清原逮捕”第一報”から見えてくる周辺情報

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 何か事件が起きたとき、スポーツ新聞の「第一報」は注目だ。それまでどういう情報をつかんでいたのか、または第一報でどんな情報を入れるのか。読み甲斐があるのは第一報だと思うのです。

 それを頭において、清原和博容疑者の逮捕についてスポーツ新聞やタブロイド紙の第一報(2月4日)を比べてみた。注目する点は2つ。「警察はいつから内偵していた?」「清原はいつから覚醒剤を使用?」である。

■清原にマジック点灯したのは昨年秋ごろ?

「警視庁は昨年秋ごろから本格的に内偵し、行動をチェックしていた。」(東京中日スポーツ)
「数年前から、捜査当局が、複数の情報などに基づき薬物使用に関してマークをしていた」(日刊スポーツ)
「昨年からは薬物事件を専門とする組織犯罪対策5課が本格的捜査を開始。実際に昨年末、「清原逮捕間近」の情報が流れ、マスコミが確認に追われる事態もあった。」(夕刊フジ)

 注目は「日刊スポーツ」だ。清原容疑者へのマークは「週刊文春」の「清原・薬物疑惑記事」(2014年3月)が書かれたことで実はいったん弱まったという。身辺を強く警戒する動きを見せるようになったためで「長期間にわたって慎重に進めるのが基本の薬物捜査がやりにくくなり、当局はいったん動向を静観するようになった」という。しかし、清原の薬物情報を知る人物が捜査関係者に情報提供する動きをみせて「本人の周囲が昨年後半ごろからきな臭くなっていたようだ」と報じた。

 どうやら、各紙読み合わせてみると清原容疑者にマジック点灯したのは「昨年秋から」ということがわかる。次は「清原はいつから覚醒剤を使用?」の点。

 これは各紙分かれた。文春の報道が2年前ということで「ここ2年」というのが大方の見立てなのだが「東京中日スポーツ」は、「2010年ごろ 清原容疑者が覚せい剤を使用している情報が駆け巡り、警視庁などの捜査関係者が逮捕を視野に入れて内偵していた。」疑惑は5年前からあったと書く。

「東スポ」は芸能プロ関係者のコメントとして「この2年間で何度か『清原がクスリをやめた』という情報が回ったことがあったが、やはりダメだった」。最低限この2年間はやっていたという前提が行間からわかる。

 そして「日刊ゲンダイ」。なんと第一報が「清原 シャブ漬け20年」。他紙と年数の単位が違う。この見出しは、西武で数年、清原容疑者とチームメイトだったOB(匿名)の証言を根拠にしている。96年オフに西武から巨人にFA移籍する直前に「球界ではやったグリーニー。アンフェタミン系興奮剤で覚醒剤の一種」をやりだしたという。ここからエスカレートしたという説。

 果たして「正解」はいつなのだろうか。以上、清原逮捕の各紙読み比べでした。

著者プロフィール


お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)。