男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「両親へ紹介しようとした途端に、女が逃げた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:デートの会計時。「ごちそうさま」と笑顔で言うが、財布を出さない女に男が苦言を呈したら




交際して、もうすぐ1年になる龍介。悩みに悩んだ結果、私はある結論に至った。

「龍ちゃんごめん…。私、龍ちゃんとはこれ以上付き合えない」

龍介は、外資系金融勤務で、年収は3,000万ほど。千代田区出身のお坊ちゃまで、年始に、彼の実家へ挨拶に行く予定だった。

結婚の話も出ていたけど…。

「…え!?」

心底驚いているのか、それ以外の声が出てこない龍介。

― 龍ちゃん、ごめんね…。

心の中でそう呟きながらも、年内のうちに彼との関係を清算でき、どこかスッキリしている自分もいた。


A1:年収が自分の倍以上あるのに、ケチ過ぎる。


龍介に出会ったのは、知人の紹介だった。しかし肝心の紹介者が当日来れなくなり、最初から龍介と二人で会うことになった。

「寛貴、今日来れなくなったみたいで…」
「聞きました(笑)最初から二人って…ちょっと緊張しますね」

そんな感じで最初は緊張していたものの、なぜか龍介とは初めての気がしないくらい、気が合う。

「僕たち、どこかで会ったことありました?」
「私も思いました!でもたぶん初対面ですよね?」

そしてこの後三度ほどデートをし、龍介のほうから告白をしてきてくれ、交際することになる。

「改めて、よろしくお願いします」
「こちらこそ。龍ちゃん、よろしくお願いします」

この時は、すべてうまくいくと思っていた。フィーリングも合うし、結婚願望のある私には最高の相手だと。

でも交際してすぐに、第一関門がやってきた。




交際する前までは、デート代は龍介が全額支払っていた。交際後もそれが続くのかと思っていた。

だから、交際して初めてのデートで、お会計が運ばれてきた時、私はいつも通り先に龍介にお礼を言った。

「龍ちゃん、ごちそうさまです」

すると、龍介は会計のレシートを見たまましばらく考え込み、まじまじと私の顔を見てきた。

「あのさ、瞳。お金のことなんだけど」
「う、うん」
「毎回僕が支払うのかな?」

― ……え??

呆然とする私に、龍介は畳み掛けてくる。

「この先のこと。例えば結婚とか…瞳は、ちゃんと考えてる?」
「もちろん!龍ちゃんと、この先も一緒にいたいと思っているよ」
「そっか。そしたら尚更、ちゃんとしておこう」

毎回支払ってもらって当然だと思っていた私も悪い。

でも交際する前までは何も言っていなかったのに、突然態度を変えてきた龍介に驚いた。

ただ「結婚を考えている」と言われると、それ以上は何も言えなくなる。




― たしかに、結婚するなら金銭感覚の擦り合わせは大事だしな…。

そう自分で自分を納得させる。でも、さらに龍介は話を続けてきた。

「例えばなんだけど、1軒目は俺。2軒目は瞳…とかはどうかな」

きっと彼なりに、私と龍介の収入格差を加味してくれたうえでの提案なのだろう。でも私はお酒に強くないので、そこまで飲まない。

一方の龍介は、かなり酒量が多い。

「それなら私にも支払えそう!でも私、龍ちゃんほどお酒飲まないけど…」
「だったら逆に、安くなるから良かったじゃん(笑)」

― そういう問題?

支払うのは当然のことだと思うし、それはいい。でも外資系金融に勤めている龍介の年収はたぶん3,000万くらいはある。一方の私は日系の広告代理店なので、年収800万くらいだ。

「無理のない範囲でね。僕が飲みすぎた時とかは、さすがに払うから(笑)。それに、本当にキツいときは言ってほしい」
「わかった。ありがとう」

― いや、でもそうだよね。今の時代、おごられて当然なんて考えはおかしいし。しかも結婚を考えているならば、尚更だよね。

「良かった。瞳がちゃんと話し合える人で」
「この先も一緒にいるなら、大事なことだよね」
「結婚するなら、やっぱり瞳みたいな人がいいな」
「ありがとう♡」

私は笑顔でそう返したが、どこか釈然としていなかった。


A2:「この人とは結婚したくない」とハッキリと悟った。


龍介のことが嫌いになったわけではない。今年で30歳になる私にとって、結婚を意識する相手として、貴重な存在だったのも事実だ。

でも交際期間が半年過ぎたあたりから、龍介の家で食事をすることが多くなっていった。

基本的に、私が料理をする関係で、食材も毎回私が買って行くことになっていた。

― 龍介:ちょっと遅くなるかもだから、俺の家で待ってて!冷蔵庫の中、何もないよ〜。
― 瞳:わかった。スーパーで夕ご飯の材料買ってから行くね。

最初のうちは外食も多かったので、龍介の負担が大きかったことは確かだ。でもここ最近は家ご飯が多く、龍介はまったく支払っていない。

― これって…どうなの?みんなこんな感じなの?

結婚もしていないうちから、食費のことで悶々としている自分も嫌だ。でももっと嫌なのは、それを龍介に言えないことだった。




そして家で私が買ってきた材料で、私が作った料理を当たり前のように食べている龍介が、突然実家への挨拶の話をしてきた。

「瞳は、今年のお正月はどうするの?実家に帰るの?」
「帰るけど…横浜だし、すぐに帰ってくるよ。なんで?」
「良ければ、うちの実家に来ない?親戚が集まるし、その時に瞳を両親に紹介しようかなと思って」

龍介の家は、千代田区にある。龍介は、いわゆる、東京のいいところのお坊ちゃまだ。

「え…?それって…?」
「もうすぐ交際して1年になるし、そろそろ両親にも紹介しておこうかなと思って」

当然の流れだとは思う。アラサーの二人が交際期間1年になる。結婚の話になるだろうし、両家への挨拶も必要だろう。

でも龍介の次の発言で、私の中の何かが大きな拒否反応を示した。

「本当に!?ありがとう!でも緊張しちゃうな」
「母親の機嫌さえ取っておけば大丈夫だよ。今回紹介できたら、瞳と一緒に実家へ行く頻度も増えるだろうし、まずは慣れるということで」

― マジで嫌なんだけど…。

龍介ひとりに対しても、相当気を使っている。それがお母様も入ってくるとなると、かなり大変だ。




「それって…結婚への第一歩という認識でいいのかな?」
「もちろんだよ。まぁ、結婚しても今とあまり変わらないと思うけど」
「たしかに…最近、龍ちゃんの家でご飯食べる日も多いしね」

家でダラダラとし、何もしない龍介。食費も全部私もちで、掃除も片付けも全部私がしている。

― この人と結婚するメリットって、何だろう…。

結婚は、メリットとかで考えてはいけないのかもしれない。“好き”という感情が一番大切だと言う人もいると思う。

でも結婚前から、そもそもこんなことを考えている時点でダメだと思う。それと同時に、私は悟った。

― あ…。私、この人と結婚したくないんだ。

本当に結婚したかったら、多少のことには目をつぶるし、ご実家へご挨拶へ行けるなんて結婚に100歩近づいたも同然のことなので喜ぶはず。

でも真っ先に浮かんだ感情は、“嫌だな”だった。

別れるなら、早いほうがいい。そう思い、私は今年の恋愛は今年のうちに清算することにした。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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