29日に行われる日本代表対Jリーグ選抜のチャリティマッチのメンバーが発表されたね。呼ばれた海外組は揃って帰国してくれた。海外で危険だと騒がれている国に、快く帰ってきてくれたのは、海外での風評被害に対しても意義のあることだと思う。Jリーグ選抜も、夢のようなメンバーが揃った。サッカーファンにはたまらない陣容だろう。

開催を決断した小倉会長の判断も非常に良かったと思う。いろいろなしがらみ、葛藤がある中で、やるべきことを考えた結果だと思う。これが引き金となって、いろんなスポーツに波及していくといいね。

鹿島アントラーズの小笠原をはじめ、間接的に被害を受けた選手もいる。それぞれの選手が、それぞれの立場で、それぞれの思いを抱えてプレーするチャリティマッチに、僕は期待している。

個人的には、白熱した試合を見たい。オールスターのような、弛緩した空気の中で行われる試合よりも、一生懸命プレーしてこそ伝えられるものがある。5分でも10分でも、出場した選手には気持ちのこもったプレーを見せてほしいね。

ライフラインが復旧していない被災地にいる多くの人は、TVで直接観ることができないかもしれない。しかし誤解を恐れずに言えば、この試合は被災地のためだけに行われるものではないと思っている。

今回の災害の被害者は、日本国民すべてだ。こうした試合を通じて、観た人々がエネルギーを得る。そのエネルギーで、被災者のための分まで日常生活、経済活動をがんばることも、義援活動だと思う。

今、水を飲んだらヤバいとか、ほうれん草は食べちゃダメとか、関東にいるみんなが戸惑い、ノイローゼになっている。そうした状況の中で、みんなでこの震災を乗り越えようということよりも、いつしか個人のことばかり考え、水の買い占め、物資の買い占めが横行している。

政府が発表する情報に戸惑い、恐れる気持ちはよくわかる。でも、今回の災害は、これまでに我々が経験したことのないものなんだ。一過性の募金活動で立ち直れる規模のものではない。生半可な気持ちでは太刀打ちできないスケールだ。

だから、モノを買い占めて家に篭ろうとか、とりあえず自分の安全だけは確保しようとか、そんなふうにみんなが自分のことを考えてしまっては、いつまで経ってもこの国が再生することはできないと思う。

この国に生まれ、この国に住んでいる限り、それぞれが現在の立場で、力を合わせてやるしかないじゃないか。自分だけ水を買い占めてどうするんだ? 余計な考えは捨てて、日常を取り戻そう。恐れずに試合を楽しもうじゃないか。(了)