この秋のドラマ『マイ・セカンド・アオハル』で主演を務める女優・広瀬アリスさんを、「恵比寿ガーデンプレイス」にオープンした話題のダイニングにお連れした。

キャビア、ステーキ、パフェと、大人をワクワクさせる美味がなんでもそろっている場所で、彼女はどんな表情を見せるのか?

自分を見つめ直した、2022年の充電期間についても語ってくれた!


スランプを乗り越えた広瀬アリスが、いま思うこと


この日、撮影を終えた広瀬アリスさんは、凪いだ海のように落ち着いた雰囲気を漂わせていた。

インタビューの手始めに恵比寿の街との関わりを訊ねると、「ガーデンプレイス」のスーパーマーケットを利用したことがあると明かしてくれ、実にフランクで好ましかった。

彼女が「東京カレンダー」の表紙を飾るのは2022年5月号以来のこと。思えば、その撮影の後、体調不良を理由に舞台を降板することを報告したのである。

最前線で活躍していた人が一時的であれ表舞台から姿を消すのは、恐らく一大決心。相当な覚悟が必要だったであろう。

その感想を当のご本人に伝えると、こんな言葉が返ってきた。

「芸能界は入れ替わりが激しい業界だから、私の代わりなんていくらでもいる。そう思うと怖かったし、復帰したとして、仕事が減るのも不安でした。

でも、あるとき友達に言われたんです。『あなたが今までやってきた仕事は簡単に忘れられてしまうような代物だったの?』って。

『無理したまま突き進んで相手に迷惑をかけてから離脱するよりいったん潔く撤退した方が、あなたのためにもなる。オファーがなくなったら、またイチから出直せばいいじゃない』とも諭されました。それで吹っ切れたんです」


「心を整えるのは、大切なことなんだなと実感しました」


その間、広瀬さんは充電に集中した。自宅でひとり静かに空を眺めて過ごした日もあったのだとか。

そして、その穏やかな時間は彼女の乾いた心を徐々に潤し、変化をもたらしたという。



「プレミアムシーフードプラッター」13,800円(2名分)が運ばれると歓声を上げた広瀬さん。無邪気にキャビアを口に運び、「なんてやさしい味なの」とひと言


「とにかく視界が明るくなりました。

例えば、うちのワンコたちはお散歩に行くよと言っても尻尾を振らないので外に出たくないんだろうと思い込んでいたんですけど、出してやったら、それはそれで楽しそうにはしゃぐことが分かりました。

結局、私の心が空っぽだったから、分かってやれなかった。心を整えるのは、大切なことなんだなと実感しました」

そんな気づきを得た広瀬さんは、『R‐1グランプリ2023』『ENGEIグランドスラム』の2番組をハシゴしながら4時間超ぶっ通しでMCを務め上げた。

異例の内容だったにもかかわらず、終了後の足取りは軽かったという。


「自分の機嫌を自分で取れる。私もそんな人になりたいです」


立ち止まる勇気を持てた人は、冷静に自分を見つめることができるようになる。

来年、広瀬さんは30歳という節目を迎えるが、きっとしなやかに進んでいくのだろう。彼女は言う。



最後にメロンとココナッツを使った季節限定の「パフェジュエル」(1,800円)をひと口食べて、思わずうっとり。「一日の締めくくりにこんなに素敵なのがいただけたらリッチな気分になって、疲れも吹き飛んでしまいそう!」


「自分のダメな部分や弱い部分、できない部分も肯定して、ときどき自分自身にご褒美をあげながら楽しく暮らしていきたい。

私の母がまさにそういう感じで。もうすぐ還暦を迎えるにもかかわらず、ひとりで海外にも行ってしまうような。自分の機嫌を自分で取れる。私もそんな人になりたいです」

30歳の自分はもっと大人になっているはずだったという。

「トレンチコートを素敵に着こなして、ストレートの髪を風になびかせながら颯爽と歩くような。でも、私自身はパーカーにポニーテールから抜け出せない。ハイブランドのバッグを持っていても気恥ずかしさの方が勝ってしまう」と広瀬さんは照れたように笑ったが、驕らず、素直な彼女は清々しくて惚れぼれする。

最後にこの10月からスタートした主演ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』の話を振ると、彼女は「もう大変なんですよ〜」と笑いを交えながら訴えてきた。

「私が演じるのはアラサーながら一念発起して大学生になった女性。

共演する俳優さんは20代前半の方が多いのですが、体力が違うんです。カット数を重ねて現場の空気が盛り上がってきたときに私だけへたばっているの(笑)。

なので、お弁当を持参したり、ちゃんと作れないときには、玄米とか、咀嚼する食べ物とか、1品だけでも用意したりして、コンディションの維持に努めています」

体の声に敏感になり、サインには素直に従う。それもまたスムーズに生きるための術。

トンネルを抜けてくすみのない広瀬さんが教えてくれた。


■プロフィール
広瀬アリス 1994年生まれ。静岡県出身。2008年に俳優としてデビュー。今年は大河ドラマ『どうする家康』にて二代将軍・秀忠の母を演じたほか、10月期のドラマ『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系列、火曜22:00〜)に主演。TOKYO FMでラジオパーソナリティも務めている。

■衣装
トップス 35,200円、スカート 59,400円〈ともにMame Kurogouchi/マメ クロゴウチ オンラインストア URL:http://www.mamekurogouchi.com〉、ピアス 451,000円、ネックレス 1,045,000円、2ラインリング 550,000円、リング 220,000円〈すべてMESSIKA/MESSIKA JAPAN TEL:03-5946-8299〉

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東京カレンダー最新号では、広瀬アリスさんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、広瀬さんが感じた自身の俳優としての変化とは?

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