国内での製造・販売が解禁された乳児用液体ミルクを災害用に備蓄する動きが自治体で出ている。災害時に乳幼児を守るためとし、東京都文京区や群馬県渋川市、大阪府箕面市が2019年度予算案に盛り込んだ。国内メーカーも製造・販売の準備や商品化の検討に入っており、今後各地の自治体で備蓄の動きが活発化しそうだ。

 乳児用液体ミルクは粉ミルクのように湯で溶かす必要がなく、災害時にも、すぐに乳児に飲ませられる。11年の東日本大震災、16年の熊本地震の際に海外からの救援物資として持ち込まれ、関心を集めた。日本では昨年8月に厚生労働省が製造・販売を解禁した。

 東京都文京区は昨年11月に区内の私立大学4校や製造メーカー、出版社と共同事業体(コンソーシアム)を形成。4校を妊産婦、乳児向けの救護所に指定し、災害時に乳児160人が1日半利用できるよう、125ミリリットル入り液体ミルクパック2000個と使い捨ての哺乳瓶を備える。新年度予算案に備蓄関連費用で260万円を計上した。

 群馬県渋川市も2月下旬開会予定の市議会に提案する新年度予算案に備蓄費用として約56万円を計上する方針を固めた。紙パック(125ミリリットル)入りの液体ミルクを3日分として420本、保健センターに備蓄する。

 大阪府箕面市も19日開会の市議会に国産の乳児用液体ミルクを備蓄する費用12万7000円を盛り込んだ予算案を提出する。常時600個(1個125ミリリットル)を公立保育園に備蓄する。

 乳児用液体ミルクの製造・販売の動きも加速する。江崎グリコや明治が製造に向け準備を進める他、森永乳業や雪印メグミルクが商品化を検討する。渋川市の担当者は「製造メーカーが増えることで価格や質の向上が期待され、液体ミルクの備蓄を検討する自治体は今後増えるのではないか」とみる。