「リサとガスパール」原作誕生25周年!作者アン・グットマン、ゲオルグ・ハレンスレーベン夫妻が9年ぶりに来日
うさぎでもいぬでもない、とびきりキュートなパリの住人「リサとガスパール」は、2024年が原作誕生から25周年のアニバーサリーイヤー!これを祝い、9年ぶりに作者のアン・グットマンさん&ゲオルグ・ハレンスレーベンさん夫妻が来日。最新作をはじめ、制作にかける思いなどを合同インタビューで語った。
【写真】2024年5月に出版した「ガスパール ベネチアへいく」、6月に出版した「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」
■新たに絵本2冊が連続刊行
河出書房新社より装いも新たに刊行が始まった絵本「リサとガスパール」シリーズは、これまで親しまれた翻訳者の石津ちひろさんを引き続き起用しながら、原書の持つテイストを忠実に再現。過去に日本国内で発売された絵本から、特に人気の高い作品を中心とした作品が選ばれ、石津さんによって新たに翻訳された。25周年となる今年は、フランス本国でシリーズ第1巻を飾った「ガスパール ベネチアへいく」を5月に、待望の最新作「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」を6月に出版。こちらの2冊は、いずれも日本では初めて紹介される作品で、新しいリサとガスパールのエピソードを楽しむことができる。
そんなアニバーサリーイヤー、「リサとガスパール」原作誕生25周年を機に、9年ぶりに来日した絵本の作者、アンさん(文)・ゲオルグさん(絵)夫妻。これに伴い、プレス向けの合同インタビューが開催されたので、ここではその内容をお届けする。
――まずは、リサとガスパール原作誕生25周年を迎えて、お気持ちをお聞かせください。
【ゲオルグさん】リサとガスパールの作品の制作を始めた頃は、こんな日が来るとは想像もしていませんでした。今日も、こんなにたくさんのメディアの方にお越しいただいて、とてもうれしく思います。現在も、制作をとても楽しんでいます。
【アンさん】私もこんなに長く続くとは思っていなかったです。もう25年も経つなんて。そんな気がしないです。
――改めてこの25年間「リサとガスパール」を創作してきたなかで、どんなことを感じられていますか?新しい作品はどうやって生み出しているのでしょうか?
【ゲオルグさん】最新作の「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」の絵のほうに関しましては、比較的やりやすかったんですよ。今はスマホですごくいい映像が撮影できるので、実際にルーブルで撮ってきて、それを見てきた通り、絵に起こしていきました。
逆にアンのほうは、毎回、“少しハプニングが起こる”“オチを付ける”というようなことを考えなくてはいけないのですが、どうやって考えているのかな?と。どこからアイデアが湧いているのかと、すごく感心しています。
【アンさん】私のほうは、出版社の編集者と相談して、今回はどういうテーマでいくのかというのを打ち合わせしながらやっております。 あとは、25年間リサとガスパールの作品に携わっているので、(作中の)彼らだったらどんなリアクションするだろうっていうことを、割と想像しやすいというのがあります。そういったところからアイデアを膨らませてストーリーにしています。
――「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」を出版するにあたり、「ルーブルびじゅつかん」をテーマに選んだ理由を教えてください。また、制作秘話があればお願いします。
【アンさん】先ほど話した通り、編集者と話していくなかで決まりました。
【ゲオルグさん】ルーブルというのは、もともと好きな場所。やったら楽しそうだなとは思ったのですが、建物内外の細かい描写は大変だろうなと思っていました。それに、アンが結構厳しくて(笑)。細かい筆で試行錯誤しながら描いて、「できたんだけど、これでどうかな?」と聞くと、「ちょっとこれは…」とダメ出しが来るんです。でも、いろいろとやり直しをしながらできあがったものを見ると、“まるでルーブル”な絵に仕上がったと。作中に出てくる、美術館のなかの絵も丁寧に描き込んでいます。
――ちなみに、「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」では、リサがずっとパンをモグモグしているんですが、そのかわいいアイデアはどこから生まれたのでしょうか?
