およそ2ヶ月にわたるキャンプ・オープン戦を終え、いよいよ金曜日に開幕を迎えるスワローズ。

昨年のシーズンから故障者続発で、戦力の目途が立たないままこの日を迎えた。

まず投手陣から見ていくと、先発候補で故障の心配なく開幕を迎えられそうなのは増渕と赤川と新外国人のロマンの3名。

昨シーズン、血行障害の手術を受け、オープン戦も終盤に入った時期に足首痛を訴えた館山、石川は左足ふくらはぎ痛、由規は肩痛、村中は、昨年の脇腹の違和感に、キャンプ中にも不調を訴え、実戦登板が遅れた。

とにかく五体満足にキャンプを送れた選手は皆無の状態だった。

いずれも、オープン戦終盤には実戦復活を果たし、開幕には登板できる状態にはなったが、ただ投げられる状態になったというだけ。

本来ならば長所を伸ばす、短所を矯正する、新しい球種を覚える等、昨年からグレードアップをはかるためのキャンプのはずが、ほとんどの選手が半分リハビリを兼ねてのキャンプしか送れなかったというのが実際のところだろう。

先発の頭数が揃っていることが、他球団から唯一有利な部分。

石川・館山の2人については順調にキャンプを送れれば、それだけで十分という実績はあるが、その他の投手に関しては、まだまだ発展途上。

ローテの柱として、期待され続けているここ数年だが、まだ一皮剥けたというレベルに到達できていないのが現実で、マウンドに上がってみないとわからないという投手ばかりである。

本当の意味で一本立ちして欲しい投手たちが、故障を抱え、レベルアップできない。

特に由規に関しては、故障の影響かフォーム改造の影響か生命線である球威・球速という部分での良さが消え、この時期になって自分のイメージと違うと慌てている。

開幕ローテどころか、開幕から2軍で調整し直しというレベルになっている。

故障と背中合わせの石川・館山・村中らは首脳陣の計算に入らざるを得ない状況。

その3人に赤川とロマンを加えた5人で開幕からローテをまわしていく計画のようだ。

こればかりは開幕してみないと何とも言えない。

ただそんな中、よりどころとなるのは、増渕・日高そして調整遅れとはいえ由規を加え、先発予備軍が3人控えているということだ。

小川監督も先発は8人揃うことが理想とキャンプ中に話していたが、故障者や調整遅れの投手を含んでというところはあるが、ローテに入る5人に何かあれば、その穴埋めはできる体制は整った。

リリーフ陣に目を向けると最大の誤算はイムの調整遅れ。

右上腕部の違和感で調整が遅れ、ようやく実戦登板できるところまでは回復したものの、持ち味であり生命線ともいえる球威が戻らず、開幕2軍が決定した。

「抑えが務まらなければ上(1軍)には上げない」という荒木コーチの言葉の通りだが、単に調整が遅れているだけなのか、上腕部の違和感の回復が遅れているのか、それともその違和感が致命的な状態になっているのか。

いずれにしても年齢的なものや、勤続疲労の部分で、年々安定感がなくなってきているイムだけに、1軍に戻った時にどこまで復調できるのか、そんな不安は1軍に戻ってからも付きまとう。

不安な投手陣の中、唯一順調に調整が進んだのが勝利の方程式を含む中継ぎ陣である。

押本・松岡・バーネットは順調に実戦登板も重ね、結果も残している。

さらに、トライアウトから獲得した阿部が実戦無失点を継続中で、新たな戦力となってくれそうだ。

オープン戦では5セーブを上げるなど首脳陣の期待も大きい。

イム復帰まで状態次第では抑えを任される場面もあるかも知れない。

左が不在という課題については、解消されないままだ。