春になると、日本を彩る桜の花。

大都会・東京も例外ではない。

だが寒い冬を乗り越えて咲き誇ると、桜はあっという間に散ってしまう。

そんな美しく儚い桜のもとで、様々な恋が実ったり、また散ったりもする。

あなたには、桜の季節になると思い出す出会いや別れがありますか?

これは桜の下で繰り広げられる、小さな恋の物語。

「東京、桜の下で」一挙に全話おさらい!



第1話:「あなたのために、海外赴任は断る」29歳女の決断に、彼が見せた反応は…

今の大聖からの扱いに、不満がないとは言い難い。それでも、仕事ができて、身に余るような贅沢をさせてくれる彼は、どこまでも魅力的だった。

― 私、大聖と結婚したいと思ってる…。

そう強く思うけれど、この1年、2人の間で結婚というワードが話に出たことはない。

だからこそ、沙織は決意する。東京に残ろう。そして大聖に、「大聖との未来のために東京に残ると決めた」と話そう。

― そしたら大聖だって、真剣に将来の話をしてくれるよね?

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第2話:「もっと大事にすればよかった」6年の恋が終わり、後悔に苛まれる男。その頃、女は…?

文芸誌の編集者を務め、3年目。疲れた日にはいつもひとりでここ、千鳥ヶ淵にきて、心を洗う。

「でも、大丈夫かな…」

ふと、今朝見た天気予報を思い出したのだ。明日は雨で、しかも風が強いという。

「散らないといいけど。この桜たち」

サクラ。その響きが、不意に心に突き刺さる。4ヶ月前に終わってしまった、咲良との6年間の恋を思い出した――。

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第3話:交際4年、マンネリ化した恋。長引きすぎた春に2人が終止符を打った、意外なきっかけとは…

光輝とたくさん話したいという気持ちも、光輝を喜ばせてあげたいという気持ちも、どこかに消えてしまった。

気づけば会う頻度は1ヶ月に1回程度になっていたし、連絡を一切取らずに数日が過ぎても平気になっていた。

デートで行きたい場所を提案することも、ほとんどない。

時間が、私たちのなにかを変えてしまったようだ。結果残ったのは、妙な居心地の良さだけだった。

ふと、光輝のほうを見る。光輝も、心ここにあらずの様子で、拍手ひとつせずにぼうっと立ち尽くしていた。

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第4話:年下の彼女が、先に出世した。自己嫌悪のあまり別れを決意した男は、誕生日の夜に…

「最低だよ…。彼女の幸せを、素直におめでとうって、思えないんだから」

大哉のMacBookに表示されているのは、クリエイティブ局長からの一斉送信のメールだ。

【クリエイティブ2局の繁田瑛美里さんが、大賞獲得!おめでとうございます!】

交際6年目の彼女・瑛美里の名前が、太字で大きく表示されている。

― あの賞で大賞とるなんて、すげえよ…。

瑛美里がこのたび受賞したのは、大哉が「20代のうちにとりたい」とずっと思っていた名誉ある広告コピーの賞だった。

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第5話:旧友の結婚式で、好奇の視線を浴びせられ…。30歳女が耐えきれなかった、友人からの一言

― なんで、親友にあんなこと言われなくちゃならないの。

17時40分。白金台の人通りはまばらだ。望海はスマホの地図アプリを立ち上げ、二次会会場の店名を入力しながら、ため息をつく。

― ほんとは二次会に行かずに、このまま家に帰りたい気分…。

もちろんそんなことはできないと思い、歩き始める。会場に、18時には到着しなくてはならない。

おめでたい日だというのに、望海の感情は、完全に後ろを向いていた。

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第6話:なんとなく見ていた雑誌に、元カレの名前が。8年前に別れた彼の“想像以上”の現在とは

商談は、うまくいった。ぼんやりした安心感を胸に、真夏は渋谷にある得意先のオフィスを後にした。

薄手のジャケットを脱いで腕にかけると、その瞬間、うすい水色のブラウスに小さな雨のシミが落ちた。

― あ、雨。

逃げ込むように近くの書店に入る。

しばらくここで雨宿りをしようと思い、なんとなく、そばにある雑誌を手にとった。

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