泣ける曲にしっかりと聞き入る幼児。

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3歳になる、筆者の娘。良くわからない理由で泣いて、手を焼かせることもまだまだある。だが、テレビ番組を見ていて感動の涙を流すことも時折出てきた。たとえば、アニメ番組。切なかったり悲しかったりするイイ話のアニメを見ている娘を、チラッと見てみると……。明らかに涙目のときが度々あった。

さらに、とあるドキュメンタリー番組でのこと。小学生の女の子が、今は離婚して別々に暮らしている父親と久々に再会。楽しい時間を親子で過ごしたあとに訪れる、悲しくも切ない別れのとき。そのシーンをかぶりつきで見ている娘を、チラッと見てみると……。涙が頬を伝っているではないか。

我が子のこんな些細なことにも感動してしまうのが、親ってものなんです。感動して泣く3歳の娘に感動した筆者。ああ、かわいい。愛しいぜ娘。そしてムクムクと筆者の中に湧き上がる感情。娘にもっと、感動の涙を流させたい……。かわいい涙を、もっと見たい……。

という内容のことを妻に相談してみたが、まったく耳を貸してくれなかった。妻が耳を貸しているのは、iPodである。そうですか。夫の相談よりもiPodですか。そうですか……。と、よくよく見てみると、妻も泣いているではないか。

そして筆者、いいことを思いついた。そうだ! 泣ける曲を娘に聴かせて、感動のかわいい涙を流させればいいじゃないか! 「いや、でもさ。まだ歌詞の意味もきちんと理解できない3歳児が、泣ける曲を聴いて泣くことはないんじゃない?」と、妻。

出鼻をっ。筆者は、妻に出鼻を挫かれた。まあたしかに、妻の言うことももっともではある。けど、ドキュメンタリー番組で泣く3歳児だ。あるいは、ということもありえる。娘を呼び寄せ、早速実験を開始した。さあ見せてくれ、感動のかわいい涙をっ。

筆者が聴く度に泣きそうになる曲をかける。まずは、YUKIの「長い夢」。筆者は、聴くと毎回目頭が熱くなる。が……。「かわいいおうたね」と娘。むむ。なるほど。たしかに、この「長い夢」、曲自体はポップでかわいらしい。泣けるのは、歌詞の内容か。3歳じゃまだ、歌詞の内容は理解できないもんなあ。

続いて、ビートルズの「LET IT BE」。ビリー・ジョエルの「HONESTY」。グーグードールズの「Iris」など洋楽で攻めてみる。「どうだい、娘?」と尋ねるも、「なにが?」と何がなんだかわからない様子の娘。いくら歌詞が無関係とはいえ、洋楽で3歳児を泣かすのは無謀か。

植村花菜の「トイレの神様」でも……泣かない。あ、これも曲より歌詞で泣けるタイプか。メロディだけでも泣ける曲……。これなんか、どうだろう。沢田知可子の「会いたい」。♪今年も〜海へ〜行くって〜♪ チラッと娘を見ると……。あれっ! 涙目じゃない!?

「何なに? 悲しいのかい、娘よ?」「ちがうよ〜」と言う娘だが、明らかに目に涙がたまっている。これは……。続いて、西田敏行の「もしもピアノが弾けたなら」を流すと……。ウエ〜ン! と、娘は完全に泣いてしまった。

「感動して泣いたんじゃなくて、実験されるのがイヤになって泣いちゃったんじゃない?」と、泣く娘をあやしながらのたまう妻。何を、身もフタもないことを……。じゃあ、泣ける曲を筆者が生歌で披露して、感動の涙を流すか試してみようじゃないか。

娘が落ち着いたのを見計らって、感動の名曲「赤い靴」を全力で歌う筆者。しかも、ちょっと替え歌で。「♪赤い靴〜はいてた〜●●(←娘の名前)ちゃん〜♪異人さんにつれられて〜行っちゃった〜♪」と歌い終えたところで、再び大泣きする娘。

「感動したっ!?」と小泉元首相ばりに娘に尋ねてみると、妻が娘を代弁した、「違うわよ! あんたの歌が気味悪くて泣いたのよ!」。……えっと。幼児も、悲しいメロディの曲で泣くことはどうやらあるようです。別日に「会いたい」一曲だけを聴かせたら、まあ泣くまではいかなかったものの、涙目にはなってましたから。少なくとも、曲で感動はするようです。あ、あと、気味悪い歌い方でも泣きますよ!
(木村吉貴/studio woofoo)