなみに、以下が普段のいびき状況。変化を察することができます。



電車内、飛行機内でも使える


もちろん個人差はあるでしょうけど、私はこういう結果です。でも、いびき等が完治したわけじゃない。というか、いわゆる「無呼吸症候群」を完治させる方法は無いそうです。
「メガネやコンタクトレンズが視力自体を回復させる物ではないのと同じと考えてください。『ナステント』を挿入して眠った日は呼吸はサポートされていますが、挿入しない日は元々のいびき・無呼吸が現れることになります。ご自身の体調に合わせ、継続的にご利用されることをお勧めします」(担当者)

そんな『ナステント』、通常価格は7本入りで4,200円(税抜)。指定の薬局で購入できるし、最近はビックカメラのコンタクト売場(研修を受けた販売員をマイスター制度で認定)でも販売し始めているそうです。

そういえば、今までは大仰な装置を使った治療法「CPAP(シーパップ)」でしか無呼吸症候群の治療はできませんでした。


保険も適用されるCPAPは安定した効果を得られますが、装着する手間や持ち運びのことを考えると『ナステント』の方が使い勝手は良さそうです。旅行時、もしくは列車や飛行機内の仮眠時に平気で利用できる気軽さも強みでしょう。
(寺西ジャジューカ)