男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:「デートで高級店でもおごってくれる彼。私に気があるかと思っていたら…」男がフェードアウトした理由




僕の、何が悪かったのだろうか。

里帆とデートを繰り返して、約3ヶ月。僕は付き合いたいと思っていたし、彼女もその気だと思っていた。

「私、雄也のこといいなと思ってる」
「マジで?それ最高なんだけど」

そんな会話までしていたし、手もつないだし体の関係もあった。しかも一度や二度ではない。

もちろん、僕も中途半端な気持ちだったわけではない。断じて里帆のことを遊びだとは思っていなかった。

そうでなければ毎日連絡などしないだろう。

けれども蓋を開けてみれば、いつの間にか里帆からの連絡は減り、気がつけばもう2週間も音沙汰ナシの状態になっている。

僕なりに想いを伝えていた。いつでも交際する気持ちだった。それなのに、どうして彼女の気持ちは冷めてしまったのだろうか…。


Q1:初対面の時から女が感じていたことは?


里帆と出会ったのは、知り合いが開催したワインのイベントだ。

イベントの参加人数は10人くらいで、レストランの個室の大きなテーブルをみんなで囲みながら食事をするというもの。

そのときに隣の席に座っていたのが、里帆だったのだ。

「ワイン、お詳しいんですか?」

大きな瞳で問いかけられ、僕は首を横に振る。

「それが、全然なんです。今日は友達に連れられてきて…」

あまりワインには詳しくないし、興味本位で参加しただけ。でも意外に楽しくて、また隣に座っていたのが里帆でかなりラッキーだなと思った。

気がつけば僕らはすっかり意気投合し、その場で連絡先を交換してすぐに飲みに行くことになった。

そしてナチュールワインのグラスの種類が豊富な『エンリコ』でデートをすることにした。




「この前のイベント、楽しかったですね」

里帆の言葉に、僕は大きくうなずく。

「本当に。ワイン、もっと詳しくなりたいなと思いました」
「でも意外です。雄也さん、すごく詳しそうな雰囲気だったから…」
「本当ですか?全然ですよ(笑)。里帆さんのほうこそ、玄人感出てましたよ」

そんな話をしながら、お互い笑い合う。初対面の時から思っていたけれど、里帆は可愛いのに気さくで話しやすくて、とにかくいい子だった。

「里帆さんって、すごくいいですよね。こんな綺麗だから、もっと冷たいのかと…」
「え〜全然!それを言うなら雄也さんこそ。すごくモテそうだし…」

僕は一応そこそこ稼ぎがあって、身長も187cmと高いほうだ。顔もそこまで悪くはないと思っているけれど、現在34歳で彼女はいない。ちなみに結婚歴も離婚歴もない。

「いやいや。この歳で独身ですし」

そんな会話をしているうちに、手打ちのモチッとした食感がたまらない「タリオリーニ シンプルなフレッシュトマトソース」も完食し、気がつけば僕たちのグラスワインは3杯目が空いていた。




「そう言えば、雄也さんはお仕事何されているんですか?」
「あれ?言っていなかったですか?僕はウェルネス系の事業で、会社経営をしています」

経営者という肩書に寄ってくる女性も多い中、里帆が僕の肩書を知らずデートしてくれたことに驚きつつも、嬉しくもあった。

「ウェルネス系…ジムとか?」
「うーん、もう少しIT寄りですね。よくこの界隈で飲んでいる宮田さんってわかりますか?まぁ実はあの人、ウェルネスに関しては超ど素人なんですけどね」
「そうなんですか?」
「そうそう。業界じゃ有名ですよ。名前ばかりの経営者で、全然知識がないって。言っていることも間違っていることが多いし。でもあの人とかが同じ業種ですね」
「業界、狭いんですね」
「そうなんですよ。里帆さんは何のお仕事を?」
「私はマーケ会社で働いてます」

そんな仕事の話をしていたけれど、気がつけば敬語も抜け、もう少し踏み込んだ男女の話になっていた。

「里帆ちゃん、今彼氏いないの?」
「いないよ〜。雄也くんも、本当に今いないの?」
「うん。僕もフリーだよ」

― この子、いいかも。

久しぶりにそう思えた相手だった。そしてここから僕たちは親密な関係になっていった。


Q2:女が男の周りを探っていた本当の理由は?


初デートを終えてから、何となく毎日連絡を取り合っていた僕たち。実際に会うのは2週間に一度くらいだったけれど、楽しく関係が続いていた。

「里帆って本当に可愛いよね」
「雄也って、いろんな人に言ってそうだよね」
「そんなことないよ!」

一緒にいると楽しいし、話も盛り上がる。

三度目のデートで、僕の家に来た里帆。その時彼女は泊まったのだけれど、それ以降も僕は邪険に扱ったりはしていない。

里帆が、僕と交際する気があるのかよくわからなかった。

普通そういう関係になったら、女性から「付き合っているの?」と聞いてくると思うが、彼女は何も言ってこない。

僕もそれを聞いて振られるのは嫌だし、お互い何も確認しないまま日々過ぎていく。

この日も食事を終え、店の外に出ると里帆から聞いてきた。

「この後どうする?」
「え〜。雄也の家、行ってもいい?」
「うん。もちろん」

明らかに、里帆のほうが乗り気で積極的だったのだ。




でもそんな関係にあぐらをかいていたのが悪かったのだろうか。デートを繰り返しても、それ以上の関係には進まずにいた。

そして一番疑問だったのは、里帆が僕の友達に会いたがったことだった。

「そういえば、ワインのイベントに一緒にいた太郎さんは?最近会っていないの?」
「太郎は会ってないな〜。元気なんじゃない?どうせ今日もどこかの女の子と遊んでいるよ」

太郎は友達としては最高だけれど、とにかく女性関係は手が早い。里帆に会わせるのは、極力避けたいところだった。




「え…。そういう感じの人なの?太郎さんにもし彼女とかいなかったら、友達を紹介したいなと思ったんだけど…微妙かな?」
「太郎いい奴だけど、手が早いよ。あとここだけの話、仕事も『転職したい』と言いながら動いていなくて中途半端だし…」
「そうか…。そしたらやめておいたほうがいいね」

― なんで太郎にそこまでこだわるんだろう?

そんな疑問はずっとあった。ただそれと同時にふと気がついてしまったこともある。

― もしかして…。僕の周りにもワンチャンあると思って狙ってる?

里帆は本音を話すタイプなので、彼女に結婚願望があるのは、これまでの会話から知っている。もしかすると里帆はとにかく誰でも良いから結婚したいのではないだろうか。

でも、さすがにそこまで節操がないとは思いたくない。

ただ結果として、連絡が来なくなった里帆。果たして彼女は何がしたかったのだろうか…。

▶前回:「デートで高級店でもおごってくれる彼。私に気があるかと思っていたら…」男がフェードアウトした理由

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男が気づかない、女が結構嫌だなと思うポイントは?