ザッケローニ監督による日本代表メンバーが発表されました。

さて、4年前と比べてみましょう。4年前、就任したばかりのオシム監督はすぐにアジアカップ予選という結果を出さなければ行けない試合が待っていました。しかも5試合も。

08月09日 トリニタード・トバゴ戦 ホーム 2-0(三都主2点)
キリンチャレンジカップ 初出場9人は戦後最多、浦和からは6人

08月16日 イエメン戦 ホーム 2-0(阿部、佐藤寿)
アジアカップ2007予選

09月03日 サウジアラビア戦 アウェイ 0-1(アルドサリ)
アジアカップ2007予選

09月06日 イエメン戦 アウェイ 1-0(我那覇)
アジアカップ2007予選

10月04日 ガーナ戦 ホーム 0-1(ハミヌ)
キリンチャレンジカップ

10月11日 インド戦 アウェイ 3-0(播戸2点、中村憲)
アジアカップ2007予選

11月15日 サウジアラビア戦 3-1(闘莉王、アルカフタニ、我那覇2点)
アジアカップ2007予選

その本番が近いということもあったからでしょう。08月04日のメンバー発表でオシム監督は13人しか公表しませんでした。通常ならコピーが配られるはずですが、それも間に合わなくて口頭での発表という異例の事態。

 
GK:川口能活(磐田)、山岸範宏(浦和)
DF:三都主アレサンドロ、坪井慶介、田中マルクス闘莉王(いずれも浦和)、駒野友一(広島)
MF:田中隼磨(横浜FM)、今野泰幸(FC東京)、小林大悟(大宮)、長谷部誠(浦和)
FW:我那覇和樹(川崎)、佐藤寿人(広島)、田中達也(浦和) 

面白いのは、自分の考えを良く知っていて、後に他の選手への意思伝達をスムーズにしていた阿部、羽生、山岸などが入っていないこと。結局、この時は後に6人を追加して19人としました。

しかしながら、これは日本を良く知っていたオシム監督ならではのことで、すでに選手たちのイメージもしっかり把握していたからできたことでしょう。また、オシム監督はこれまでの常識とは違う行動を意図的に取り、協会にも報道陣にもイニシャティブを取らせようとしませんでした。就任会見でウィットに飛んだ答えを求め、ハネムーンを強調したかったメディアと最初に距離を置いたこととも共通しています。

さてザッケローニ監督は、まず今回選手を自分の手元に置き、観察するところから始まります。それを会見で正直に話していました。正直に話しても許されるのは今回予選が終わっているということもあるかもしれません。来年1月の本大会にしても、もしかすると3位に入ることがその次の会の予選免除につながらないということになれば、ノルマとしてはそのとき見せてくれるサッカーの質ということになります。オシム監督に比べると、多少の時間的余裕があるといえます。

アルゼンチン戦に負けても非難の声は起きないでしょう。韓国戦についても、いくつかの言い訳がある戦いです。ザッケローニ監督にはその点を踏まえて、まずしっかりチームの土台を作って欲しいと思います。今の日本にとって、目先のことだけを追求するのが得策だとは思えませんから。それに、本番以外のときに結果を重視してしまうと、本番でいい成績を残せる可能性を潰してしまうと、今年学習しましたからね(汗)。

ただ、「練習は公開しますか」というベテラン記者の方からの最後の質問への、「できる限り公開する」という公約だけは守っていって欲しいと思います。岡田監督がメディアからの反発を招いた一つの要因に、僕は説明不足があったと思っています。やろうとしていることを説明することは、賛否両論を巻き起こし、それで日本サッカーを活性化することにつながると思います。活性化しない限り、日本サッカー界はまだまだ世界を驚かせるチームを作れないと思っているものですから。

ところで、記者会見では通訳の方が代わり、とても分かりやすく日本語にしてくださっていました。そう言えば、前回のアジアカップの時、通訳が意味を逆にしてしまって質問したアナウンサーの方が怒られてしまうという話がありましたっけ……。

それから、最初に配られた資料では伊野波選手が初招集になっていましたが、前回のアジアカップの時、追加招集されて「ハノイの伊野波」というステキな言葉を残していらっしゃったので、間違いだと思います。

ともかく、来週はずっと日本代表に張り付きます。詳細な練習レポートはその日のうちに『サッカーを読む!Jマガ』に掲載する予定です。きっとその練習からザッケローニ監督の色が読み取れるだろうと、いつもに増して気合いを入れてお送りしますのでお楽しみに。

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