2015年の高校野球を占う【千葉編】「春夏連続出場を狙う木更津総合と、追う強豪校たち」

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 例年、30校ほどの有力校がひしめき合う千葉県だが、今年も戦国模様となりそうだ。その中で春、躍進が期待できる実力校、注目選手を紹介していきたい。

 木更津総合、松戸国際、千葉黎明、市立船橋の4強が中心か

早川 隆久(木更津総合)

 県大会優勝、関東大会準優勝を果たし、センバツ出場の木更津総合は例年とは違い、右サイドの鈴木 健矢、左腕の早川 隆久がいるように、投手力、守備型のチーム。

 木更津総合は夏にかけて一気に打撃力が向上するが、2012年、2013年と2年連続で夏の甲子園に出場したチームと比べると、強打型の選手が少なく、守備を中心とした戦いになりそうだ。

 ただ一冬超えると選手は伸びてくるので、木更津総合ナインの成長ぶりが楽しみだ

例年では夏でピークに達するチーム作りを行ってきたが、今年はセンバツに出場するので、過ごし方がだいぶ変わってくる。今までとは違う過程でも、夏にピークを持っていけるチーム作りができるかが、春夏連続出場へのカギとなるだろう。

 秋準優勝の松戸国際は安定感抜群の植谷 翔磨、強肩で、キャッチング能力が高い岡本 耕典、長打力のある沢辺 太一の3人が中心だが、強打だけではなく、犠打を駆使した攻撃で点をもぎ取るなど、点を取る引き出しが広いのが魅力。あとは大事な場面でベストパフォーマンスが発揮できる心身のスタミナが課題となる。

 初の秋季関東大会出場を決めた千葉黎明は、1年生右腕・川口 廉の成長に期待。細身から投げ込むキレの良い最速135キロのストレート、キレのあるスライダーの精度は高く、体にパワーが出てくると、球速も増してくるだろう。打線の強化にも期待したい。

 4強の市立船橋のエース望月 大希は常時130キロ台の直球を投げ込む右の本格派。また右サイドの遠藤 孝益も130キロ台の直球、スライダーをコントロール良く投げ込む投手で、投手力は高く、打線も、俊足巧打の遊撃手・及川 茂樹、パンチ力のある柄澤 侑也を中心とした打線の破壊力は中々。甲子園へ向けて、一段階レベルアップした姿を期待したい。

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!県立松戸国際高等学校(千葉)【前編】県立松戸国際高等学校(千葉)【後編】

[page_break:4強の対抗馬となりそうな専大松戸、習志野、東海大望洋 / 千葉敬愛、拓大紅陵、千葉経大附などが実力校多数]4強の対抗馬となりそうな専大松戸、習志野、東海大望洋

原 嵩(専大松戸)

 8強以下で、4強に対抗できる最大勢力は専大松戸、習志野、東海大望洋となるだろう。県大会2回戦で敗退した専大松戸だが、投打の総合力は県内随一。エース原 嵩は好調時、140キロ前後の速球とキレのあるスライダーで圧倒する右の本格派。打線も、大型遊撃手・渡辺 大樹、好打者・高田 拓実、パンチ力のある岡本 良樹、強肩捕手・河村 佳祐と、昨年から経験者が多い。夏にかけて、投打ともにピークに達すれば、全国的に見てもトップレベルの大型チームに育つ可能性が高く、非常に面白い。

 習志野のエース尾形 康平は140キロ超えを期待したい右腕。また長打力のある石田 晃太郎を中心に破壊力があり、さらに伝統となっている機動力のレベルも高い。このチームも、夏にかけてしっかりと仕上げるチームなので、注目のチームである。

 東海大望洋は最速143キロ右腕・原田 泰成、1年生ながら捕手のレギュラーを獲得した強肩巧打の峯尾 京吾のバッテリーは強力で、打線も4番石井を中心とした破壊力は県内でも上位に入るだろう。原田が縦の変化など、140キロの速球だけではないところを見せ付け、また打線の破壊力もより増してくれば、2年連続の夏の甲子園出場へ前進する可能性は高い。

千葉敬愛、拓大紅陵、千葉経大附などが実力校多数

宮城 正規(我孫子東)

 他では試合巧者の千葉敬愛、1年生で140キロ台の速球を投げ込む剛腕・宮城 正規を擁する我孫子東、千葉英和のスラッガー・網谷 圭将は春季大会で爆発なるか。好打者・永田 大貴、投打にパワフルなパフォーマンスがウリの相沢 貴文擁する千葉経大附、そして昨年の秋季県大会初戦で木更津総合の投手陣から3点を奪い、つながりのある打線が光った千葉日大一、ベスト8入りした千葉商大付はエース・吉山 栄太を中心に1年生レギュラーが多く、伸びしろが大きいのが魅力。

 また長打力が自慢の角田 孝祐擁する多古も、一冬超えてより打線に破壊力が増してきそうだ。また名将・小枝 守監督が勇退した拓大紅陵も、強肩捕手・伊藤 寿真、センスの良い遊撃手・樫森 恒太とセンターラインを中心に好選手が揃い、上位進出を虎視眈々と狙っている。

 昨夏4強の柏日体は強打者・朏 仁矢、身体能力抜群の大型外野手・エドポロ ジョセフと経験者が残り、一冬越えて、また強力なチームを作り上げそうだ。

 戦国・千葉を勝ち抜くには、夏にピークに達するようなチーム作りが出来るか。千葉県の勢力図は、1年どころか、半年で変わってしまうほど。秋強かった、春強かったチームが、そのまま夏も強さを維持しないのが、この県の怖さであり、面白さである。

 高校生は一冬超えて一気に変わるので、昨秋、早期敗退したチームが、大きく伸びて、怖いチームに成長している可能性も十分にあるのだ。

 今年は昨秋4強入りしたチームが春でも、そのまま上位に食い込むのか、それとも秋に早期敗退したチームが多く上位に名を連ねているのか。強豪同士がぶつかる春季県大会は見逃せない試合が多くなるだろう。

(文・河嶋 宗一)

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問とチーム紹介は以下から!東海大学付属望洋高等学校(千葉)