カブスの福留孝介が絶好調です。
現地時間26日のロッキーズ戦では途中出場で2打数無安打に終わり、連続試合複数安打は5、連続試合安打は8でストップしましたが、現在規定打席数不足ながら打率はなんと.458で立派な隠れ首位打者なのです。
圧巻は前日(25日の)のロッキーズ戦でなんと5打数5安打の固め打ちでした。

メジャーでの過去3年いずれも打率は2割5分台の福留ですが、4月(3月も含む)の通算打率は.356です。
鳴り物入りで2008年に入団して以降すっかり不良債権化している福留ですが、契約最終年にして遂に本領発揮なのか、それとも例年同様の春先のみの狂い咲きで、今後は失速していくのでしょうか?

もちろん今の勢いが長く続いて欲しいですが、彼の現時点でのスタッツを分析していくとそれほど楽観視できない要素が見つかります。
まず現在.458の打率、これは文句無し(当たり前です)。
そして定評がある選球眼による10四球(59打席で)が効いている.552の出塁率、これも驚異的です。
しかし、意外なので長打率で.479でしかありません。
もちろん絶対値としての.479には何の問題も有りませんが、なにせ打率が.458なのです。
長打率を求める公式は塁打数÷打数ですので、打率が高ければ長打率もある程度連動して高くなります。
したがって彼の驚異的に高い打率を考慮すると、現在の長打率は逆に驚異的に低いと言えます。
それもそのはず、今季ここまで22本の安打の内、長打は二塁打が一本あるだけなのです。

また、近年のセイバーメトリクス(統計学的な観点からの野球の分析)で注目されているBABIPはどうでしょう。
BABIP(Batting Average Balls In Play)とは本塁打と三振を除いた打率です。
セイバーメトリクスでは、本塁打を除いて打球がアウトになるか安打になるかは運の産物で打者の(逆に言えば投手の)力量とは関係無いと言われています。
その結果、BABIPは長いスパンで見れば概ね.300前後に収まるもので、打者の場合これが極端に高ければその打率が高くても所詮は幸運に恵まれただけで、逆に極端にBABIPが低ければ仮に打率が低くても不運に祟られたもので実力はそれ程低くないと考えらます。

そのことを念頭に置いて福留のBABIPを見ると・・・
本塁打がここまでゼロの彼のBABIPは、なんと.537という信じられない高さなのです。
そのことから判断すると、ここまでの福留の好調さは「打球がたまたま野手のいない場所に飛んだだけ」という見方を排除するのは難しいと言わざるを得ません。
でなければ、この打率にして本塁打がゼロで長打が1本のみと言う異常なスタッツを説明しきれません。
したがって、(この予想が外れることを切に願いますが)そう遠くない内に打率も急降下して例年並みの成績に収まってしまう可能性はかなり高いでしょう。
カブスのクワーディ監督も、前日に5安打も放った福留を翌日は対戦相手投手が左腕(ホルヘ・デラロサ)だとあっさりスタメンから外しています。
このことは、彼も今の福留の好調さは長続きしないと見ている証しかも知れません。