東京の安宿を探してみると山谷では三畳一間の個室に2000円台で宿泊可能でした
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西が大阪の西成ならば、東は東京の山谷。日雇い労働者の生活拠点として発展した両地区ですが、最近では旅行者の受入にも積極的で、外国人観光客もスーツケースを引いて歩いています。2年ほど前に西成に泊まったときのことを記事にしましたが、思いのほか快適だったので、今回は東京の山谷で安宿を探してみることにしました。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。世界各国の安宿を体験してきた自分にとって、山谷のクオリティは十分でした。この夏に滞在していたフランスやイギリスだったら相部屋で2000円以上していましたし、その値段で個室を確保できる先進国なんて自分は知りません。今回は一時帰国のあとの再出発が成田からのフライトなので、東京に向かいました。
JRだと常磐線の「南千住駅」から徒歩10分程度。
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駅の近くにはスーパーマーケット、ユニクロ、しまむら、ダイソーなどが入る大型商業施設があって、家族連れや若者で賑わっていました。近くに大規模な分譲マンションの団地があったりと、山谷地区とは違って雰囲気はだいぶ明るいです。
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地下鉄、東京メトロの日比谷線「南千住駅」も最寄り駅。
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駅を出て都道464号線の通称「吉野通り」を南に歩くのですが、高架の歩道橋でJRの線路を跨ぐと、下町の雰囲気へと変わります。「泪橋」の交差点まで来ると、本格的な安宿街に突入。「東浅草二丁目」の交差点までは安宿が密集していました。吉野通りを外れて少し中に入ると、安宿の看板ばかりです。
かつて存在した「山谷」という地名は今はもうありません。清川・日本堤・東浅草・南千住といった地名に変わったのですが、かつての地域を山谷と呼ぶ慣習は残っていて、日雇い労働者の街で安宿が集まる場所といったイメージを重ねる方も多いでしょう。
泪橋交差点
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付近の案内板にも安宿の場所が記載されています。
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近くの「いろは会商店街」は、あしたのジョーの故郷として、町おこしを行っていました。
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「あしたのジョー」のモニュメントとしてジョーが立っていました。
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山谷地区からは東京スカイツリーの姿も確認できます。
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安宿の隣がも安宿、向かいの建物も安宿、通りの角も安宿、と山谷ほどに安宿が密集する地区は、海外でもなかなか出会えません。あちらこちらに宿の看板が掲げられているので、どこに泊まるか悩むほど。ただし、山谷で営業する安宿のメインのターゲットは長期滞在者。自分のような短期旅行者の宿泊が可能かはつかめず、不安でドキドキしながら受付に挑んでいました。
路地裏の建物の多くが宿泊所。
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こちらは幹線に沿って、4つのホテルが連続しています。
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ホテル三楽
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旅館越後屋
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ビジネスホテルとうきょう荘
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旅館会津屋本店
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Tokyo Backpackersという若者向けの宿泊施設も営業していました。
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気になる山谷の治安ですが、独り身の高齢男性が多く、雰囲気は少し暗いです。路地裏ではアンモニア臭が立ち込めてたり、「なんでぇ出てこねぇんだ〜」と酔っぱらいが自販機を蹴り飛ばしていたり。灰になったジョーのように座り込むならまだしも、横になって寝ているホームレスの姿もありました。深夜や早朝の人が少ない時間帯は、十分に注意したい所です。
◆1泊の相場
山谷にある安宿の入口には、料金や設備が提示されているのですが、1泊2200円が目立っていました。テレビや冷暖房はたいてい完備、冷蔵庫やインターネットを希望すると値段が上がる感じです。予算を3000円台まで上げると、建物も部屋も綺麗なホテルが見つかります。男性一人なら、どこに泊まっても困りませんが、女性一人なら、場所は選んだ方がいいでしょう。
ビジネスホテル楽陽 2200円
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ビジネスホテル七福 2200円
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ホテルあづみ野 2200円〜
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こちらも同じく、1泊2200円です。
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1泊1700円と、数は少ないのですが、2000円を下回る安宿も何軒か見かけました。
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幹線の吉野通りに面して並ぶホテルは、建物も綺麗でレベルは高め。その分、路地裏と比べると値段も少し上がります。女性なら、こちらの方が安心できそうです。
シングル1泊3450円のホテルアクセラ。密かに狙っていたのですが、自分が訪れた時は満室で泊まれませんでした。
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ホテル丸忠は1泊シングル4000円。分譲マンションのような外観。
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1泊シングル3800円のパレスジャパン。南千住の駅近くで地図を片手にしていた外国人の女性バックパッカーの道案内をしたのですが、彼女が探していたのもこのホテルでした。
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エコノミーホテルほていやの宿泊プラン。
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◆B・H 宏和
宿探し初日、緊張しながらドアを開けて部屋を尋ねるも「ごめんなさいね、今日は満杯で」と玉砕。山谷に宿泊する自信がなくなります。それでも寝床を確保しないと困るわけで、自分の様子を見ていた隣の宿なら話しやすそうと、そちらに突撃。そこは部屋も空いていて、1泊からでも宿泊できました。三畳の部屋で2200円と山谷の平均プライス。チェックアウトの時間を確認すると「何時まで居たい?」とまさかの逆質問。「お昼くらいには出ていけたら」と話すと「だったら、ゆっくりしていきなさい」と緩い空気に、ほっと一息つきました。
こちらが宿の外観
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部屋は三畳一間で、布団と人が歩けるスペースだけ存在。
