写真はTwitterより引用(一部加工しています)

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「バカ」と「ツイッター」をくっつけた造語「バカッター」。面白半分に行った迷惑行為をツイッター上で武勇伝のようにつぶやいた人への蔑称である。

 これまで、コンビニエンスストアの冷蔵庫や冷凍庫の中に入る行為や未成年の飲酒、喫煙など、さまざまなバカッター事案が発生した。高校生がJリーグ・ガンバ大阪のパトリック選手に対し「黒人死ねよ」と人種差別的な返信を行った行為も、バカッターの一種と言えそうだ。

 分別のつかない若者の悪ふざけもあれば、セキュリティ会社の管理職社員がタレントの千葉麗子に向けて連発した「ぱよぱよちーん」ツイートなど、企業の役職に就く大人が行うケースもある。

 最近では1月22日、小学生がクレーンゲームに潜って景品を盗むという窃盗行為を動画で投稿した例も。バカッターはネット界ではある種、お祭り騒ぎとなりがち。発生するたびインターネット上で私刑に晒されているが、いまだ撲滅していないのが現状だ。

■食器洗い場で男子高校生アルバイトが裸で入浴

 日本有数の温泉地、北海道の登別温泉に位置する登別グランドホテルで、新しいバカッターが誕生してしまった。登別グランドホテルは「登別の迎賓館」と称される老舗ホテルだ。

 1月18日深夜、アルバイトとして働いていた男子高校生が、食器洗浄の準備のためにお湯を張っていたシンクの中で“入浴”を行った。しかもその様子を同僚の高校生に撮影させ、写真をツイッターにアップしたのだ。投稿には、煽る文章までついていた。

「バイト探している人グランドホテルの洗い場に来ない?」
「拡散よろしく」

 写真に掲載されていた流し台は、家にあるお風呂の浴槽をイメージさせられる大型サイズ。男子高校生が裸で入った流し台からは大量の水が流れ、床は水浸しになってしまっていた。まさにバカッターそのものである。

 なお、当該アカウントは現在削除されているが、削除前にツイートや写真のキャプチャが保存され、拡散された。しかも、登別グランドホテルもツイート写真を北海道新聞などメディア各社に画像提供したため、多くの人が“証拠”を把握できる状態となった。ホテル側も内部の恥を素直に認めた形だ。

 登別グランドホテルは1月22日、公式サイトにお詫びのリリース文を発表した。そんなホテルに対して、

「一部の心無いスタッフのいたずらだろう」
「ここから老舗ホテルの本気を見せろ」

 など、応援や同情の声も見られるが、管理責任を怠った件には厳しい声も。ホテルへの批判から、登別や周辺エリアの衰退を危惧する意見もある。

「登別グランドホテルは、アルバイトスタッフは業務委託先から派遣しているとし、社員および業務委託先への再教育を行うとしている。しかし、このようなバカッターを発生させてしまった代償は、想定以上に大きくなるのでは」(地元紙記者)

 2016年もバカッターは健在のようだ。

(取材・文/春山修司)

春山修司ネットニュースを中心に執筆するライター。社会、文化、芸能、スポーツなどほぼオールジャンルを網羅する