東日本大震災で損傷した東京電力福島第一原子力発電所では29日、タービン建屋地下坑道で、高い放射線量が測定され、汚染水の排水作業が難航している。事故は、想定を超えた津波の被害が原因とされるが、安全設計の問題点や非常時の想定の甘さに批判の声も上がっている。

 英国でもこのニュースは報じられている。英インディペンデント紙は、原発の危機で難問を抱えた政府と混乱を招いた東京電力との関係が、緊迫し始めていると指摘。この混乱で、約16万人もの外国人が東京から出国し、放射性物質の影響を受けた地域からの食物を禁輸するなどの影響がでており、原子力産業の将来について世界的な議論を巻き起こしていると報じている。

 また同紙は、安全基準を損なうほど、日本政府が東電と密接な関係だったと非難されているとし、官僚や政治家が定年後、東電で有利な地位に就くことが慣習化されており、東電への批判は弱められていたとの見方を示している。また、公務員や研究者、電力会社社員らが互いを批判することを避け、責任を回避する危険な合意を作ったと報じている。

 英フィナンシャル・タイムズ紙は、東京電力の株価は29日、福島第一原子力発電所の事故を受けて国有化が推測され、売り注文が集まったと報じた。25年間で最悪の核危機から生じている国民の怒りと責任要求は、政府が公益事業を肩代わりするという推測をあおったと述べている。また、玄葉光一郎国家戦略担当相は29日、国有化も選択肢の一つであると示唆したと報じた。(編集担当:田島波留・山口幸治)



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