東京2020オリンピック公式サイトより

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 4月8日、2020年に開催される東京オリンピックのエンブレムデザインの最終4候補が発表された。巷では再び"鑑定"の動きがある他、佐野研二郎氏がデザインした前回のエンブレムに、改めて低評価が下されている。

■候補決まり、さっそく“鑑定”の動き

 佐野氏の"パクリ問題"で物議をかもした東京オリンピックのエンブレム問題。今回の再選考では14,599の作品が集まり、エンブレム委員会が4作品にまで絞り込まれた。最終審査は4月25日に実施される予定。

 公式サイトでは、各デザインについてデザインコンセプトを丁寧に解説。そして「作品の良い点、優れた点など前向きなご意見、応援コメントをお願いいたします」と再炎上しないように釘を刺しながら一般意見も広く募集している。

 さっそく"鑑定"をする動きもあるが、今のところは「平和や調和の"和"を表現した」というB案が、「ドラゴンボールで亀仙人が使った"魔封波"に似ている」という指摘が出ている程度。どのデザインも致命的なパクリ疑惑はない模様だ。

「どれもモチーフがハッキリしており、"出どころ"が分かりやすいものばかり。ある意味、"炎上騒ぎはもうコリゴリ"というエンブレム委員会の守りの姿勢も感じさせますね」(報道関係者)

 4つの最終候補が発表されて、再び話題に上がっているのが、前回発表された佐野氏のデザイン。昨年夏に発表されるや否や、「ダサい」「意味不明」などと大バッシングが起きた。さらにベルギー人デザイナーのオリビエ・ドビ氏が、自身が手がけたリエージュ劇場のロゴ・フォントと同デザインが「驚くほど似ている」と訴えてパクリ疑惑が浮上。その後、佐野氏の過去作品も含めて同じ疑いが次々と明るみになり、最終的に昨年9月に佐野氏のエンブレムは使用中止に至った。

 佐野氏のデザインは、今回の最終候補デザインと比較され、その出来は「やっぱりひどい」という低評価が目立つ。

「佐野案の騒動が大きくなった要因はウェブサービスの進化。Googleの類似画像の検索サービスなどが、問題を正確に指摘するきっかけの一つとなりました。ただそれ以上に『ダサい』『変更してほしい』という多数の人々の拒否反応が問題に拍車をかけましたね」(同上)

 ちなみに現在、佐野氏は多摩美術大学の教授職を今だ休職中。再選考のデザインについて、佐野氏の事務所は一部メディアに対して「何も申し上げることはございません」と回答しているが、はたしてどんな思いでこの再選考を見つめているのだろうか。

文・海保真一(かいほ・しんいち)※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。週刊誌で執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。