「好きになった人と結婚して家族になる」

それが幸せの形だと思っていた。

でも、好きになった相手に結婚願望がなかったら…。

「今が楽しいから」という理由でとりあえず付き合うか、それとも将来を見据えて断るか…。

恋愛のゴールは、結婚だけですか?

そんな問いを持ちながら恋愛に奮闘する、末永結子・32歳の物語。

「ゴールは結婚だけですか?」一挙に全話おさらい!



第1話:次付き合う人と結婚したいけど、好きになるのは結婚に向かない人ばかり…

― なんか仕事も恋愛も、私って置いてけぼりくらってる感じ…。

「結子も仕事ばっかしてないで、いい加減彼氏作りなよ」

結子の内心を察するように、楓がハッパをかける。

「年上は?甘やかしてくれるし、余裕もあるし。私の彼はバツイチだから、次は失敗したくないって思ってるみたいで、とにかく優しいの」

「まぁ…そのうち?」と言いながら、結子は椅子をくるりとデスクに向き直り、伏せてあったiPhoneを手に取ると、画面には、また社内SNSの通知が表れた。

第1話の続きはこちら




第2話:「結婚願望ある?」って聞かれるのが最近つらい32歳女。なんと答えるのが正解なのか…

結子に彼がいたのは、3年前だ。長く付き合っていた彼と別れ、1人でいることに慣れ始めた頃にコロナが蔓延。そのままおひとり様状態が継続してしまったのだ。

実の母親からも「名前が末永結子なだけに、独身は…」と心配されている。

― 結婚はもちろんしたいけど。その前にとりあえず彼氏作らなきゃだし。といっても、社内恋愛とか面倒くさすぎるでしょ!

「どうしたんですか?ぼーっとして」

突然、背後から声をかけられ、結子はハッと顔を上げた。そこにいたのは、外出先から戻ったばかりの日向だった。

第2話の続きはこちら




第3話:4年付き合った彼にプロポーズされた瞬間、男の本性に気づいた女。男のある言葉がきっかけで…

「今、考えるとあの時なんで別れようって思わなかったのか不思議なのよね」

日向は、運転しながら静かに結子の話を聞いていた。そう遠くはない位置に、みなとみらいのランドマークタワーが見える。

「決め手になる大きなきっかけがなかったからじゃないですか?何かの決断をするのって強い意思が必要ですし。で、別れたきっかけはなんだったんですか?」
「確かに、そうかも!別れた原因は、彼の転勤。北海道に異動になったの」

異動が決まった翌週末。彼の自宅に呼び出され、当たり前のように言われた言葉を結子は忘れない。

第3話の続きはこちら




第4話:「私は会社を辞める覚悟はある」5年続く上司との関係を切れないまま、32歳になった女は…

結子はカトラリーを一旦置き、日向が美味しそうに食べる様子に見入った。

― 日向くんと、付き合ったらきっと楽しいだろうな。でも、週末のドライブでは、結婚願望がないって言ってたし…。

日向は、まだ28歳。今は結婚願望がなくても、確固たる理由がないのであれば、これから変わる可能性は十分にある。

結子は、“結婚願望ゼロ”が決定事項ではないと思いたかった。

第4話の続きはこちら




第5話:「その彼、ひどい!」彼女とのデートを男が1時間で切り上げ、向かった先とは

「了解しました!会社の人にはバレないようにしますよ」
「ありがとう。日向くん、あと1コだけ聞いてもいい?」
「どうぞ。でも、週末どこに遊びに行く?だったら、今は即答できないなぁ。楽しめる場所をこれから必死で調べるので」

結子がクスクスと笑う声が聞こえる。

「違うの。週末は別に特別なことをしなくてもいいわ。ただ、聞いてみたかったの。どうして私なんだろうって」
「本当のことを言うと、2年前に入社したときから、末永さんのことタイプだなって思ってたんですよ」

第5話の続きはこちら




第6話:「ここって…」初めてのお泊まりデートで、女が年下男に連れていかれた意外な場所

「年齢なんて関係ないですよ。でも、あの界隈で遊んでいる子たちは、若くて綺麗なうちに、ハイスペックな男と結婚して、港区の夜を引退っていうのが理想らしいです。儚いんです。だから、まともに仕事している場合じゃない」

日向は、まるでよく知っている女の子の話をしているようだ。

「その生き方ある意味、幸せかも」

結子がつぶやくように言う。

「僕は、そこまで結婚に執着できる理由がわかりません」

日向の顔から笑みが消えた。

― 結婚の話が出ると、なんかスイッチ切り替わるのよね。何か理由があるのかも…。

第6話の続きはこちら




第7話:彼氏に内緒で他の男と会っていた女。恋人に怪しまれ、咄嗟に出た言い訳とは

コンビニに寄っていくという楓と途中で別れ、結子はオフィスのビルに着いた。

1Fのロビーを見渡すと、奥の窓際に1人の男性が立っていた。その背格好、立ち姿に、結子は確かに見覚えがあった。

― まさか…ね。

だが、結子の一抹の不安は、すぐに現実となった。

第7話の続きはこちら




第8話:「結婚する気がない理由を教えて!」恋人に詰め寄った32歳女。男の返事は意外なもので…

「家って彼の?ううん、行ったことないけど、どうして?」
「あの塀の中はどんな感じなのかと思って」

― 塀の中?

不思議そうにしている結子に、高坂は言った。

「知らないんですか?日向さんのご実家って会員制のリゾートクラブをいくつも経営されて、お家もものすごい豪邸ですよ。実は、私の兄が日向さんと慶應大学時代の同級生なんです」

第8話の続きはこちら




第9話:「こんな家に住んでるの?」付き合って4ヶ月。初めて彼の家に行ったら驚きの連続で…

食事を終えると、レストランを出て、タクシーに乗り白金高輪方面に向かう。10分ちょっと走ると、閑静な住宅街に入った。

― なんかこのあたり、一戸、一戸の区間が広いかも。

「この辺でとめてください」

日向がタクシーを停車させたのは、高坂が言っていたとおり、コンクリートの高い塀がそびえる一角だった。

― 高坂が言ってたとおりだ。すごいお家…。

第9話の続きはこちら




第10話:「気まずい…」男女グループでお花見に行ったら、女子は手作り弁当を持参していて…

日向はあらかじめ雅叙園の『旬遊紀』で手配していた“お花見オードブル”を持参しており、早速その包みを開封した。そして、日向に紹介され、結子は挨拶してから輪に加わる。

しかし、結子は瞬時に居心地の悪さを感じた。結子以外の女性3人は慶應出身の同窓生や後輩でお互い初対面ではないらしく、すでに盛り上がっている。

全員が日向のことを「春樹」や「春樹くん」と親しげに呼んでいる。そのうえ、ワインやビールなどのお酒と一緒にシートの上に並べられているのは、手作りのオードブルやサンドイッチ。

― っていうか、手弁当持参なら最初から言ってくれればいいのに…。

第10話の続きはこちら




第11話:30歳過ぎて、同棲したら婚期を逃す!?一緒に住もうと彼に提案された女は、迷った挙げ句…

― 青になったら日向くんのところまで行って、声をかけようかな…。彼、何て言うかしら。

そんなことを考えている間に、信号が青に切り替わった。その瞬間、結子は、無意識で走り出す。

「日向くん」

自分でもびっくりするほどの大きな声で、結子は彼を呼び止めた。名前を呼ばれ、すぐに日向は振り向く。

そして、結子の姿を捉えると、明らかに驚いた様子で立ち止まっていた。隣にいた女性が日向を見上げ、言った。

第11話の続きはこちら