「派手だけれど、家庭的な女性が好き」理想を語る男に対し、女が感じる本音
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「3年ぶりに再会した男と久しぶりにデートした結果、女が連絡をしなくなった理由は?」という質問。さて、その答えとは?
― また、この市場に戻ってきちゃった。
結婚と離婚をスピーディーに経験した結果、私は婚活市場に戻ることになった。
しばらく恋愛はいいかなとも思っていたけれど、やっぱりひとりは寂しい。
軽い気持ちで食事会に参加し始めた矢先、3年ほど前にデートしたことがある章介と再会した。
彼との再会は、本当に偶然だった。
久しぶりに会った章介は、以前と変わらず独身で、話の流れで私たちは二人で会うことになった。
でも、彼と二度ほどデートをして、私は“恋愛のある法則”を痛感することになった。
A1:“まだ”この人は婚活市場にいるのかと思った。
章介と最初に会ったのは、3年前。知人がセッティングしてくれた食事会だった。
当時、真剣に結婚相手を探していた私は、周囲に「いい人を紹介してほしい」と頼んでいた。そんななか、友人が紹介してくれたのが章介だった。
条件はいいのに、当時、長年彼女がいないと言っていた章介。
お互い第一印象は悪くなかった私たちは、二人で食事へ行くことになった。
しかし、章介の理想のタイプを聞いて「それは私ではないかも」と思ったこともあり、二度ほど食事へ行ったあと特に発展しないまま終わった。
そしてその後、出会った男性と私は結婚した。
結局離婚して、食事会へ参加するようになった矢先、章介と再会したのだ。
「あれ…?亜子ちゃん!?」
「え…!お久しぶりです」
頭をフル回転させて、名前を思い出す。過去には私もいろいろな男性とデートをしていたので、脳内データから一生懸命探し当てる。
― そうだ、章介さんだ!
たしか代官山に住んでいる経営者で、もうすぐ40歳。条件は悪くないけど、話がつまらないうえに理想が高過ぎて、引いたことを思い出した。
― 人のことを言える立場ではないけれど…。この人、まだこの市場にいるんだ。卒業していなかったのね。
私がそんなことを思っているなんて、まったく気がついていない章介は、食事会の後半で私との距離を詰めてきた。
「失礼なこと聞くかもだけど…。亜子ちゃんは、今も独身なの?」
正直に言うかどうか一瞬迷ったけれど、嘘をついても仕方がない。それに隠すことでもないだろう。
「実は…一度結婚したんです」
彼はそれを聞いて、明らかにショックを受けているように見えた。
彼の様子に驚いたと同時に、私が結婚したことに対してそんな反応をしてくれたことが嬉しくて、思わず笑う。
「…え、亜子ちゃん結婚してたの?」
「でも、半年で離婚しました(笑)」
するとパァッと笑顔になった章介。
「え!?離婚したの?早くない?」
「そうなんですよ〜。超スピード結婚からの、スピード離婚でした。でも子どももいなかったので、案外スムーズに離婚したんですよ」
真実のまま話すと、章介は急に身を乗り出してきた。
「そうなんだ。じゃあ今はフリーってこと?」
「はい♡また、絶賛彼氏募集中のフェーズに戻ってきました」
「今は誰もいないの?」
「もしいたら、今日の食事会に来ていないですよ」
「そっか、そうだよね」
決して悪い人ではないし、彼女がいても結婚していてもおかしくはない。未だに彼が独身でいることを不思議に思っていると、翌日章介から連絡が来た。
― 章介:亜子ちゃん、昨日はありがとう!ビックリしたね。良ければ、また今度二人で食事でもどうかな?