【アンさん】時間に遅れて来たリサが、朝ごはんを食べる時間がなくて、クロワッサンをモグモグしながら移動していたらパンくずが落ちていて…という考えが浮かんだんです。結果的にそれが作品のポイントになりましたね。
【ゲオルグさん】わたしが感心したのは、「リサがパンを食べている」といった直接的な表現が文章では書かれていないことですね。途中で、先生がリサに「床にパンくずをこぼすの、やめてちょうだい!」と言うことで、リサがパンを手にしていることを読者に気付かせる。それで最後まで読んでから、前のほうを見直すと、実はリサがず〜っとパンくずをこぼしていたのがわかり、なるほど!って発見できる喜びがあるんです。それは、すごくおもしろいなと思いました。
――25年間制作を続けてきたなかで、なにか変化はあるでしょうか?
【ゲオルグさん】1冊目から考えると、絵は結構変わってきていますね。リサとガスパールは、昔は痩せていて尻尾が長かったんですけど。でも、変化はしているものの、それを気にするという人もいませんし、徐々にキャラクターとして完成してきたなと思っています。これからも少しずつ変化していくかもしれません。
絵描きとしては、描き方も少し変えていたりします。昔のほうが平面的な描き方をしていたんですけれども、毎回同じことをしたくない、 繰り返しをしたくないと考えているので、自分自身も描いていて気に入るような、おもしろいと思えるような形をいろいろと試しています。
――今回の9年ぶりの来日はいかがですか?
【ゲオルグさん】とてもうれしく思っています。日本は、最初に来たときよりもかなり便利になっていますね。一番最初はまだ外国人観光客も少なかったし、英語を話す人も少なかった。どこかで夕食を…と思っても迷子になってしまったり、レストランでなにが出てくるのかわからなかったり。けれどもどんどん便利になって、来るたびにますます日本が好きになっています。
【アンさん】(9年ぶりの来日は)エキサイティングでワクワクしています。できる限り、たくさん散策をしたいと思っています。そして今回は子どもたちと一緒に来ているんですけれども、娘たちがものすごくリサーチして行きたい場所を決めたりレストランを予約していたりと、ばっちりプログラムを作ってくれていて。なので全部任せるつもりです(笑)。
――今後、リサとガスパールでやってみたいことがあれば教えてください。
【ゲオルグさん】また新しいアイデアが湧いたり、新しくやりたいことがどんどん出てくると思いますので楽しみにしていてください。
あと、さまざまなコラボレーションにも驚いていて。「France Fair」が開催されている富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)内のテーマタウン「リサとガスパール タウン」では、我々の子どもたちの名前が付いた通りもあるということですが、そんなことは想像もしていなかったし、すごいことだなと思っているんですよ。そして、帝国ホテル 東京で楽しめるリサとガスパールのアフタヌーンティーも、おいしくて、見た目が美しくて「こんなことができるなんて!」とびっくりしています。
取材・文=平井あゆみ
撮影=島本絵梨佳
※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
(C) 2024 Anne Gutman & Georg Hallensleben / Hachette Livre
【写真】2024年5月に出版した「ガスパール ベネチアへいく」、6月に出版した「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」
■新たに絵本2冊が連続刊行
そんなアニバーサリーイヤー、「リサとガスパール」原作誕生25周年を機に、9年ぶりに来日した絵本の作者、アンさん(文)・ゲオルグさん(絵)夫妻。これに伴い、プレス向けの合同インタビューが開催されたので、ここではその内容をお届けする。
――まずは、リサとガスパール原作誕生25周年を迎えて、お気持ちをお聞かせください。
【ゲオルグさん】リサとガスパールの作品の制作を始めた頃は、こんな日が来るとは想像もしていませんでした。今日も、こんなにたくさんのメディアの方にお越しいただいて、とてもうれしく思います。現在も、制作をとても楽しんでいます。
【アンさん】私もこんなに長く続くとは思っていなかったです。もう25年も経つなんて。そんな気がしないです。
――改めてこの25年間「リサとガスパール」を創作してきたなかで、どんなことを感じられていますか?新しい作品はどうやって生み出しているのでしょうか?
