10月30日にレベルファイブスタジアムで行われた福岡J・アンクラスvs.ジェフ千葉レディース戦は、一言で言って、非常に残念な試合でした。今シーズンはコンディション不良者が続出し、ほとんどの試合をフルメンバーで戦えないという悩みを抱えるアンクラスですが、それでも、第11節の浦和レッズレディース戦、第12節のベレーザ戦で見せた変化は、これからに期待を抱かせるものでした。その変化が、どのような形になっているのかを楽しみにしていましたが、残念ながら、思い描いていたサッカーとは程遠い内容でした。
 何よりも残念だったのは、浦和戦、ベレーザ戦で見られたチームとしての統一感が全く消えてしまったということです。プレスのかけ方も、タイミングもバラバラ。ボールの取り所は全く定まらず、それぞれが思い思いに動くため、守備ブロックの統一感は皆無でした。これではボールを奪うどころか、サッカーにさえなりません。鮮やかな崩しから先制点を奪い、1人、1人の頑張りもあって、前半は1−0で折り返しましたが、逆転されるのは時間の問題でした。

「中断明けの2試合は、チームとしてどう守るかがはっきりしていて、全体の声かけも良く、連動して守れていた。けれど、それ以降、互いの距離や、ボールの奪いどころ、プレスの掛け方などに曖昧な部分が出てきた。1プレー、1プレーの集中力が少し薄れてきて、それが積み重なって後手後手に守備になってしまっている。基本のところから見直さないと変わっていかないと思う。チームでやりたい形を全員が同じビジョンで戦うことが必要」。堂下弥里は声を振り絞るようにして試合を振り返ってくれました。


 シーズンも残すところは3試合。ほぼ最下位が確定し、しかしながら、チャレンジリーグに入れ替え戦に出場する権利を持つチームがいないため残留は決まっている。今シーズンに対する具体的な目標を持てなくなったことが、モチベーションや高い集中力を維持することを妨げていることにつながっているのでしょう。まして、彼女たちはアマチュアチーム。結果や、内容で生活が脅かされるわけでもありません。様々な事情で選手間に温度差が生まれてしまっては、チームとしての統一感を作るのは難しいものです。

 しかし、自分たちが成長し、その結果としてチームが強くなるためには、常に一歩、二歩先を見て努力を積み重ねることが必要で、たとえ順位が確定していたとしても、無駄に出来る試合はなく、それは、プロであろうと、アマチュアであろうと変わりはありません。この日、試合後に開かれた選手ミーティングは非常に長いものでした。おそらく、いろんな意見が出たのだと思います。一番悔しい思いをしたのは選手たち自身。その気持ちを大切にして、残り3試合を戦ってほしいと思っています。