私も次の人を探しているし、章介も、誰かを探しているようだ。断る理由なんてなかったので、私はOKの返事をした。
A2:人は永遠に変わらない。むしろ拗らせていく…
LINEのやりとりから2週間後。彼が予約してくれた『代官山 いっさい喝采』へ向かった。
「たしか…章介さんのおうちって、この近くでしたよね?違いましたっけ?」
「そうそう!よく覚えていてくれたね。亜子ちゃんは?今どこに住んでいるの?」
「私は今、麻布十番です」
「そうなんだ。ひとり暮らし?前はどこに住んでいたっけ?」
「もちろんひとりで住んでますよ〜。前は赤坂に住んでいました」
― この人、私が前に話したこと全然覚えていないんだな。
そう思ったので、私は「今日が初デートだ」という気持ちで挑むことにした。気を配ったり、会話を盛り上げたりする。
離婚を経て、私は大人になった。
以前だと男性になんでも頼ってばかりだったし、傲慢なところもあった。でも離婚は私を成長させてくれた。
それが伝わったのか、章介が少し驚いたような顔をしている。
「亜子ちゃん、なんか雰囲気変わったね」
「そうですか?章介さんは…あまり変わらないですね」
「それはいい意味で?」
「はい、もちろん♡」
とりあえず笑顔を絶やさないようにしながら、質問も投げかける。しかし、話しているうちに段々と思い出してきた。
「章介さんは?結婚とか、彼女とか…どんな感じですか?」
「僕は、いいなと思う子がいたんだけど蓋を開けてみたらすごいワガママで、金食い虫みたいな子でさ。全然ダメだった」
― そうだ、この人の理想ってすごい歪んでいるんだった…。
すると今度は、章介が私に質問する番になった。
「亜子ちゃんは、なんで結婚したの?というかなんで離婚したの?」
「うーん…。結婚は勢いで。離婚は、価値観の不一致ですね」
それ以上でも、それ以下でもない。
自分が離婚を経験する前まではよくわかっていなかったけれど、「価値観の不一致」という言葉は、素晴らしく便利でしかも的を射ている。
けれども章介は納得がいかないのか、食いついてくる。
「もう少し詳しく教えて。価値観の不一致って?」
「説明が難しいですよね…。まぁ済んだことはもういいじゃないですか。元旦那の悪口みたいになっても嫌ですし」
「そうなの?別に大丈夫だよ」
― 私が嫌なんだよ!
空気の読めない章介を諭しながら、私たちは食事を続ける。そして気になっていたことを再確認してみた。
「章介さんは、理想のタイプは変わっていないんですか?華やかに見えるけど、実は真面目な子がいい。できればSNSもやっていないような感じの子がいい、って言ってましたよ」
当時彼の理想を聞いた時、「この人、結婚できないんだろうな…」と思ったことを覚えている。
章介の理想は、学生時代は非モテだったコンプレックスと、そこに女性に対する“慎ましさ”という理想郷でごちゃ混ぜになっている気がしたのだ。
「よく覚えててくれたね。そうだね、基本的には変わってないかも。でも最近は、それに加え料理も上手な子がいいなと…。最近僕自身が、家でゆっくりしたい派で」
しばらく合わないうちに、彼の理想がさらに高くなっている。
一見派手で華やかで美人。だけど実は真面目で家庭的…。たぶん、そんな女性はとっくに結婚している。
いたとしても、章介より条件の良い人に行く可能性が高い。
「そうなんですね。家でゆっくりできるのって、いいですよね」
「亜子ちゃんもそう思うの?亜子ちゃんが落ち着いたなら、めちゃ僕のタイプになるな〜」
そして、なぜか「俺が選んであげる」的な上から目線の発言をする章介。
「そう言ってもらえると嬉しいですが…」
この日は、1軒目で解散し、もう一度だけデートもしてみた。
でも結局、私は章介の高い理想と、こじれた恋愛感に付き合いきれないと判断した。「この人、さらにこじらせてるな…。もっと柔軟に対応しないと、結婚できないだろうな」とお節介ながらに思った。
『人は永遠に変わらない』私はそんな「恋愛の法則」を改めて実感する。
“理想は高過ぎず、ほどほどに”。それが結婚に対する一番の近道だ。私はこのことを痛感し自分自身にも言い聞かせた。
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