【小関順二のドラフト指名予想】千葉ロッテマリーンズ編 「今年も高卒野手に敢然に立ち向かおう!」

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千葉ロッテマリーンズ 今季戦績

 138試合 52勝 86敗 勝率.377 パ・リーグ6位(10月4日現在)

投手は伸び悩んだが、人材がいないわけではない 大型野手の獲得と育成がカギ

涌井秀章(千葉ロッテ)

■重視するのは投手?打者?野手?

 チーム成績は防御率4.31、打率0.233とも12球団中最下位だが(10/1現在)、選手層が手薄という感じはしない。とくに投手はそうだ。昨年と今年の成績の推移を紹介する。 石川 歩   14勝5敗→3勝11敗 涌井 秀章   10勝7敗→5勝11敗 スタンリッジ  8勝8敗→4勝6敗 主力先発投手の勝ち星が32勝から12勝に目減りし、打撃陣は24本塁打、92打点のポイントゲッター、デスパイネがソフトバンクに移籍し、その穴埋めができなかったことが最後まで響いた。しかし、投手陣は人材が払底しているわけではなく、たとえば2度目のFA権を取得した涌井 秀章がいなくなっても石川、スタンリッジ、二木 康太、唐川 侑己に、若手の佐々木 千隼、酒居 知史、関 亮太、さらに西野 勇士、チェン・グァンユウで十分補充でき、リリーフ陣も益田 直也、内 竜也、大谷 智久、南 昌輝など中堅層に人材が揃っている。

 打撃陣は捕手・田村 龍弘をはじめ、内野陣に20歳代の鈴木 大地、中村 奨吾、三木 亮、平沢 大河がいて、外野陣も来年31歳になる角中 勝也と若手の加藤 翔平がいて年齢的な心配はとりあえずない。最下位になった要因が見えないのは不安だが、選手層うんぬんという話になっていないのでヤクルトにくらべればかなり安心感がある。

 投打どちらかの補強が急務でないときは野手に向ってほしい。何といってもチーム本塁打94本は12球団中最下位なのである。長打不足は過去何年も続いている慢性的な補強ポイントで、統一ドラフトになった08年以降、1位で獲得した野手は荻野 貴司、伊志嶺 翔大、中村 奨吾、平沢 大河というチャンスメーカータイプばかり。大田 泰示、筒香 嘉智、山田 哲人のような強打者タイプには向かっていない。清宮 幸太郎の1位指名の環境が整っていると言っていいが、三塁手に人材を欠く現状を見ると安田 尚憲(履正社)のほうが指名しやすいような気がする。

 高校卒の育成下手は不安要素だが、近年は田村を早い抜擢で主力メンバーにし、平沢、大嶺 翔太も一軍戦力にしている。それが西武時代から続く伊東 勤監督の得意技で、井口 資仁新監督に受け継がれているのかという不安はあるが、今年のドラフト候補は投手陣より野手陣に人材が揃い、とくに高校生に大物感を漂わせている選手が揃っているので逃げないでほしい。

 最初の入札で安田を指名すれば一本釣りになる可能性が高いが、清宮の抽選を外したあとの外れ1位の入札では安田に複数球団の入札がありそうだ。清宮と安田を比較すれば、観客動員では遥かに清宮が上を行くが、打者としての素質や完成度に大きな差はない。直近のU-18ベースボールワールドカップはプロと同じ木製バットを使用して清宮の打率2割1分台に対し、安田は3割を超えている。プロの予行演習はできていると言っていいだろう。

■即戦力の社会人は?

 投手は高校生より大学生、社会人の即戦力候補に向かうことが多く、実績も残してきた。今年のアマチュア投手陣は高校生より大学生、社会人に人材が揃っているのでロッテ向きのドラフトになりそうだ。外れ1位候補なら鈴木 康平(日立製作所)、鈴木 博志(ヤマハ)、西村 天裕(NTT東日本)、2位以下なら高橋 史典(SUBARU)、柏原 史陽(JX-ENEOS)、谷川 昌希(九州三菱自動車)など好素材が揃っている。

 決定力のないロッテ内野陣を考えると、広島・田中 広輔の実弟、田中 俊太(日立製作所・二塁手)への注目度が上がっていきそうだ。打者走者の一塁到達タイムは高い確率で4.3秒未満を計測し、二塁守備も安定している。

(文・小関 順二)