ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた公認会計士、久野太辰(たいしん)被告と小林元(もとし)被告の論告求刑公判が5日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれ、検察側は両被告に懲役1年6月を求刑した。27日に弁護側が最終弁論を行い、結審する。

 両被告は捜査段階では起訴事実を認めていたが、公判では無罪主張に転じている。

 検察側は論告で、「(監査人の)適正意見を信頼してLD株に投資した多数の投資者の判断を誤らせて多額の損失を被らせ、ひいては証券取引市場に対する信用をも著しく失墜させるとともに、外部監査制度自体に対する投資者の信頼をも失わせたものであり、外部監査制度の趣旨を没却した極めて悪質な事犯」と非難。

 両被告が公判で無罪主張に転じたのは、LD株主が起こした200億円を超える損害賠償請求を免れ、公認会計士の登録抹消処分を避けるためだとして、「監査対象であるLDと自分たちの利益の共存がすべてである姿は、もはや公認会計士と呼ぶにも値しない」と指弾した。

 これまでの公判で、証人出廷した会計学者が自社株売却益の売り上げ計上について「当時はガイドラインが決まっていなかった。会計士の責任を問うのは異論がある」と、弁護側主張に沿う証言をしている点に関しては、「弁護側から受けた説明を前提としており、事実関係の正確な把握を欠いたものだ」などとした。

 起訴状によると、両被告はLD元社長、堀江貴文被告=同法違反の罪で公判中=らと共謀。LDの2004年9月連結決算は約3億円の経常赤字だったにもかかわらず、自社株売却益約37億6000万円を本来認められていない売り上げに計上したほか、買収予定の会社からの架空売り上げ約15億8000万円も計上。約53億円を粉飾した有価証券報告書に適正意見を付け、関東財務局に提出した。【了】

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