【ゲオルグさん】最新作の「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」の絵のほうに関しましては、比較的やりやすかったんですよ。今はスマホですごくいい映像が撮影できるので、実際にルーブルで撮ってきて、それを見てきた通り、絵に起こしていきました。
逆にアンのほうは、毎回、“少しハプニングが起こる”“オチを付ける”というようなことを考えなくてはいけないのですが、どうやって考えているのかな?と。どこからアイデアが湧いているのかと、すごく感心しています。
【アンさん】私のほうは、出版社の編集者と相談して、今回はどういうテーマでいくのかというのを打ち合わせしながらやっております。 あとは、25年間リサとガスパールの作品に携わっているので、(作中の)彼らだったらどんなリアクションするだろうっていうことを、割と想像しやすいというのがあります。そういったところからアイデアを膨らませてストーリーにしています。
――「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」を出版するにあたり、「ルーブルびじゅつかん」をテーマに選んだ理由を教えてください。また、制作秘話があればお願いします。
【アンさん】先ほど話した通り、編集者と話していくなかで決まりました。
【ゲオルグさん】ルーブルというのは、もともと好きな場所。やったら楽しそうだなとは思ったのですが、建物内外の細かい描写は大変だろうなと思っていました。それに、アンが結構厳しくて(笑)。細かい筆で試行錯誤しながら描いて、「できたんだけど、これでどうかな?」と聞くと、「ちょっとこれは…」とダメ出しが来るんです。でも、いろいろとやり直しをしながらできあがったものを見ると、“まるでルーブル”な絵に仕上がったと。作中に出てくる、美術館のなかの絵も丁寧に描き込んでいます。
――ちなみに、「リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく」では、リサがずっとパンをモグモグしているんですが、そのかわいいアイデアはどこから生まれたのでしょうか?
【アンさん】時間に遅れて来たリサが、朝ごはんを食べる時間がなくて、クロワッサンをモグモグしながら移動していたらパンくずが落ちていて…という考えが浮かんだんです。結果的にそれが作品のポイントになりましたね。
【ゲオルグさん】わたしが感心したのは、「リサがパンを食べている」といった直接的な表現が文章では書かれていないことですね。途中で、先生がリサに「床にパンくずをこぼすの、やめてちょうだい!」と言うことで、リサがパンを手にしていることを読者に気付かせる。それで最後まで読んでから、前のほうを見直すと、実はリサがず〜っとパンくずをこぼしていたのがわかり、なるほど!って発見できる喜びがあるんです。それは、すごくおもしろいなと思いました。
――25年間制作を続けてきたなかで、なにか変化はあるでしょうか?
【ゲオルグさん】1冊目から考えると、絵は結構変わってきていますね。リサとガスパールは、昔は痩せていて尻尾が長かったんですけど。でも、変化はしているものの、それを気にするという人もいませんし、徐々にキャラクターとして完成してきたなと思っています。これからも少しずつ変化していくかもしれません。
絵描きとしては、描き方も少し変えていたりします。昔のほうが平面的な描き方をしていたんですけれども、毎回同じことをしたくない、 繰り返しをしたくないと考えているので、自分自身も描いていて気に入るような、おもしろいと思えるような形をいろいろと試しています。
――今回の9年ぶりの来日はいかがですか?
【ゲオルグさん】とてもうれしく思っています。日本は、最初に来たときよりもかなり便利になっていますね。一番最初はまだ外国人観光客も少なかったし、英語を話す人も少なかった。どこかで夕食を…と思っても迷子になってしまったり、レストランでなにが出てくるのかわからなかったり。けれどもどんどん便利になって、来るたびにますます日本が好きになっています。
【アンさん】(9年ぶりの来日は)エキサイティングでワクワクしています。できる限り、たくさん散策をしたいと思っています。そして今回は子どもたちと一緒に来ているんですけれども、娘たちがものすごくリサーチして行きたい場所を決めたりレストランを予約していたりと、ばっちりプログラムを作ってくれていて。なので全部任せるつもりです(笑)。
――今後、リサとガスパールでやってみたいことがあれば教えてください。
【ゲオルグさん】また新しいアイデアが湧いたり、新しくやりたいことがどんどん出てくると思いますので楽しみにしていてください。
あと、さまざまなコラボレーションにも驚いていて。「France Fair」が開催されている富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)内のテーマタウン「リサとガスパール タウン」では、我々の子どもたちの名前が付いた通りもあるということですが、そんなことは想像もしていなかったし、すごいことだなと思っているんですよ。そして、帝国ホテル 東京で楽しめるリサとガスパールのアフタヌーンティーも、おいしくて、見た目が美しくて「こんなことができるなんて!」とびっくりしています。
取材・文=平井あゆみ
撮影=島本絵梨佳
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(C) 2024 Anne Gutman & Georg Hallensleben / Hachette Livre