中国メディア「新浪網」はこのほど、「J−20(殲−20)が中国空軍をロシア以上にする。日本の戦闘機は逃げ場すらない」と題する記事を発表した。(写真は新浪網の25日付報道の画面キャプチャー)

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 中国メディア「新浪網」はこのほど、「J-20(殲-20)が中国空軍をロシア以上にする。日本の戦闘機は逃げ場すらない」と題する記事を発表した。

 記事は、現時点で唯一現役のステルス戦闘機は米国の「F-22」と指摘。超音速巡航の実現、高速時の卓越した機動性、優秀なステルス性、情報・通信機能の高い能力などで、ステルス戦闘機の国際的なスタンダードを作ったと評価した上で、生産終了してから何年もたっているのに、その他の国がステルス戦闘機の運用に至っていないことは、ステルス戦闘機の開発が困難であることを意味していると主張した。

 記事は次に、自国が開発中のJ-20を説明。まず、F-22との設計思想の違いについて、F-22は敵国を攻撃し、敵国の攻撃力を奪うことを想定しているのに対し、J-20は本土防空作戦を重視しているため、対地・対艦攻撃力に力を入れていると主張した。機首下側に米戦闘機のF-35のEOTSと同様な電子・光学式照準システムを搭載するのはそのためという。

 記事は、J-20が「PL-12D(霹靂-12D)」や「PL-10」などの空対空ミサイルだけでなく、「LS-6(雷石-6)」、「LT-2(雷霆-2)」といった誘導爆弾を搭載できることにも触れた。

 さらに、J-20は現在、ロシア製エンジンの「AL-31」を搭載しているが、将来は大馬力で推力偏向機能もある中国産の「WS-15(渦扇-15)」を搭載と解説。中国軍は順調ならば2017年にはJ-20の運用を開始すると論じ、「世界で2番目にステルス戦闘機を持つ国になる。中国はこの点で、ロシア空軍の先を行くことになる。いまだに初飛行ができない日本の『心神』は、はるか後ろに置き去りだ」と主張した。

 日本の先進技術実証機「ATD-X」(通称:心神)については、機体が小さすぎて搭載できる武器の量に大きな制約があり、エンジンの推力も小さすぎて、超音速巡航は不能と主張。「どのような作戦能力を持てるか、極めて疑問」と論じた。

 記事は「日本に本当に独立して新世代型戦闘機を開発する考えはない」として、F-22の売却やF-35のライセンス生産について米国と交渉するための“道具”として心神を開発しているとの見方を示した。

 記事は、J-20と心神が対戦すれば「心神は逃げ場すらなくなる。日本人も、そのことを知ればびっくり仰天だ」と主張した。

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◆解説◆
 ATD-Xは、日本の防衛装備庁が三菱重工業を主契約企業として、将来の国産戦闘機開発を念頭に置いて先進的技術を実証するために開発している航空機。米国も同様の方式で「Xプレーン」と呼ばれる実証機の開発を続けている。

 ATD-Xは実証機であり、「本物の戦闘機」との比較は意味がないが、中国ではJ-20などをATD-Xと比較して「J-20の方が強い」と主張する記事がしばしば発表される。(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網の25日付報道の画面キャプチャー)