男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:付き合う前に彼の家へ行ってしまった31歳女。この後、どうしたら正式な彼女になれる?




勇太と二度目のデートの帰り道。私はたしかな手応えを感じ、浮かれていた。

昨年彼氏と別れて以来、何人かとデートを繰り返してきた。でも、誰もしっくりとこず、そもそも好きになれない人ばかり。

そんな恋愛迷子状態がしばらく続いていた最中、久しぶりにトキメキも感じるし、何より条件が良い勇太に出会った。私はようやくこの“シングル地獄”から抜け出せる、とホッと胸を撫で下ろしていた。

― 唯:勇太くん、今日も楽しかったね!次はいつにする?

待ちきれなくて、思わず家に着いた途端に勇太にLINEをしてしまった。でも勇太から返信が来たのは翌日…しかも夜だった。

男性の気持ちが冷めてきたのは、返信のスピードでなんとなくわかる。

― あれ?これって…。

結局、私はこの二度目のデート以降、勇太と会うことはなかった。


Q1:初デートの時、男が、女に対して気になった点は?


勇太と出会ったのは、女友達と訪れた六本木にあるバーだった。

一見入り口のわからない隠れ家的な扉に、テンションが上がる。中に入ると照明は暗く、私と友達はとりあえずカウンター席に座った。その時、カウンター席で隣になったのが、勇太だった。

しかも、勇太のほうも男友達と2人で来ており、飲んでいる途中で話しかけられたのだ。

「何を飲んでいるんですか?」
「これですか?ハイボールです」
「この店、よく来るんですか?」
「いえ、初めてで…」

最初は鬱陶しいナンパかと思ったけれど、よく見るとなかなかのイケメンで、しかも一緒にいる友達もカッコイイ。

「良ければ、奥のテーブル席で4人で飲みませんか?嫌なら、本当に無理しなくて大丈夫ですので!」




誘い方も悪い感じがせず、結局私は女友達と勇太、そして勇太の男友達と4人で飲むことになった。お互い軽く自己紹介を済ませ、飲みながら一緒にダーツをしたり盛り上がる。

解散間際にみんなでグループLINEを作り、24時半くらいに解散となった。

そして翌日。勇太から、すぐにお誘いのLINEが来た。

― 勇太:ゆいちゃん、昨日はありがとう!来週は忙しい?良ければ二人でご飯でもどうですか?

きちんと「二人で」と言ってくれるのが嬉しい。もちろんYESと答え、私たちは翌週の土曜にデートをすることになった。

勇太が選んでくれたのは、中目黒にあるイタリアンで、少し狭いけれど美味しいお店だった。




ただ場所がわかりにくく、タクシーの運転手さんも道に迷い、私は、待ち合わせ時間に10分以上遅れてしまった。

「遅れちゃってごめん!!」

でも、勇太はかなり優しい人だと、この時に悟った。

「全然大丈夫だよ。むしろごめんね、わかりづらい場所で。駅まで迎えに行けば良かったかな」
「ううん。むしろわかりにくいからこそタクシーに乗ったのに、運転手さんが『新人なので』とか言って、全然道を知らなくて」
「この店、路地裏だからわかりづらいよね。次からは気をつけるね」

― 「次からは」ということは、次があると期待してもいいのかな?

まだ今日は初回だけれど、勇太の人の良さと優しさに惹かれていく。

「勇太くんって、いい人だね…。タクシーって、本当に当たり外れが大きいよね」
「それはあるかもね」

そんな話をしていたタイミングで、乾杯のビールが運ばれてきたので、私たちはお互いにグラスを傾けた。

「勇太くんって、今好きな人とか彼女はいないんだよね?」
「うん、いないよ」
「そっか」

― あれ?久しぶりにいいかも…。

初デートでそう思えた勇太。私の中の枯れかけていた人を好きになる気持ちが、復活しそうな予感がする。

この日は2軒目まで行った。そして2週間後、また二人で会うことになった。


Q2:デートに選んだお店が騒がしかった…この時に男が考えていたことは?


そして2週間後。勇太は焼き鳥屋さんを予約してくれていた。ただ3連休前の金曜ということもあってか、お店は満席のようだ。

「ここ、人気のお店なんだね」
「前に平日に来たときは、ここまで混んでいなかったんだけど…3連休前だしね。唯ちゃん、何飲む?」
「私は、ハイボールでお願いします」
「じゃあ、飲み物から注文しちゃうね」

勇太は、オーダーをしようとするが、なかなか店員さんが来ない。お店は、かなり混んでいるし、店員さんも忙しそうにしている。

「すごいね、ここ。むしろ混みすぎじゃない?」
「僕の声、通りにくいからな〜(笑)。気がついてもらえないのかも」

店員さんがようやくオーダーを取りに来たと思ったら、その後のフードが出てくるのも遅くて、私は、若干手持ち無沙汰になってしまった。

「料理も遅いね…」
「人手不足なのかもね」
「勇太くんって本当に優しいね」
「少し遅いなとは思うけど、そのぶん唯ちゃんと食事ができる時間が延びたってことでいいかなと」

フードの提供も遅すぎると思ったけれど、勇太はまったく気にしていないようだった。むしろ、勇太の言葉から、彼の性格の良さがさらに伝わってくる。

私も勇太を見習おうと、話をして気を紛らわすことにした。

「勇太くんって、今彼女いないの?」
「うん。本当にいないよ。唯ちゃんは?」
「私も彼氏いないよ。だから今真剣に探してい…」

そこまで話しかけたタイミングで、会話を遮るようにちょうど串が運ばれてきた。




「ちょうどいい話をしようとしていたのに(笑)串のタイミング…」

自分のタイミングの悪さに、思わず笑ってしまう。

「で、ごめん唯ちゃん。続きは?」
「今彼氏がいないから真剣に探している!」
「どういう男性がいいの?」
「私は優しくて、身長が少し高めの人がいいな。勇太くんは?どういう女性が好き?」
「僕も優しい人かな。あとは…」

そしてまたこのタイミングで、後ろのテーブル席に座っていた団体客がどっと盛り上がり、勇太の声がかき消されてしまう。

「ごめん勇太くん、なんて言った?後ろがうるさくて、全然聞こえない」
「タイミング悪かったね(笑)優しくて、家庭的な人が好きって言ったんだ」
「そうなんだ」

結局、サービスも遅いうえに周囲が騒がしくて、しっくりこないデートになってしまった。

気まずさを残しながら、二人でお店を出る。「このまま解散するのもな…」と思っていると、勇太のほうからもう1軒誘ってきてくれた。

「唯ちゃん、まだ時間ある?良ければもう1軒行かない?」
「そうだね、行こう」

こうしてもう2軒目へ移動した後、だいぶ静かになったので私たちは楽しく会話ができた。




「勇太くんって本当にいい人だね。優しいし、一緒にいると楽しいし…」
「そう言ってもらえるのは嬉しいな。唯ちゃんも最高だけどね」

そこまで言ってくれていた。

でも結局、この日以降勇太からの返信は急に冷たくなり、誰が見ても脈ナシになってしまった。

― お店選び間違えていたのは、勇太のほうだよね?なんで?

私が、勇太を拒むならばまだわかる。でもどうして勇太のほうからNGを食らったのかわからず、若干苛立っている。

▶前回:付き合う前に彼の家へ行ってしまった31歳女。この後、どうしたら正式な彼女になれる?

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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お店選びを失敗したのは男のはずなのに…?