16日に行なわれるリバプール対マンチェスター・ユナイテッドの大一番を複雑な心境で見守る男がいる。レアル・マドリーに所属するアルゼンチン代表DFのガブリエル・エインセだ。昨シーズンまでマンUに所属していたエインセは、リバプールにリベンジの想いを託すと語っている。

 昨シーズンまでマンUでプレーしていたエインセは、出場機会を求めて今夏に移籍を希望した。そんなアルゼンチン代表DFに、リバプールのラファエル・ベニテス監督が注目。直々にラブコールを送り、エインセも移籍に前向きだった。しかし、マンUサイドはエインセのリバプール移籍を徹底拒否。ローカルライバルでもあり、イングランドの名門として長きに渡りライバル関係を続けてきた両クラブは、過去40年以上に渡りクラブ間の選手移籍を行なっておらず、エインセのケースでもマンU側がライバルクラブの戦力アップに繋がる移籍を阻止した格好となった。これに対し、リバプールでのプレーを心待ちにしていたというエインセは激怒。結局はスペインのレアル・マドリーに移籍する格好となったが、今でも古巣の対応には納得出来ないとしている。

「ユナイテッドが僕の移籍を阻止した動機が未だに理解できない。フットボール界にとっても悪しき前例となってしまったと思う。21世紀のこの時代に、ユナイテッドがリバプールに選手を移籍させないなんてこと自体が馬鹿げている。ユナイテッドのサポーターとチームメイトについては、いい思い出しか残っていないけど、首脳陣についてはコメントを差し控えたほうがいいだろうね」

 現在はレアルでの生活に満足していると語るエインセ。しかし、リバプール移籍の夢を阻まれた恨みは深く、チャンピオンズ・リーグの決勝トーナメントでマンUにリベンジする機会を望んでいるという。

「今年の夏、僕はリバプールでプレーすることを夢見ていた。しかし、その夢は実現しなかった。リベンジについてはほとんど考えないけど、チャンピオンズ・リーグでユナイテッドと対戦したいのは事実だね。ユナイテッドはビッグクラブが僕を欲しがるわけがないといった態度をとり続けたけど、レアルに移籍して彼らが間違っていることを証明した。あとは直接対決で僕の実力を再び証明したい」

 いまだ古巣に対する怒りが収まらない様子のエインセ。マンUにとっては、因縁のライバル関係が一人の敵を生んでしまった格好となった。指揮官のアレックス・ファーガソン監督も、リベンジに息巻くエインセを擁するレアルとの対戦だけは避けたいところだろう。