20日、世界貿易センタービルで開かれた「地域ポータルGISサミット」(撮影:佐谷恭)

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ポータルサイトやGIS(地理情報システム)などを使ったまちづくりやコミュニティー作りの事例を紹介する「地域ポータルGISサミット」(国土交通省主催)が20日、東京都港区の世界貿易センタービルで開かれた。ウェブサイトを使いコミュニティー活性化の取り組みを進めている島根県など9自治体の代表者が、発表やパネルディスカッションを行ない、それぞれの課題や今後の方向性について議論した。

 電子自治体の取り組みで先行する神奈川県藤沢市は、地域情報にアクセスする入り口として作った「えのしま・ふじさわポータルサイト」と、GISを利用した「みんなで育てるふじさわ電縁マップ」を紹介。発表者のe-コミュニティーふじさわ推進委員会の平山元英委員長は「情報をただ流すリンク集ではなく、コミュニティー作りの支援を目指して作った。行政が市民に参加するよう呼びかけるよりも、すでにある人材やコミュニティーをうまく使うことが成功の秘訣」と話した。

 熊本県八代市は、ウェブサイトの“荒らし”を防ぐため、実名性を高めたSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を組み込んだ住民コミュニティー支援サイト「ごろっとやっちろ」を作った。地域での利用者は着実に増加し、昨年末にはアクセス数が月間6万に迫り、八代市の行政サイトを超えたという。

 多くの自治体で、GISは飲食店や観光などの情報発信に役立てられている。単に情報を閲覧するだけでなく、書き込みや写真の掲載ができるため、地域についての知識や関心が増したという声があったという。また、地図を使って複数の情報を同時に表示することもできるので、災害や防犯対策への活用が検討されている。

 GISは、地図をコンピュータで扱うためのシステムで、紙の地図と比べ、表示、加工、データ解析、検索などが容易にできる。施設管理やマーケティング支援、カーナビゲーションなどさまざまな分野で活用されており、国土交通省は2003年4月から06年3月までの3年間、「GIS利用定着化事業」を推進し、専門家だけでなく一般ユーザーの利用を促していた。同サミットは、「地域コミュニティ分野」での実証実験の最終発表会として行われた。 【了】

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GISって使えるよ!国土交通省国土計画局)
島根県中山間地域研究センター
えのしま・ふじさわポータルサイト(神奈川県藤沢市)
ごろっとやっちろ(熊本県八代市)