■ アジア3次予選

9月から始まる2014年のブラジルW杯のアジア三次予選の組み合わせ抽選会が行われた。

アジア予選は既にスタートしていて、シードされた国と予選を勝ち上がってきたチームの計20チームが5つのグループに分かれて、グループ2位以内に入ったチームが最終予選に進むことになる。日本はポッド1に入っていたが、グループCで、ウズベキスタン、シリア、北朝鮮と同じグループに入った。

 グループA → 中国、ヨルダン、イラク、シンガポール
 グループB → 韓国、クウェート、UAE、レバノン
 グループC → 日本、ウズベキスタン、シリア、北朝鮮
 グループD → オーストラリア、サウジアラビア、オマーン、タイ
 グループE → イラン、カタール、バーレーン、インドネシア

■ 初戦はホームで北朝鮮

1月にアジアカップが行われたばかりなので、各国がどのくらいの力を持っているのかは、ある程度は理解されている状況であるが、日本は「やや厳しめ」のグループに入ったといえる。

組み合わせ抽選会の前の段階で、「ポッド4の中で、もっとも実力のある北朝鮮と同じグループになるのは避けたい。」と考えられていたので、北朝鮮と同組になったのは痛いが、グループAからグループEまで顔ぶれを見ると、かなり均等に分かれていて「死のグループ」というのも見当たらない。元ブラジル代表のジーコ氏が抽選を行ったが、うまくばらけたといえる。

■ ウズベキスタン、シリア、北朝鮮?

日本にとって、最大のライバルとなるのは、ポッド2のウズベキスタンである。ウズベキスタンは、アジアカップで、大方の予想を裏切って4位に入って「大会のサプライズ」となった。中心となるのは、2008年のアジア最優秀選手のMFジェパロフで、FWゲインリフというアグレッシブなフォワードも擁している。

アジアカップでは、見事なパスサッカーを見せて旋風を起こしたので「攻撃力」は要注意であるが、一方で、守備には大きな不安を抱えている。「退場者を出した。」という理由もあるが、アジアカップの準決勝では、オーストラリアに0対6で惨敗していて、3位決定戦の韓国戦も2対3で敗れている。

結局、アジアカップの6試合で13失点ということで、決して守備の堅いチームではない。丁寧にパスをつないでくるチームなので、日本のプレスもかかりやすいはずで、ヨルダンやカタールのような「守ってカウンター」というチームよりは戦いやすい相手で、過去の相性もいいので、ポッド2の中では「やりやすい相手」といえる。

■ ウズベキスタン、シリア、北朝鮮?

ポッド3のシリアとは、アジアカップのGLの2試合目で対戦している。不可解なGK川島のレッドカードとPK判定があって大苦戦したが、後半37分にMF本田圭がPKを決めて2対1で勝利した。シリアも伝統的に守備の堅いチームなので、日本戦は守ってくることが予想されるが、攻撃陣にタレントのいるチームではないので、失点する可能性は低い。同じポッド3の中では、イラクやバーレーンよりも楽な相手と言える。

もっとも注目を集めそうなのがポッド4の北朝鮮である。FW鄭大世、MF梁勇基という日本でもお馴染みの選手が代表に入っているが、2006年のアジア最終予選のときは、ホームゲームは2対1の勝利し、アウェーゲームは第3国で対戦するというサプライズがあった。結局、その試合でドイツW杯の切符を獲得したが、無観客試合だったので、盛り上がりには欠けてしまった。

このときは、北朝鮮のサポーターの暴動があったので、日本戦が「無観客試合」となったが、何もなければ、平壌で試合を行うことになる。果たして可能なのか?スポーツの枠を超えて、政治も巻き込んで、大きな注目を集めそうだ。肝心のサッカーの実力では、日本よりも下である。2010年の南アフリカW杯に出場しているが、アジアカップは0勝2敗1分け。ノーゴールで大会を去っている。このときは、エースのFW鄭大世が大不振で攻撃の形をほとんど作れなかった。

日本としては、落ち着いて攻めることができたら、何の問題のない相手である。運動量をベースにしたクラシックなサッカーをするので、コンディション調整が重要になるが、相手のGKのレベルも高いとはいえないので、早い時間帯に先制ゴールを奪って試合を優位に進めたい。

■ 他のグループは?

前述のように、どのグループも大きな差はないと思われるが、この組み合わせになって、もっとも喜んでいるのは、中国と同じグループに入ったヨルダンとイラクの関係者だろう。ポッド1の5チームの中で、中国の力が劣っているのは間違いところで、この2チームの関係者は「ラッキー!!!」と思っているはずである。中国は、最近、サッカーでは失態続きなので、汚名返上したいところであるが、ヨルダンもイラクも簡単な相手ではない。

グループBの韓国は、楽なグループではないが、実力はあるので、問題なく最終予選に進むのではないだろうか。ポッド3のUAEは厄介な相手であるが、ポッド2の中ではクウェートは戦いやすい相手で、レバノンと同じグループというのも幸運である。

グループDのオーストラリアは、恵まれたグループに入ったといえる。サウジアラビアはアジアカップで日本に0対5で敗れているが、以前のような力はない。先日、フランク・ライカールト氏が代表監督に就任したという話が伝わってきたが、すぐに効果を発揮するのは難しいだろう。侮れないが、現状、オーストラリアを食うだけの力があるとは考えにくい。オマーン、タイも、難しい相手ではないので、オーストラリアは、比較的、楽な組に入ったといえるだろう。

「死のグループない。」と言ったが、あえて言うと、グループEが「死のグループ」に近いかと思われる。インドネシアは力が劣るが、イラン、カタール、バーレーンの3チームは、アジアカップでも存在感を示しており、三つ巴の争いとなるだろう。注目されるのは、2022年に自国でのW杯を控えているカタールで、2014年か、2018年のどちらかのW杯に自力で出場しないと、「初出場で地元開催のW杯」という恥ずかしいことになってしまう。


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