サウジに5−0で勝利を収め、日本はグループリーグを首位で通過。準々決勝に駒を進めることになったのだが、大喜びする気持ちにはまるでなれずにいる。「良いサッカー」ができたとはお世辞にも言えないからだ。サウジのサッカーがひどすぎただけ。日本が良かったわけでは決してない。
 
今回のサウジは弱い。グループリーグの初戦の試合を見た瞬間、僕はそう思ったが、実際に戦ってみて、感想はさらにひどいものになった。少なくとも僕がこれまで見たサウジの中で群を抜いて弱かった。
韓国、豪州、それを日本が追い、さらにイラン、イラク、UAEが続く……とは、僕がこれまで見た今大会の勢力図だが、かつては少なくともこの中に、サウジの顔があったものだ。それがいまや16チーム中、後ろから数えた方が早いポジションにいる。ここまで急に落ちぶれたチームも珍しい。喝! と言いたいところだが、哀れ過ぎて叱る気持ちさえ湧いてこない。というわけで採点です。

GK(21)西川 5.5 川島より劣って見えた。

DF(5)長友 5.5 単独ドリブルが多過ぎ。左サイドで香川との関係を築けない点も問題。
DF(4)今野 5.5 もっと繋ぎに顔を出さないと。後方待機に徹しすぎる。

DF (22) 吉田 5 弱小サウジに対して格上感を出せず。プレイに余裕がなかった。

DF(6)内田 5 身体に元気なし。早々の交替は当然。

MF(7)遠藤 5 統率力、ベテランらしさを発揮できず。核の違いを見せつけることができなかった。

MF(17)長谷部 5.5 日本代表キャプテンらしい気品が見られず。相手と同じレベルでプレイしていた。

MF(9)岡崎 7 ハットトリック。得点機以外のプレイもまずまず。日本代表の中で、この日、最も好感の持てるプレイをした。

MF (16) 柏木 4.5 終了間際、シュートを立て続けに放ったが、それまでは全く活躍できなかった。本田圭佑との差は大きすぎる。

MF(10)香川 5 一言でいえば、自分自身の動きを客観視できていない。動きは良くなっているが、ポジションワークが悪く、ボールの受け方に難がある。

FW(11)前田 6 2ゴールを決めたが、動きに迫力なし。縦に引っ張る力に欠けた。

※交替選手
DF (2)伊野波 5.5 センタリングを1本蹴り損なう。

DF (3)岩政 採点不能

MF (15)本田拓 採点不能

※監督 ザッケローニ 5 「グループリーグという第一関門を突破し満足している。試合内容にも満足している」と試合後の記者会見で語ったが、本当ですか? と訊ねたくなる。だとしたら優勝も狙えない。それどころか、次のカタール戦も危ない。問題があるように見える香川のポジションワークについても、「あれは私の指示。指示通り動いてくれた」と語ったが、これも、本当だろうか? 本心だろうか?

この日の日本代表は本当にいただけなかった。本田圭佑、松井両選手が欠けると戦力が大幅にダウンすることを証明した一戦でもあった。準々決勝への流れは決して良くない。5−0というスコアには騙されないほうがいい。僕はそう思う。