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三畳とは別に設けられた荷物置き場
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入口の頭上には、棚もあるので収納には事欠きません。
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液晶テレビ
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作業するのに便利だったちゃぶ台
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旧式でゴォゴォと音を立てながらも部屋を暖めてくれたヒーター。集中暖房システムで、建物全部を暖かくしていました。
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少し年季を感じるフロア
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トイレとは別にある洗面台
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こちらがトイレ。使用感はあるのですが、清潔に保たれています。
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ゴミは分別して捨てましょう
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張り紙の注意書きが達筆
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一部屋一つずつ確保された下駄箱
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二畳1900円、三畳2200円、六畳2500円という価格設定でした。
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◆旅館紀伊国屋
翌日は、「旅館紀伊国屋」という別の安宿に移動。1泊が2700円」と昨日から500円上がるのですが、その分インターネットと冷蔵庫が使えます。チェックインしたのは午後3時、チェックアウトは翌朝の午前10時までに。3階の部屋だったのですが、エレベーターが動いていました。大通りに面して日差しが差し込むので、フロアの雰囲気も明るくてよかったです。こちらも1泊だけでしたが、ちゃんと宿泊できました。
大通りに面した看板
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昨夜と同じ三畳一間ですが、壁が綺麗なので部屋の雰囲気も悪くない。
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備え付けの布団
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電化製品が固まった一角
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液晶テレビはシャープ製
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ハイアール製の冷蔵庫。夏場だと冷たい飲み物を冷やしておけるので重宝しそうです。
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Wi-Fiではなかったのですが、有線LANでのインターネット接続が可能で、ネットカフェなみにサクサクとスピードが出ました。
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LANケーブルは受付で貸してくれます
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1階でコイン式の洗濯機と乾燥機を発見
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電子レンジも1階に置いてあり、コンビニの弁当も好きな時間に温められました。
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フロアには給湯器もあるので、カップ麺やカップスープなども作ることが可能です。
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火災の心配もあるので、室内は調理厳禁。
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フロアには共同の洗面所と……
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共同のトイレがあります。洋式トイレはないですが、共同だと和式の方が落ち着くかもしれません。
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山谷で泊まった2ヶ所とも、共同の浴場を完備。いつでも入浴可能ではなく、開いている時間は決まっていました。一度に何人も入れる大きな浴槽だから、人がいないと足も体も伸ばせてくつろげます。体を洗う時は、何個かあるシャワーを使いましょう。もちろん熱々のお湯が使えます。
◆山谷を探索
街中のコインランドリーは、洗濯が200円で、乾燥が10分100円でした。
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小分けの洗濯洗剤は自動販売機で20円
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コインロッカーは12時間100円で預入が可能。都内の繁華街だと1日300円で、日付が代わると300円が加算されるので、山谷の料金体系はお得です。長期滞在者の為の1ヶ月契約のロッカーもあって、そちらだと幾らでも開け閉めができるということ。
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日給1万1000円で作業員を募集する看板。
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そういう事から、格安で作業着が販売されていました。
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自動販売機は、大阪の西成と比べるとそこまで安くありません。
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唯一見つけた70円の自動販売機は不気味。
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敷金、礼金0円、保証人不要の賃貸案内を眺めてみたり。
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テレホンカードの格安販売の案内。
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レトロな遊具に思わずニヤリ。
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山谷の安宿はネットカフェとは違って、狭いながらもプライベートは完全に確保できますし、畳の上ではゆっくりと横になって眠れました。旅館業法もあって、各部屋に窓がつくのも嬉しいところ。隣の建物が重なり、快適とは程遠いですが、窓を開ければ空気が替わります。各フロアにトイレと、洗面台があるのも助かりました。新宿のネットカフェは、相当の人数が滞在可能なはずなのに、一つしかトイレがなくて困惑。
お金を出せば快適なホテルに泊まれるのですが、なかなかそうはいきません。再び上京する機会があったら、また山谷地区の安宿を選ぶでしょう。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)