相撲界を追放された時津風親方「夜の掟破り行動」に八角理事長が激怒/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」

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 それは新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下で開催が危ぶまれた、2021年1月の大相撲初場所中の出来事だった。場所前、横綱・白鵬をはじめ、多くの感染者が判明。その影響で濃厚接触者を含めた65人の休場者が出たことで、日本相撲協会は場所中の対応から日常生活に至るまで、約40ページに及ぶ独自のガイドラインを策定。そこには、感染経路特定に必要な除法として〈「いつ、だれと、どこに」を明記し師匠に報告する〉と明記されていた。

 不要不急の外出が認められない状況下、本来であれば弟子たちを監督すべき立場にある師匠が場所中、連日のように麻雀店や性サービス店に出かけていたことが発覚。相撲協会からのクビを通達されたのが、時津風親方(元幕内・時津海)だった。

 土俵外の動きを報じた「週刊文春」によれば、親方は愛弟子の正代が大栄翔と熾烈な優勝争いを繰り広げる中、なんと5夜連続で繁華街に出かけていたというのだが、

「本場所終了から4日後の理事会で挨拶に臨んだ八角理事長は『15日間、無事にやってくれた。本当に感謝しています。力士も行事も呼出も、床山も、そして親方衆も家族も、よく頑張ってくれました』と関係者にねぎらいの言葉を述べたあと、『ただし、一人だけ守れなかった者がいる』と憮然した表情で語ったそうです。報道後、時津風親方はすぐ、協会に退職届を提出。2月22日、相撲協会は親方に対し、退職勧告と退職金30%減額の処分を下し、親方は相撲界を去ることになりました」(スポーツ紙記者)

 実は時津風親方による規則違反はこれが3回目。最初(2010年6月)は野球賭博に関与したとして、親方としては役職最下位となる平年寄へ降格に。2回目は2020年9月、この時もコロナ禍で相撲協会から不要不急の外出が禁じられる中、宮城県でゴルフコンペに参加。福岡県にも数日滞在したことで、9月場所中の謹慎を命じられた。

 時津風親方は東京農業大学卒業後、時津風部屋に入門。幕内中位をキープする実力で人気もあったが、そこで勃発したのが、部屋内での2007年6月の「集団リンチ死事件」だった。

「前親方が解雇処分になったことで、部屋の継承問題が発生。東農大OBだった先々代(元大関・豊山)の説得もあり、時津海が志半ばで現役を引退し、33歳という若さで親方の職に就くことになりました。昨日まで一緒に稽古していた仲間から突然、『師匠』と呼ばれる立場になったわけですからね。なかなか実感と自覚が備わらず、それが言動に現れてしまっていた」(前出・スポーツ紙記者)

 とはいえ、ひとつ屋根の下で、弟子たちと寝食を共にするという特殊な環境の中、陽性者が出ずとも濃厚接触者の疑いがあれば、力士は出場できなくなる。緊急事態宣言下での不用意すぎる行動に、相撲協会関係者の怒りが爆発する大騒動となったのである。

(山川敦司)