夏の「青春18きっぷ」は8月31日まで発売(写真:tarousite/PIXTA)

この夏の「青春18きっぷ」のシーズンもいよいよ終盤。2023年夏季の発売期間は8月31日まで。利用期間は9月10日まで。JR全線の快速列車、普通列車の普通車自由席が1日乗り放題のチケットが5セット入ったきっぷの発売価格は1万2050円。1セット(1日)あたり2410円。時間とガッツがあれば、2410円で東京から青森や広島へ行ける格安乗車券は発売から40年以上経った今もJRグループ(発売当時は国鉄)の人気商品だ。

賢く使えば所要時間や乗り換え回数が変わる

そんな青春18きっぷを利用する人が、いちばん多く利用するのが東京―大阪間だろう。昼行便の格安高速バスも多数走るこの区間だが、夏休みはハイシーズンとなるためバス料金は青春18きっぷより高めとなりがち。そのため時間をかけても安く移動したい人は青春18きっぷへと流れる。

バスの代わりに利用する人は、漠然と出発時間を決め、スマホの乗り換え案内を見ながら大阪を目指す人が多いと思われる。が、時刻表を細かく調べていくと、少し出発時間を前後するだけで所要時間、乗り換え回数とも大きく変わることがわかる。

そこで今回は青春18きっぷ1セットで行ける東京―大阪間の全乗り継ぎパターンを時刻表でリサーチ。どのパターンがいちばん早く行けるのか。楽なパターンはどれなのかを調査してみた。

【東京→大阪 平日編】

朝イチで向かった場合の大阪到着時刻は14時13分。東京を出る時刻は5時20分だ。この5時20分よりも前に熱海方面へ向かう品川始発の電車が2本出ているが、途中の乗り継ぎがうまくいかず、大阪到着は東京5時20分発の電車と同じ14時13分となる。接続が比較的スムーズなため、大阪までの所要時間が8時間53分と、平日に大阪へ向かう乗り継ぎパターンとしては最短の時間となっている。

適度な出発時間、到着時間を考えると東京8時36分発か9時06分発がベストだが、乗り換え回数が前者は6回、後者は7回と若干多め。荷物が多いなら、東京発11時08分発の乗り継ぎが良さそうだ。大阪到着が20時13分と遅くなるが、乗り継ぎ回数が4回で、跨線橋を渡っての乗り継ぎが多い大垣での乗り換えがないのが大きい。

東京発12時27分がおすすめ

【東京→大阪 土休日編】

いちばんのオススメ乗り継ぎプランが、東京発12時27分の電車でスタートするパターン。大阪の到着時刻が21時17分と遅くなるが、乗り換えは熱海、浜松、米原の3つだけ。所要時間も8時間40分と最短だ。

土休日は、名古屋エリアの快速が「豊橋→米原」で運行する本数も多く、先ほど書いた乗り換えに手間がかかる大垣での乗り換えが回避できるパターンが多い。そのため乗り換え回数、所要時間とも平日より少し短い。大阪へ青春18きっぷで快適に早く移動するなら土休日のほうがよさそうだ。

【大阪→東京 平日編】

早朝は大阪→米原を結ぶ速達列車である「新快速」が運転されていないため、朝イチで東京へ向かうというのはオススメできない。ベストとなる乗り継ぎは出発時間、到着時間の適度な感じと所要時間の短さから、大阪9時30分発、東京18時30分着のパターンと言えるだろう。乗り換え回数が6回と多いが、平日の大阪→東京は平均乗り換え回数も多いので仕方のないところ。乗り換え回数を減らしたいのであれば、大阪10時30分発、東京19時38分着が良さそうだ。

大阪15時00分発の乗り継ぎは、途中の浜松→静岡で「ホームライナー静岡6号」を利用。青春18きっぷのほかに乗車整理券330円が必要となるが、移動時間が30分短縮できるのは大きい。所要時間も8時間46分と、すべての乗り継ぎパターンの中で最速だ。ただ、乗車整理券は事前の購入ができず、当日浜松で購入するしかないため、満席で乗車できないというリスクがある。

大阪→東京の平日移動は平均乗り換え回数が5.95回と多いが、平均所要時間は9時間13分と短かった。

大阪→東京は平日がベスト

【大阪→東京 土休日編】

平日よりも新快速が走り出す時間が遅いので、早朝に大阪を出発しても効率が悪い。こちらも平日同様、大阪9時30分発、東京18時30分着のパターンと言えるだろう。乗り換え回数を減らすなら、平日同様大阪10時30分発、東京19時38分着となる。

最短所要時間は8時間56分。ただこの乗り継ぎの場合、東京着が0時26分となるのでオススメはできない。

平均所要時間は9時間24分と、今回調査した4つのパターンで最も遅く、平均乗り換え回数も5.83回と2番目に多かった。

平均所要時間、平均乗り換え回数から見ると、東京から大阪へ向かう場合は土休日、大阪から東京へ向かう場合は平日に移動するのがベストと言えるだろう。

荷物が多くて乗り換え回数を減らしたい場合、東京→大阪なら3回か4回のもの、大阪→東京なら5回のパターンで移動するといいだろう。

ちなみに、東京―大阪間の高速バスの昼行便の所要時間は8時間30分ほど。東海道新幹線開業前の時刻表を見ると、東京発大阪行の「急行なにわ」の所要時間が7時間30分。それを考えると、急行料金や特急料金がかからず、2410円(ホームライナー静岡6号利用の場合は2740円)で移動できる青春18きっぷの移動パターンは悪くないものと言えるだろう。


(筆者作成)


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(渡辺 雅史 : 時刻表探検家)