キミの自転車が狙われている? プロの手にかかれば、どんなロックでも防ぎようがない

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 自転車盗難事件が増加する一方だ。警視庁のまとめによると、今年6月末現在の都内の自転車盗難(自転車盗)事件発生件数は2万6485件。前年同期に比べ、1000件近くも増えている。特に被害が目立つのが、池袋や新宿といった副都心。そして中野駅、下北沢駅、蒲田駅、新小岩駅など、自転車利用者が多いと思われる駅周辺にも被害が集中している。

 これまでこうした自転車盗のほとんどは、「歩くのがめんどくさい」といった、いわば行きずりの衝動的な犯行だった。しかし、最近ではスポーツバイク、なかでも高価なロードバイクが狙われ、窃盗団によるものと思われる犯行が急増しているという。

 だが、高価なロードバイクであれば、当然オーナーがきちんとカギをかけてあったはず。どうして、そうした自転車が盗まれてしまうのだろうか。カギのトラブルとセキュリティの専門家で『カギの救急車 新宿店』のセキュリティ部部長の佐野誠一氏はこう指摘する。

「実は、自転車用として販売されているカギに、本当の意味での防犯性能を満たすものがほとんどないんです。自転車のカギには携帯しやすいサイズと重さが求められています。そのため、自転車用のカギの多くはワイヤーロックやチェーンロックです。しかし、これらのカギは窃盗団が使う工具の前にはまったく無力なんですよ」

 佐野氏によれば、一定レベル以上の防犯性能を求めるのであれば、自転車用ではなく、バイク向けに作られた太いチェーンロックやU字ロックを選ぶしかないという。

「こうしたカギは、重くてかさばり、自転車で持ち歩くには不便です。そして、そこまで気を配っても、盗難対策としては万全ではないのです。電動工具を使う窃盗団の手にかかれば、ほんの数十秒でカギそのものが破壊されてしまいます。また、カギ穴がある以上、“カギを開ける”ことを防ぐことは不可能です。手馴れたプロなら、比較的セキュリティが高いといわれるディンプルタイプのカギでも、早ければ1分、多少手間どっても5分くらいあれば開けてしまいますから」(佐野氏)

 音は出るものの電動工具で瞬時にカギを壊すか、じっくりとピッキングでカギを開けるかは、シチュエーション次第。こうした窃盗団は複数のメンバーで行動し、監視係がロードバイクを離れたオーナーの行動を実行部隊にケータイなどで逐一報告、実行部隊が堂々と作業する時間をつくる例もある。

 健康&エコ志向を受け、ロードバイクは急速に売れ行きを伸ばしてきた。だが、それに応じて盗難件数も増加。しかも、プロの窃盗団に狙われたら、もう逃れようがないというわけだ。

(写真/村上庄吾)


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