リヒテンシュタインで行われたU-17ヨーロッパ選手権、スペインU-17代表は決勝戦でイングランドU-17代表と対戦した。前日、オーストリアでサウジアラビア代表と親善試合を行ったスペインA代表のメンバーがスタンドに駆け付け、先輩達が見守る中、良い結果を残したかった次期スペインを背負う選手達だったが、イングランドU-17代表の堅実な守備の前に力尽きた。

 前半、トップ代表と同じくボールポゼッションを主体にゲームを組み立てたスペインU-17代表。バルサユースでプレーするサイドアタッカーのジェラール・デウロフェウ、バレンシアユースのゴールゲッター、パコ・アルカセルを中心にイングランドU-17代表ゴールに迫った。ゴールは左サイドからジェラール・デウロフェウが突破、中に切り込み鋭く振りぬいた右足のシュートが相手DFに当たり、ゴールネットに吸い込まれた。

 先制点を奪い優位に試合を進めるかに見えたスペインU-17代表だが、中盤でかじ取り役を務めるカンパーニャ、セルジ・ダルデルからのボール配給、FWとのコネクションがうまくいかずボールは後方では回せるものの、前線でシュートチャンスまで繋がらない。前半30分にセットプレーからゴールを許すと、後半開始早々にもイングランドU-17代表のFWウィカムに追加点を奪われてしまう。

 フィジカルではスペインU-17代表をはるかに上回るイングランドU-17代表。トップのウィカムはポストプレーも得意とするが、体を相手DFに預けながら突破する能力も高い。逆転され焦りが見えたスペインU-17代表の選手達。サイドからの切り崩しを何度も試みたが、中央ではしっかりはじき返すイングランドU-17代表DFに力負けした。

 それでも最後まで持ち前のポゼッションと巧みなポジションチェンジからスペースを作り出し、ゲームを組み立てたスペインU-17代表。トップ代表が見守る中、優勝はできなかったがスペインサッカーを継承する選手達が確実に育っていることは証明してみせた。下部カテゴリーまで一貫したスペインサッカー哲学が見られた試合だった。

(スペイン通信)