社会生活や人間関係を築かず、自室に退避してしまう状態を示す「引きこもり」。フランス人のブログ「4Weight Loss Blog」では、原因が解明できていない現象として引きこもりを紹介している。

 引きこもりは長期間に及ぶことがあり、日本の社会文化の中でも問題視されている現象。実際に引きこもりをしている人は外部との接触を完全に遮断していたり、心理カウンセラーや精神科などに通院していないこともほとんどであるため、研究が進まず、原因解明にいたっていない状態と説明。

 社会不安によって、外部への扉を閉ざしてしまうという考えが一般的にあるようだが、少々短絡的ではないかと指摘。また現在の日本経済が不況であることも影響し、うつ傾向になりやすい状況と語る。そして、引きこもりをしている人の多くは日本の中流家庭の出身であることも加えている。

 フランスでは、一定の年齢に達すると親元を離れて自立する人が多数だが、これは親の経済的負担を軽減させるという意味も持つ。しかし、日本の中流家庭では親が比較的裕福であり、収入のない成人でも養っていけるだけの経済力があることも日本で引きこもりが多い原因だろうと記している。

 また、日本では、日本社会で結果を期待することが暗に求められていることが要因ではないかという説も紹介している。日本社会と似た社会要素や教育システムを持つ台湾やシンガポール、中国といった国でも引きこもりは発生しているという。しかし一方で、基本的に個人主義で、教育システムも異なる英国でも、引きこもりの状態であったと訴える市民がいることから、この説も確実ではないと述べている。

 このように原因がはっきりしないため、引きこもり問題はなかなか解決していない。また情報が少なく、引きこもりの人に対してのきめ細やかなケアができず、社会から自らを閉ざした「牢獄」に置き去りにしている状況かもしれないとつづる。

 フランスでは比較的「引きこもり」の社会現象は少ないようだが、どの国でも起こりうることとして原因解明の難しさと問題の奥の深さを伝えている。(編集担当:山下千名美・山口幸治)



■最新記事
【仏国ブログ】サッカー遠藤保仁「最高の日本人選手」
【仏国ブログ】戦後復興した日本人、今回も一丸となって頑張るだろう
【仏国ブログ】日本の小学校「児童が校舎を掃除するのはいいこと」
【仏国ブログ】日本のおしゃれは「カワイイ」などコンセプトが大事
【仏国ブログ】日本文化を体感できる、京都の寺院