人生に積極的だと長生きする理由がわかった

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日常生活の何事にも積極的で、計画を立てて実行する人は、そうでない人と比べ、一部のがんの発症リスクは高いが、全体でみるとがんで死亡するリスクが15%も低いという不思議な結果が出た。

国立がん研究センターなどのチームが研究をまとめ、2016年3月5日発表した。このタイプの人は検診を積極的に受けるため、がんが見つかる率は高くなるが、その分がんが進行していない状態で発見されることが多いからだ。

脳卒中や心筋梗塞の死亡リスクも26%低い

研究チームは、北は岩手から南は沖縄まで、全国8つの都府県の男女5万5130人を8年間にわたって追跡した。追跡期間中に5341人ががんを発症、うち1632人が死亡した。対象者には自記式アンケート用紙を送り、日常生活で経験する出来事や問題に対する対処の方法を聞き、性格を調べた。

具体的には、問題が起こった時どう対処するか、次の6つの行動パターンを示し、それぞれ自分にあてはまる頻度を聞いた。(1)解決する計画を立て、実行する(2)誰かに相談する(3)状況のプラス面を見つけ出す努力をする(4)自分を責め、非難する(5)変えることができたらと空想したり願ったりする(6)そのことを避けて他のことをする、の6つだ。

そして、「積極的・計画的」に対応するタイプを「対処型」、「消極的・場当たり的」に対応するタイプを「逃避型」と名付け、その性格パターンとがん発症、死亡のリスクを比較した。

すると、「対処型」の人は「逃避型」の人に比べ、がん全体の発症リスクはほぼ同じだったが、まだ他の臓器に転移していない段階の早期がん(限局性がん)を比較すると、発症率(見つかる率)が約13%高かった。しかし、逆にがん全体の死亡リスクは約15%低かった。また、「対処型」の人は検診でがんが見つかる率が35%も高かった。

研究チームでは「性格によってがんにかかるリスクに差はないが、対処型の人は検診にも積極的だから、がんの早期発見につながり、命が助かる人が多くなる」とコメントしている。

ちなみに今回の研究では、脳卒中や心筋梗塞のリスクも比較している。「対処型」の人は「逃避型」の人に比べ、脳卒中や心筋梗塞で死亡するリスクは26%低くかった。こうなると、性格の差が寿命に影響してくるといえそうだ。