瓦、こと古美術の世界における瓦は、それが使われていた時代と、どこの寺院で使われていたものか、つまり由緒正しさ=”伝来”がその価値を大きく左右する。天平瓦などは、由緒正しき瓦の代名詞として挙げられるだろう。いづれにしても、屋根葺きの建材という瓦本来の役割を離れた瓦の鑑賞のされ方は、背後に花を添える瓦花器と呼ばれる形だ。瓦の乾いた質感が花の瑞々しい生命力を引き立てて、一般的な壺や土器、ガラスの花器とは