「東京カレンダー」初登場となる20歳の女優・桜田ひよりさん。

“まるでパリ”といわれる青山のワインバーにお招きし、人生初のナチュラルワインを体験してもらった。

そこで語られた、彼女の女優としての生き方、そして将来の野望とは?桜田さんの新たな一面を見た!


20歳にして女優歴15年。勢いに乗る桜田ひよりの現在地


「青山の裏手に、こんなお洒落な店があるなんて、驚きました」。そう言って、美味しそうにワインを堂々とひと口。

「お仕事でお酒を飲むのは今日が初めてなので、少し緊張しています」と撮影前に漏らしていた桜田ひよりさん。20歳になってまだ1年足らずと聞けば、不安が勝るのも当然……と思ったのもほんの一瞬だった。

シャッターが切られると、大きな瞳にグッと力が入る。ステムを持ち、グラスを傾ける横顔は、どこか憂いを帯びていて、まるでフランス映画のワンシーンのよう。

コケティッシュな表情とワイン、その組み合わせが絵になりすぎて、彼女の一挙手一投足から目が離せない。これが“女優”というものなのだろう。

「小学生の頃から、この仕事で生きていきたい、ということは両親には伝えていました。

私、幼い頃から大人と喋っている時間が好きだったんですね。だから、“自分の居場所は学校よりも、ここ(現場)なのかもしれないな”ってずっと思っていて。

そういう意味では、今自分の夢を叶えられているのは幸せだと思います」

ドラマ不況と呼ばれる中、社会現象まで巻き起こした『silent』をはじめ、この数年は話題作に何本も出演。そのキャリアは順調そのものに見える。

「自分でもここ1、2年はすごく順調だな、と感じていますが、油断はしちゃいけないって常に自分に言い聞かせています。たくさんのオーディションに落ちて、もがいていた自分を知っていますから。

もちろん、“順調だし、才能あるよね”って言っていただけることもうれしいですけど、揺るぎない努力もしてるんですよ!って、言いたい時もあります(笑)」

最後は笑いに落として場を和ませたが、偽らざる本心なのだろう。

学校とレッスンを往復し、オーディションに挑戦し続ける毎日。大げさではなく多くのオーディションを受けては落ち、それでも諦めなかったから今がある。


新しい俳優さんとの“キラキラ”の違いが自己分析のきっかけ


桜田さんといえば、まさに“キラキラ”を纏った10代の役が多い印象だが、20代になっても制服を着る役があることについて、「ジレンマはないです」と断言する。



契約農家から毎週届くオーガニック野菜を使ったラタトゥイユをパクリ。オリーブオイルと塩だけを使い、じっくり野菜の甘みを引き出した味わいに桜田さんも感動。「グラン・ド・フォリー」のロゼも堪能した


「同世代の方よりも比較的若く見られる部分が自分の長所かなと思っています。“制服が似合う”と言ってもらえるなら、青春系の作品に出ることができるので。

もちろん、同い年でも大人っぽい子なら、実年齢より年上のOL役やママ役もできる方もいます。私はあまり大人っぽい方ではないと思っているので、自分の強みを生かせる役があるなら、どんどん挑んでいきたいと思っています。

もちろん強みとか関係なくさまざまな役に挑戦したい気持ちもあります」

自身を客観化して分析する力は、まるで敏腕プロデューサーのようだが、この自己分析するクセは必要に迫られて備わったものだという。

「子役で活動してきた子たちって、高校生になる直前で一度、芸能界を辞めるか、続けるか、進路に悩む人が多いと思うんです。

高校生になると、中学生まで芸能界とは無縁だった子たちが“女優になりたい”“アイドルになりたい”って、新しい風となって入ってくる。

長くやっている人と彼女たちとでは、経験の差はあると思いますが、キラキラの鮮度みたいなものが圧倒的に違う気がしたんです。私自身、新しいキラキラに勝てないなって思うことがあったんですね。

どうしよう、と考えた時に、自分の強みを徹底的に分析してみよう!と思って。自分にしかない強みを見つけておくことが大事なんだ、と。そう気づいてから、自己分析グセが付いたんだと思います(苦笑)」


いつか無人島でのんびりと暮らすFIRE生活が夢!


芸能界のシビアな現実は、少女をこんなにも早く大人にさせるのかと、驚きを隠せないでいるこちらに対し、桜田さんは冷静そのもの。

聞けば、同世代の友人たちからも「相談に乗ってほしい」と頼られることも多いそう。

「“おばあちゃんと話してるみたい”ってよく言われるんですが、頼ってもらえるのはうれしいことですよね。ただ、自分のことは自分で解決します。自分の機嫌も自分で取る、がマイルールです」

かわいい、から格好いいへ。聞くほどに、桜田さんの印象が変わっていく。




「私が格好いいと思う大人の女性って、選択肢を多く持っている人なんです。物事に対して、いくつかアプローチの方法があれば、余裕を持って解決に導くことができる。

私の年齢だと、まだまだ経験不足で選択肢が少ないなと思っています」

そんな早熟な桜田さんの野望は?

「とにかく若いうちにいっぱい働いて、いつかのんびり無人島で暮らしたいです(笑)。

その時までは自分にしか出せないことを常に探して、それを作品に少しでも吹き込めたらって思っています。それが私の理想です。

周りからは“どうせ、一生女優やってるよ”って言われるので、自分でも未来がどうなるか、わからないんですけど(苦笑)」

世界に“絶対”はないけれど、きっと高い確率で桜田さんは女優人生をまっとうするだろう。

燃え尽きるのがいつになるかは、まだ誰も分からない。だが、“女優・桜田ひより”の名が多くの人に知られる日は、そう遠くない未来だ。


■プロフィール
桜田ひより 2002年生まれ、千葉県出身。幼少期より俳優として活動。昨年放送されたドラマ『silent』での演技も記憶に新しい。10月10日スタートの人気ドラマシリーズ『家政夫のミタゾノ』では、新人家政婦役として出演。10月14日スタートの『あたりのキッチン!』では主演を務める。

■衣装
ドレス 108,900円〈CO|TE TEL:0120-135-015〉、バッグ 44,000円〈ANTEPRIMA/WIRE BAG TEL:0120-03-6962〉、リング(左手)96,800円、イヤーカフ(左耳)37,400円、イヤーカフ(右耳)56,100円〈すべてe.m. TEL:03-6712-6797〉、その他スタイリスト私物

▶このほか:「しっかり自分の足で立つことが必要」乃木坂46・井上 和が語った、彼女の立ち位置とは




東京カレンダー最新号では、桜田ひよりさんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、桜田さんの青春、この夏の思い出とは?

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