第3回はこちらから

■大企業が持つチームの実情
後藤
「だいたいこういう大企業というのは、本業のお給料、身分保証がしっかりしている。加えて、クラブハウスとかグラウンドとか練習環境がすごくて、中には本業が忙しく練習がままならないチームもありますが、JFLの企業チーム並の待遇と言ってもいいかもしれません。プレーレベルも保てるし、生活も安定するということで、すごく恵まれた環境にあるチームが、やはり関東リーグに上がっているんだなという印象です。

その下が結構厳しくて、東京都リーグ1部って14チームもあるんですよ。その下の2部になると39チームもあって、さきほどスペリオの宮坂さんから3ブロックの2位、というお話がありましたが、39チームを3つのブロックに割って、それぞれの1位にならないと自動入替で1部に昇格できません。

先ほど得失点差で2位ということだったんですが、勝ち点が同じだからと言って上げてくれるかというと、そういう恩赦というか、特別な措置はないんです。非常に厳しい世界です。なので2部に強豪チームが溜まってしまうという現象が結構あって、表現は汚いんですけど『糞詰まり』のような状態に陥りがちな構図になっています。

後藤
東京都リーグは1部から4部まであるんですが、4部はほぼ完全に草サッカーレベルと言っていいかもしれないと思うんですけれども、2部から上は本当に『競技』として見られるレベル、やれるレベルのリーグになってきていて、その中で考えますと、東京都リーグ1部というのはかなりレベル高いんですね、正直。見て面白いですし。

今季、2部から昇格してきたCERVEZA・FC東京というチームの監督さんにお話うかがったんですが、そこはいわゆる『業界人』の方々で作っている本当のアマチュアサッカークラブなんですけれども、目標を訊いたところ、『1部のグレードでプレーしたい』と話していたんですね。純然たるアマチュア体制で、何とか1部のレベルを保って、いい内容のサッカーをするというのがひとつの目標だということなんです。

そういうことを考え合わせると、1部っていうのは、競技のレベルとか見た目の面白さということでは一つの指標になるのではないかな、と。つまり、東京都リーグ1部にいるということは、そのチームの内容を保証すると言えるのではないか、と考えています。

その中で、東京23FCさんは、東京都リーグの1部の1位でした。で、林選手の東芝府中、TFSCは2位。スペリオ城北さんは2部のひとつのブロックの2位ということで、もう1部に近いところにいらっしゃる。スペリオさんも別に弱くはないんですよね。2部の上の方、1位から3位くらいまではほとんど差はないんです。2部の上位のチームがカップ戦に出たりすると結構1部のチームといい試合しちゃったりしますし。ただ下までいくとかなりレベルの差は広がっちゃうんですけど」


「というのが『概要』で、改めて話すとなると、ここまでかかっちゃうんですね、やっぱり。長いですね〜、思ったより長かったですね。

で、ここから先やっと本題に入れるんですよ。カテゴリーの説明が終わった上で、この3チームがどう思っているか。自分たちはどういうチームなのか。こちらでお題を用意しましたので、質問形式で一つずつ訊いていこうかな、と思っています」

■目標は「Jリーグ」?

「やっぱり一番最初に気になるのは、『Jリーグ』というものを目指すか目指さないか。当然みんな『目指すだろう』と思う人はいるんです。下部リーグっていうのはJリーグのためにあるんじゃないかと。そういう考えもいいんですけど、それは実はチームによって違う。サポートも、そのチームの考え方によっていろいろあるんじゃないかと思ってこういう質問を用意しました」

後藤
「ここで当然選手の立場の林さんと、宮坂さん、西村さんとはお聞きする中身が変わってくるんですが、まず西村代表の方からですね、クラブとしてどこまでを視野に入れているかというお話をうかがいたいと思うんですけれども」

西村
「えー…『世界』、です」

後藤・黄
「でかいですねぇ」

■「50年後、23区にバルサを作る」
西村
「Jリーグを目指すか目指さないかっていう話で言うとですね、目指してます。でもこれは、(目標として)『わかりやすい』んで目指しているだけで、僕らはJに入ることを目的にやっている訳ではないです。もう少し話をさせていただきます。

ウチはどういうクラブかというと、23区から世界に通用するクラブを作ろうと、そういう発想のクラブです。トップチームは当然プロとして世界を目指していくチームになっていくと思うんですが、アマチュアとか、サッカー以外のスポーツにおいても、東京の23区でプレーをして、観て、熱狂できる。自分もプレーできる、観ることもできる。応援することも出来る。そういうクラブを目指そうと。分かりやすく言いますと『50年後に23区にバルサを作る』、そんなイメージでスタートをしています」


「ちょっと聞いたことがあるんですが、天皇杯優勝もJリーグ優勝も変わらないじゃないかと考えていらっしゃるとか。どちらで勝っても『日本一』じゃないか、と」

西村
「どちらかと言うと、天皇杯で優勝するほうが僕らのイメージですね。特にアマチュアのまま。Jから『そろそろ入って?』と言われたら『しょうがねぇ入ってやるか』と」


「『バルサ』たる所以すね(笑)」

西村
「そうですね(笑)。基本は社会人のクラブというのが僕らのスタートなので、その立ち位置は保ちながらも、世界を目指すように戦っていくというのが東京23FCの考え方ですね」

(第5回へつづく)

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