26日に欧州サッカー連盟(UEFA)の次期会長に選出されたフランスのミシェル・プラティニ氏は、「6+5ルール」案の支持者だ。これは国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長が提唱した「外国人枠5人ルール」のこと。自国選手育成の推進と、ビッグクラブと中小クラブの格差縮小が狙いだ。

 しかし、欧州連合(EU)には、「EU市民の移動の自由」の規則にのっとり、加盟国の市民であるプロ選手の国籍に制限を設けてはならないという「ボスマン裁定」のルールがある。

 プレミアリーグ、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は、フランスのサッカー専門誌「ソー・フット」2月号のインタビューで、「保護主義はもはや可能ではない」と語り、「ボスマン裁定」を支持し「6+5ルール」に拒否感を示した。

 アーセナルの主力は、英国以外のEU加盟国とブラジルやアフリカの選手がほとんどを占める。ホイトやウォルコットが出場しないときは、先発メンバーにイングランド出身の選手がゼロというケースもある。しかしベンゲル監督にとってそれは「たまたま」。

 「スタメンを選ぶときにパスポートなど見ない。パスポートのおかげで出られる選手がいるなら不公平だろう」と主張する。アーセナルにイングランドの選手が少ないのは「キャンベルやコールが出たからだ」と語り、「イングランド人のいないチームを作ろうとする意図などない」と断言。すでにイングランド人の若手が成長してきており、「彼らが外国人より優れているなら、試合に出るだろう」と実力主義を強調した。

 一方、プラティニ次期UEFA会長は、選挙前のインタビュー(フィガロ紙)で「ボスマン裁定を尊重する」としながらも、「ブラッター会長を応援し、妥協点を探りたい」と語っている。プラティニ次期会長は、中小クラブにとって若者の育成が「あとで売るため」でなく「選手にするため」となるように、という理想を抱いている。