男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:アプリでせっかくマッチしても3回目のデートがない男。彼が女に見限られるワケ




たった一度しか、デートをしていない。でも僕は今日どうしても言いたくなって、目の前にいる椿に思わず告白してしまった。

「僕、椿ちゃんのことが好きになってしまい…。こんなこと言われたら困るかもなんだけど、付き合わない?」

突然の僕の告白に、明らかにフリーズしている椿。

― 早かったかな…。

そう思った。でも次の瞬間、椿は少し照れながら首を縦に振ってくれた。

「よろしくお願いします」
「え!!いいの?」
「うん。私も、林太郎さんのこといいなと思っていたから」

嬉しいけれど、どうして、たった一度のデートでOKをもらえたのだろうか。


Q1:初対面で女が男に対して思ったことは?


椿とは、知人が主催した忘年会で一緒になった。ただこの忘年会は想定外の大人数で、椿と話したのは一言、二言くらいだったと思う。

大人数の中でも、美人で目立っていた椿。ただそれ以上に話しかけにくいオーラが漂っており、椿の周囲は静かだった。

「初めまして、林太郎です。涼太の知り合いですか?」
「そうです。でもここまで人数がいると思っていなくて…」
「僕もです。人数が多くてびっくりしました!」

この日は、これくらいの会話だった。

ただ、運命が僕を味方してくれたようだ。忘年会にいたメンバーで新年会をすることになり、そこに椿がいたのだ。

新年会は個室に合計で6人と少人数だったので、僕は前回より椿と話せた。

しかも、椿と隣の席でなんとなく会話が始まる。




「林太郎、さんでしたっけ?この前チラッと話しましたよね?」
「名前覚えていてくださったんですか!?嬉しいです!あの時は人数が多すぎて、全然話せなかったなぁと思ってて」
「同じくです」
「今日は少人数なので、この前より話しやすいですね」

椿はもっとツンケンしているのかと思いきや、ただの人見知りだったらしい。

「実は私、すごい人見知りで…」
「そうなんですか?全然そんなふうに見えないですけど…」

一見冷たそうに見えるけれど、話すとふわふわとしている椿。僕からすると、人見知りには見えなかった。

「本当ですか!?なんでだろう、林太郎さんが話しやすいからですかね」

綺麗な笑顔でそんなふうに褒めてもらえて、僕のハイボールが減るスピードも思わず速くなる。

「椿さんは、お仕事は何をされているんですか?」
「私は秘書をしています。林太郎さんは?」
「僕は自分で会社を経営してます」
「すごい!何系の会社なんですか?」

そこから各々の仕事の話などをしたりと、二人で話す時間がかなり多かった。

「椿さんって、話しやすいですね」
「そうですか?林太郎さんも!」

結局この日、二次会ではみんなで六本木にあるカラオケ付きの個室バーへ行き、解散したのは24時前だった。




店を出て、タクシーを探しながらも僕はさりげなく椿へ近づいてみる。

「椿さん、お家はどの辺りですか?」
「私は白金高輪です。林太郎さんは?」
「僕は芝のほうなので、送って行きますよ」

まだ椿の連絡先をゲットできていなかったので、知りたいというヨコシマな気持ちもあった。

でも純粋な椿は、目をキラキラとさせながら喜んでくれている。

「いいんですか?じゃあお言葉に甘えて」

こうして一緒にタクシーに乗り、そこでも椿とは会話が弾んだ。

「椿さんって、意外にお酒強いんですね」
「そうですか?林太郎さんも、全然顔色が変わってないです。お酒、お好きなんですか?」
「そうですね。…良ければ、今度二人で食事しませんか?」
「はい、ぜひぜひ」

こうしてタクシーの車内で連絡先を交換し、デートの約束までして別れた。

そして迎えた初デートで、僕は思わず椿に思いの丈を伝えてしまったのだ。


Q2:初デートで女がOKした理由は?


新年会から1週間後。

早速僕は小皿で家庭的な和食が楽しめる、お気に入りの店『一即夛』へ椿を連れて行くことにした。




「場所、すぐにわかりました?」
「はい!」

そんな会話をしながら、改めて椿を見てみた。今日も椿は綺麗で、思わず見惚れてしまう。

そしてうっかり、心の声が漏れてしまう。

「椿さんって、本当に可愛いですね。性格含めて」
「どうしたんですか、急に」
「あ…すみません、つい本音が!」

何かおかしかったのか、椿がケラケラと声を出して笑い始めた。

「林太郎さんって、面白いですね」
「そうですか?単細胞なんですよ、きっと」
「そこがいいですよね。素直な人って、素敵です」
「ありがとうございます」

カウンター席で隣り合いながら、自然と会話も弾む。気がついた時には、お互い敬語も抜けていた。




「林太郎さん、お料理は?家で作ったりする?」
「いや〜それが、料理はそこまで得意じゃなくて。たまに男飯作るくらいかな。椿ちゃんは?」
「私もたまに。家でひとりだと、つい適当になりがちで」
「わかる!でも奥さんとか彼女がご飯作ってくれるだけで、何でも美味しく感じられる自信がある」

今日が初デートなはずだけど、椿と話していると居心地がよく、楽しい。そして会話は、結婚などの話になっていた。

「林太郎さんは、彼女とか…結婚願望とかは?」
「あるよ!もうすぐ34歳だし、めちゃ結婚したい。椿ちゃんは?」
「私も今年で33歳だから、早めに結婚したいかな」

この話を聞いて、どうして僕は“イケる”と思ったのか自分でもわからない。

ただ直感で「椿とこの先も一緒いれたら楽しいだろうな」と思い、そして純粋に「交際したい」とも思った。

この後もう一軒行き、そこでも僕たちは盛り上がった。

「椿ちゃんといると、本当に楽しいな。椿ちゃんって、今本当に彼氏いないの?」
「うん、いないよ〜。リアルに彼氏募集中」
「そうなんだ」

酒の力もあったのか、帰り際。僕はタクシーを拾う前に、「言うなら今しかない!」と思い、玉砕覚悟で椿に思いを伝えることにした。

「僕、椿ちゃんのことが好きになってしまい…。こんなこと言われたら困るかもなんだけど、付き合わない?」

早すぎるかと思ったけれど、椿からは予想外のOKをもらえた。

交際できることになり、僕はかなり舞い上がっている。

ただなぜ一度のデートで椿がYESと言ってくれたのか、自分でも不思議だ。

▶前回:アプリでせっかくマッチしても3回目のデートがない男。彼が女に見限られるワケ

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が一度のデートで、男との交際を決めた理由は?